腸内環境を整える食べ物一覧!食事でお腹の不調を整えましょう
近年、食生活を見直して腸内環境を整える「腸活」が注目されています。
腸内環境を整えることは、生活習慣病やがんの予防につながると言われています。お通じが良くなると腸内がデトックスされて体調も改善するので、体の不調が気になる方は普段の食生活を見直してみてはいかがでしょうか。
本記事では腸活におすすめの食べ物をご紹介します。簡単レシピや腸内環境を整えるメリットもまとめているので、お腹の不調でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
【監修者】
かわぐち内科・内視鏡クリニック
川口 佑輔
- 2010年北里大学医学部卒業
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 日本肝臓病学会専門医
目次
- 腸内環境を整える=善玉菌が優勢に働いている状態
- 腸内環境を整える方法
- 腸内環境を整える食べ物一覧【レシピあり】
- 簡単!腸活レシピ3選
- 腸内環境はどのくらいで変わる?目安となる期間
- 腸内環境を整えるとどうなる?効果とメリット
- 腸内環境が悪い時に出やすい症状
- お腹の不調は病気のサイン?気になる症状は早めの検査を
腸内環境を整える=善玉菌が優勢に働いている状態
私たち人間の腸には100兆個もの細菌が棲みついていると言われています。
細菌の種類は約1,000種類あり、異なる性質を持った細菌が腸内で生態系(腸内フローラ)を形成しています。
これらの細菌は大きく「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌(ひよりみきん)」の3つに分類され、善玉菌が優勢に働いているのがベストな状態です。
善玉菌が腸内環境を主導している状態では免疫力が高まり、栄養の吸収や消化が効率的に行われます。
反対に、悪玉菌と日和見菌のバランスが乱れると腸内環境が悪化し、消化不良や免疫機能の低下などさまざまな問題を引き起こします。
腸内環境は食事や運動、睡眠などの影響で変化しますが、何らかの理由でバランスが乱れても元に戻すことが可能です。その近道の一つが、食生活を見直して腸内に善玉菌を増やす方法です。
腸内環境を整える方法
食生活の見直しで腸内環境を整える場合、意識したいポイントが次の2つです。
- 善玉菌を摂取する
- 善玉菌のエサとなるものを摂取する
具体的な内容を解説します。
1.善玉菌を摂取する
腸内環境を整えるには、体にとっていい働きをする善玉菌を増やすのがもっとも効果的な方法です。
よく知られている善玉菌にはビフィズス菌や乳酸菌などがあり、ヨーグルトや納豆などの発酵食品に多く含まれます。大腸の主要なエネルギー源である酪酸菌も善玉菌の一種で、腸の働きを正常に保つ効果があります。
善玉菌は食べ物で摂取しても腸内に長くとどまることができないため、毎日の食事で摂取し続けることが大切です。
食事のみでは不安な場合、サプリメントや整腸剤から摂取する方法もあります。
2.善玉菌のエサとなるものを摂取する
腸内の善玉菌を増やすには、善玉菌のエサとなる食物繊維をたっぷりと摂取するのも重要です。
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類あり、腸内環境を整えるのに効果的なのが水溶性食物繊維です。
厚生労働省が定める食物繊維の摂取目標量は成人男性が21g/日以上、成人女性は18g/日以上です。
食生活の変化に伴い、日本人は食物繊維の摂取量が減少傾向にあると言われています。(推定量は14g前後/日)
食事でお腹の調子を整えたい方は、食物繊維の摂取目標量をクリアできるよう食生活を工夫してみてください。
腸内環境を整える食べ物一覧【レシピあり】
ここからは腸内環境を整えるのにおすすめの食べ物をご紹介します。
お腹にいい食べ物はたくさんあるので、毎食1品を目標にできる範囲での摂取を心がけましょう。
1.納豆
納豆は腸内環境を整えるのにおすすめの代表的な食べ物です。
納豆に含まれる納豆菌には悪玉菌の働きを抑え、善玉菌を活性させる効果があります。食物繊維も豊富に含まれるので、善玉菌そのものを増やす効果も得られます。
納豆は単体でも栄養価の高い食品ですが、腸内環境を整えることを目的とするならば、キムチやチーズなどその他の発酵食品と組み合わせて食べるのがいいでしょう。
2.ヨーグルト
お腹の調子を整えるには、毎日の食事にヨーグルトをプラスするのがおすすめです。
ヨーグルトにはビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が豊富に含まれます。これらの善玉菌は悪玉菌の繁殖を抑え、腸内の菌のバランスを保つ役割を担います。
