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食道がん

食道がんとは?

食道がんは、食道の内壁を覆っている上皮細胞の異常な増殖によって発生する悪性腫瘍です。食道は、口から胃へと食物を運ぶ管状の臓器であり、食道がんはこの管の内側の粘膜から始まります。発症の原因は複数あり、リスク因子には喫煙、アルコール摂取、遺伝などが挙げられます。

食道がんにはいくつかのタイプがありますが、日本では食道の扁平上皮がんが一般的です。食道がんは早期発見が困難なケースが多く、進行が速い病気であるため、適切な治療が重要です。治療法には、手術による切除、放射線治療、化学療法などがありますが、治療法の選択は病状やステージによって医師が判断します。

このページでは食道がんについて解説させて頂きます。

日本における食道がんの統計データ

日本における食道癌の有病率は、男性の悪性腫瘍の中で第8位であり、女性においては第12位です。死亡数においては、男性で第6位、女性では第12位となっています。食道癌の発症に関しては、年齢が上がるにつれて発症率が増加する傾向があります。また、男性の方が女性よりも発症率が高いことが報告されています。食道癌の早期発見と適切な治療が重要となりますが、日本においては食道がん検診の普及率も低く、発見が遅れがちです。

食道がんのリスク因子

  • 喫煙
  • 飲酒(アルコール摂取)

食道がんの主なリスク因子として有名なのが、喫煙・アルコール多飲です。
食道がんになる方のほとんどがこのどちらか又は両方に当てはまります。
※フラッシャーとは?
フラッシャーは、アルコールを飲むとすぐに顔が赤くなる方の事を言います。フラッシャーの方は特に食道がんのリスクが高いと言われていますので、必要以上の飲酒は避け、定期的な内視鏡検査が必要です。

その他、辛い物や熱い物の食べ過ぎなどの刺激、肥満、遺伝的要素などがリスク因子であると言われています。

食道がんの症状

食道がんの初期症状は、受診を促すほどのものではないことが多く、早期発見が難しいです。
初期兆候には、嚥下時の違和感や軽度の胸部不快感があります。
進行すると、次のような症状が現れます。

  • 嚥下困難
  • 胸部痛
  • 喉の痛み
  • 声が枯れる(嗄声)
  • 体重減少

これらの症状が現れた場合は、速やかに医師の診察を受けることが重要です。

食道がんの診断と検査

食道がんの診断は、患者の症状や医師の診察結果に基づいて行われます。検査方法には胃カメラ検査、バリウム検査、CT検査が主に用いられ、それぞれが異なる目的で行われます。

胃カメラ検査

食道がんのほとんどが、胃カメラ検査で発見する事が可能です。
当院で使用している胃カメラにはNBI(Narrow band image)が搭載されており、食道がんはこのNBI撮影によりBrownish erea(茶色い領域)としてとらえる事ができます。
提示した写真は、左側が通常の胃カメラ画像、右側がNBI画像です。通常視でも異常は捉えられますが、NBIにすると正常な粘膜と腫瘍の境界が明瞭となります。通常視の画像の印象よりも実際には広い領域まで腫瘍が及んでいる事がNBI画像にて確認されます。
当院では胃カメラ検査を行う全患者様に、NBIを使用した観察を行っており、見逃しのない食道がんの拾い上げを行っています。

胃カメラについて詳しくはこちら

バリウム検査(消化管造影検査)

バリウム検査は、食道がんの診断にも利用される検査方法です。
バリウムという白い粉を飲み込み、X線撮影を行うことで、食道や胃の形状や状態を確認します。
食道がんが疑われる場合、手術などの治療前にこの検査で病変の位置や大きさ、進行具合を把握することができます。
ただし、早期の食道がんをバリウムで診断するのは非常に困難であり、病気を発見する能力では明らかに胃カメラに劣るのが現状です。

CT検査

CT検査は、食道がんが発見された際に、病変の進行度や転移の有無を調べる目的で行います。
大きな食道がんであれば、CTで検出されるのですが、早期のがんをCTで発見するのは不可能であり、診断の観点で行われる事は稀です。

食道がんのStage診断

食道がんのStage診断は、患者様の治療方法を決定する上で非常に重要な評価項目です。
食道がんは4つのStageに分類され、Stage Iは早期で癌が薄い範囲にとどまっているもの、Stage IVは転移が広範囲に及んでいるものです。
Stage診断には、胃カメラ検査、バリウム検査、CT検査などが用いられますが、患者様の状況や病変の位置によっては、PET検査やMRI検査が行われることもあります。

食道がんの治療方法

食道がんの治療方法は、病状や進行度に応じて選択されます。
主な治療方法としては、

  • 内視鏡手術
  • 抗がん剤治療
  • 放射線療法
  • 外科手術

があります。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

食道がんの粘膜下層剥離術(ESD)は、早期食道がんの治療方法の一つであり、内視鏡を使って病変を切除する手術です。食道の粘膜層と筋層の間にある粘膜下層を剥がし、がん細胞を取り除きます。
ESDは、低侵襲であり、入院期間や術後の負担が軽減されるという長所があります。しかし、技術が難しいため、熟練した医師が行う必要があります。
また、ESDは診断的な側面も有しており、ESDで切除した食道がん病変を病理的に観察して再発の有無を確認し、再発の可能性が高い場合には追加で放射線治療や手術を行う可能性もあります。

抗がん剤治療

食道がんの抗がん剤治療は、がん細胞の増殖を抑制し、腫瘍の縮小を目指す治療法です。
手術前に腫瘍を小さくする目的や、残念ながら全身に転移のある患者様への治療のために行われます。

放射線療法

食道がんの放射線療法は、食道がん細胞に直接放射線を照射し、細胞の増殖を抑える治療法です。手術が困難な場合や、手術後の再発予防として用いられます。
ただし、最近では食道がんに対して放射線治療は非常に効果的であることが分かっており、抗がん剤との併用で根治が見込める食道がんもみられます。

手術

内視鏡切除が難しい施行した食道がんで他の臓器への転移がない場合に選択されます。
高い根治性が望める反面、非常にリスクの高い手術であり、術後にリハビリテーションや食事制限などが必要になる場合もあります。

当院で行う事のできる食道癌診療の流れ

1
初診外来
問診:喫煙の有無、アルコール多飲歴などを伺い、症状を問診します。
胃カメラの日程を予約します。

 

2
胃カメラ当日
内視鏡検査で病変を確認します。
早期の食道がんの場合、生検により内視鏡治療が難しくなる可能性もあるため、明らかな早期食道がんであれば生検をしない、ないし最小限の処置に留めることがあります。
進行した食道がんが発見された場合には、生検を行いつつ、結果を待たずに治療が可能な高次医療機関へのご紹介も検討します。

 

3
結果説明外来
生検により組織検査で食道がんであることが確定したら、治療が可能な高次医療機関へご紹介させて頂きます。

 

当院では、麻酔薬を使った苦痛の少ない内視鏡検査を行っています内視鏡専門医である院長が責任を持って担当し、胃・大腸カメラを同日施行する事も可能です。

胃の症状があり、胃カメラを受けるべきか相談したい方は【外来Web予約】へお進みください。

他院からの紹介状などがあり胃カメラを予約したい方は【胃カメラWeb予約】へお進みください

 

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