高尿酸血症・痛風
高尿酸血症・痛風とは?
高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が7.0mg/dl以上を指します。日本の成人男性における高尿酸血症の頻度は30歳以降では30%に達していると推定され、非常に頻度の高い疾患です。アルコールの摂取に関わりが強い事でも知られています。
高尿酸血症の患者さんの多くは、健康診断などで初めて指摘を受ける場合が多く、症状のない患者さんがほとんどです。
症状のない高尿酸血症の患者様の2/3以上が無症状のまま経過しますが、中には尿酸の結晶が関節に沈着し、突然の腫れ・激痛が生じる事があり、この状態を痛風発作と呼びます。また尿酸血症が腎臓に蓄積し、腎機能障害を生じる事もあります。
高尿酸血症・痛風の診断
1) 高尿酸血症
採血にて尿酸値が7.0㎎/dl以上と定義されています。
高尿酸血症の主な原因はアルコール多飲や肥満(プリン体過剰摂取)です。しかしそれ以外にも脱水や甲状腺機能低下症、薬剤性、急性白血病や悪性リンパ腫のような血液系悪性腫瘍などによっても生じる事があり、それらを念頭におく必要があります。
2)痛風関節炎(痛風発作)
診断は厳密にはACR/EULAR痛風分類基準などを用いて症状やデータをスコアリングして行います。
ここでは症状やデータの特徴を要約して述べます。
・症状の特徴
ⅰ)足の親指の付け根に激しい痛みが生じる
ⅱ)その他好発部位としては足の甲、足関節、膝関節、手関節などがある
ⅲ)痛みは発作的に生じ、しばらくすると改善する
・検査上の特徴
ⅳ)発作前に高尿酸血症が存在する
※痛発作時は採血での尿酸値は低下する傾向がある
ⅴ)関節穿刺にて関節液中の尿酸塩結晶が存在する
ⅵ)関節のレントゲンで骨びらん、骨棘様変化を認める
上記のような症状から診断を行います。
鑑別疾患として偽痛風があります。治療方針が異なるため、鑑別が難しい場合には専門医に紹介し、鑑別のための関節穿刺が必要となります。
高尿酸血症・痛風の治療
痛風発作の有無や合併症により治療方針が異なります。
1)生活指導
どの段階の患者さんにおいても、まずは食生活の指導が第一になります。
2) 症状のない高尿酸血症の治療
- 生活指導を行っても尿酸値の改善がみられない
- 尿酸値9㎎/dl以上
- 腎障害や高血圧・糖尿病・肥満の合併がる患者様では尿酸値8㎎/dl以上
が薬物治療の適応となります。
治療目標は尿酸値6㎎/dl以下となります。
薬物治療(尿酸下降薬)として尿酸排泄促進薬(尿からの排泄を促す薬)と尿酸生成抑制薬(尿酸の生成自体を抑える薬)があります。
・尿酸排泄促進薬
- プレベネシド(ベネシッド)
- ベンズブロマロン(ユリノーム)
・尿酸生成抑制薬
- アロプリノール(ザイロリック)
- フェブキソスタット(フェブリク)
上記が代表的な薬剤であり、腎機能障害や尿路結石合併の有無などにより使い分けを行います。
例)
- 尿路結石の既往や合併がある場合
→尿酸生成抑制薬を使用 - 腎機能障害のある場合
→尿酸生成抑制薬を使用 - 各種検査で尿酸排泄低下型の診断となった場合
→尿酸排泄促進薬を使用
3) 痛風関節炎(痛風発作)の治療
痛風の激烈な症状を抑えるための治療が第一選択となります。
治療薬としては
- コルヒチン
- NSIADs (ナイキサン)
- ステロイド
が挙げられます。
※尿酸降下薬の使用
痛風発作の最中に尿酸降下薬を開始してしまうと、痛風発作が悪化したり遷延化することが多く、ガイドラインでも痛風発作中に尿酸降下薬は開始しないこととされています。
4)痛風発作の再発予防
痛風発作の2週間後程度から尿酸下降薬を少量より開始し、徐々に増量します。
また尿酸下降薬開始後3か月から半年は痛風発作の再発頻度が高いため、コルヒチン、NSAIDs、ステロイドのいずれかを予防的に継続投与することが推奨されています。
外来の予約
高尿酸血症の診断、治療について簡単にまとめさせて頂きました。検診で高尿酸血症を指摘された場合などは当院外来をご予約頂けますと幸いです。