ヨーグルトの摂取量は1日あたり100〜200gが目安で、食物繊維が豊富なバナナやきなことの相性も抜群です。
3.味噌
味噌は日本の伝統的な発酵食品であり、腸内環境を整えるのに積極的に摂取したい食品の一つです。
味噌には麹菌や酵母菌、乳酸菌が豊富に含まれるほか、良質なタンパク源も一緒に摂取できるメリットがあります。
腸内環境を整える以外にも、胃の病気を予防したりコレステロールの上昇を抑える効果が期待できます。
味噌を手軽に取り入れるには、1日1杯の味噌汁がおすすめです。
4.キムチ
白菜やきゅうり、大根など、食物繊維が豊富な野菜を発酵させて作るキムチも、腸内環境を整えるのにおすすめの食べ物です。
疲労回復や血行改善、コレステロールの低下など健康にいい影響を与えてくれます。豆腐にトッピングしたりスープに混ぜたりと、食べ方のバリエーションも豊富です。
ただし、キムチは塩分が多く、辛味成分のカプサイシンが胃腸の負担となりやすいため食べ過ぎには注意しましょう。
5.チーズ
体に必要な栄養がバランスよく含まれるチーズも腸活にいい食べ物の代表例です。
チーズには熟成タイプと非熟成タイプ(フレッシュチーズ)があり、腸内環境を整える効果を期待するなら熟成タイプがおすすめです。
熟成タイプのチーズにはカマンベール・ゴルゴンゾーラ・ゴーダ・チェダー・パルメザン・ミモレットなどがあります。
6.ぬか漬け
ぬか漬けは、大腸のエネルギー源である酪酸菌を含む数少ない食品の一つです。
「乳酸菌の宝庫」とも呼ばれ、12〜30種類もの善玉菌が含まれていると言われています。善玉菌と善玉菌のエサとなる食物繊維を一緒に摂取できるので、腸内環境を整えるのに最適な食べ物です。
スーパーで比較的安価に購入でき、調理の必要もないので、毎日の食事にぬか漬けをプラスしてみるのはいかがでしょうか。
7.甘酒
蒸した米に麹菌を加えて作られる甘酒は、その栄養価の高さから「飲む点滴」とも呼ばれます。
善玉菌のエサとなる食物繊維とオリゴ糖が豊富に含まれ、腸内環境を改善する効果があります。便秘気味の方や、下痢やお腹の張りが気になる方にもおすすめです。
甘酒の摂取量は1日あたり100〜200mlまでを目安にしてください。糖質が多くカロリーも高いので、飲み過ぎには注意が必要です。
8.麹
腸活にとことんこだわりたい方には、身近な食材を発酵食品に変身させる麹をおすすめします。
麹は米や麦、大豆などに麹菌をつけて繁殖させたもので、醤油や味噌、日本酒を造るのに欠かせません。家庭では塩と混ぜて塩麹を作り、さまざまな料理に活用できます。
塩麹は塩の代わりとして使えるので、どのような食材とも合わせられます。酵素の力で食材をやわらかくする効果もあるため、肉料理との相性が抜群です。
9.食物繊維を多く含むもの
善玉菌のエサとなる食物繊維は、腸活に欠かせない栄養素の一つです。
以下の表に食物繊維を豊富に含む食べ物をまとめました。
水溶性食物繊維を 多く含む食品 |
昆布・わかめ・大麦・オートミール・大根・ピーマン・キウイ・ピーマン・しいたけ・バナナなど |
---|---|
不溶性食物繊維を 多く含む食品 |
レタス・キャベツ・ほうれん草・ブロッコリー・かぼちゃ・大豆・きのこ類、こんにゃくなど |
水溶性食物繊維は大腸で発酵・分解され、ビフィズス菌などの善玉菌を増やします。糖質をゆるやかに吸収し、血糖値の急激な上昇を抑える効果もあります。
これに対して、不溶性食物繊維は腸の動きを活発にして便通を促すのが特徴です。水溶性食物繊維に比べて発酵性は高くありませんが、お腹の調子を整えるという意味では重要な栄養素の一つです。
10.オリゴ糖を多く含むもの
オリゴ糖も善玉菌のエサとなるものの一つです。
整腸作用や腸内細菌を増やす効果があるので、オリゴ糖を多く含む以下の食べ物を積極的に摂取しましょう。
- 大豆製品
- ごぼう
- 玉ねぎ
- にんにく
- バナナ
- はちみつ
- アスパラガス
- とうもろこしなど
オリゴ糖は上記の食品から摂取する方法と、オリゴ糖を主成分とするシロップから摂取する方法があります。
オリゴ糖シロップは砂糖の代用品として活用できますが、長時間加熱するとオリゴ糖が分解されてしまうので使い方の工夫が必要です。
簡単!腸活レシピ3選
ここからは腸内環境を整えたい方におすすめのレシピをご紹介します。
すでにご紹介した食品で簡単にできるものばかりですので、食生活の見直しが必要だと感じる方は今日から試してみてください。
1.発酵食品たっぷり【納豆×キムチ×豆腐のグラタン】
【材料(1人分)】
- 納豆…1パック
- キムチ…20〜30g
- 豆腐…100g
- 卵…1個
- スライスチーズ…1枚
- 刻みのり…適量
【作り方】
- 納豆・キムチ・卵を混ぜる
- 耐熱皿に水を切った豆腐を乗せる
- 2に1をかける
- 3にスライスチーズと刻みのりを乗せる
- オーブンで焦げ目がつくまで焼く(目安は200wで10分程度)
ワンポイントアドバイス
納豆のタレも入れてください。キムチに味がついているので味付けは不要です。
発酵食品をたっぷり使ったレシピです。材料を混ぜてオーブンで焼くだけなので簡単に作れます。豆腐を使うことで食物繊維やオリゴ糖もプラスできます。
2.朝食に食べたい【ヨーグルト×オートミール×果物】
【材料(1人分)】
- ヨーグルト…100g
- オートミール…20g
- バナナ…1/2本
- オリゴ糖シロップ…適量
【作り方】
- 耐熱皿にオートミールを入れてヨーグルトをかける
- 電子レンジで30秒あたためる
- バナナとオリゴ糖シロップをかける
ワンポイントアドバイス
電子レンジでオートミールをあたためる時短メニューです。ヨーグルトは長時間加熱すると乳酸菌が死んでしまうので、あたためる時間は30秒以内にするのがポイントです。
3.食物繊維たっぷり【きのこの味噌汁】
【材料(1人分)】
- 水…150〜200ml
- 味噌…15g
- 和風顆粒だし…1g(小さじ1/4程度)
- きのこ…適量
【作り方】
- 鍋に水と顆粒だし、きのこを入れて沸騰させる
- 弱火にして味噌をとく
ワンポイントアドバイス
発酵食品と食物繊維を組み合わせた腸活におすすめのレシピです。火を使うのが面倒な時は、きのこを電子レンジであたためて味噌と顆粒だしを入れ、お湯を注ぐだけでも作れます。
腸内環境はどのくらいで変わる?目安となる期間
腸内環境を整える食べ物を積極的に摂取し、その効果を実感できるまでには早くても数週間、一般的には2〜3ヶ月ほどかかります。
腸内環境が改善されたかどうかは便の状態や体調の変化で確認できます。
- 便秘や下痢の頻度が減る
- 便の状態が良くなる
- お腹の張りがおさまる
- 目覚めが良くなる
- 疲れにくくなる
- 肌の調子が良くなる
- ぽっこりお腹がすっきりする
このような変化が見られれば、腸内環境が順調に整い始めているサインです。
腸活をスタートしてからとくにチェックしたいのが便の状態です。便は健康のバロメーターであり、色や量、硬さに健康状態が反映されると言われています。
理想の便はバナナ状で、いきまずにするりと出てきます。便秘や下痢でお悩みの方は、排便の回数や便の状態をチェックしてみてください。
腸内環境を整えるとどうなる?効果とメリット
腸内環境を整えることは体にさまざまなメリットをもたらします。
- 免疫機能が高まる
- 病気やけがに強い体が作れる
- 血清コレステロールが低下する
- 睡眠の質が上がる
- 肥満を予防できる
ウイルスや細菌から体を守る免疫細胞の約7割は腸に生息していると言われています。腸内の善玉菌が優勢に働くことで免疫力が保たれ、病気に負けない強い体が作られます。
善玉菌が増えると血清コレステロール値も低下するので、心筋梗塞や脳梗塞、肥満の予防にも効果的です。
また、腸内環境は睡眠の質にも大きな影響を与えます。腸内が良好な状態であるほど睡眠の質も上がり、結果として日中のパフォーマンス向上という新たなメリットにもつながります。
腸内環境が悪い時に出やすい症状
以下は腸内環境が悪化した時に見られる症状です。
- 下痢・便秘
- お腹の張り
- おならがくさい
- 肌荒れ
- 不眠
- 体調を崩しやすい
不規則な生活や栄養に偏りのある食事、ストレスが続くと腸内細菌のバランスが乱れます。悪玉菌が優勢に働くと、まずは下痢や便秘といったお腹の不調が現れます。
悪玉菌が増殖すると有害物質やガスが発生し、肌荒れや不眠、感染症などを引き起こすことも。
お通じに問題があり、肌や体調が優れない日が続く場合は腸内環境が悪化している可能性が考えられます。
お腹の不調は病気のサイン?気になる症状は早めの検査を
腸内環境を整えることは、便通の改善だけでなく病気の予防にもつながります。
反対に、体調に不安がある時は腸内環境が悪くなっているサインかもしれません。便秘や下痢、お腹の不調が見られる時は医療機関で検査を受けることをおすすめします。
お腹の不調が続く場合は大腸の病気が潜んでいる可能性がありますが、これらの病気は早期に発見できると内視鏡などで除去することが可能です。
当院では鎮静剤や静脈麻酔薬を使った内視鏡検査を行っています。大腸がんは40歳以上になると発症率が増加するため、とくに40歳以上で慢性的な便秘・下痢でお悩みの方は内視鏡検査をすることをおすすめします。
【参考元】