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胃ポリープ

目次

 

胃ポリープとは?

健診などで胃ポリープを指摘された方は多いのではないでしょうか?

胃ポリープは悪いものなのか? 胃ポリープは治療が必要なのか? と不安な気持ちにもなりますよね。

胃ポリープとは、胃の内側にある粘膜が隆起してできる良性のできものです。

胃ポリープといっても、その中にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。

場合により治療が必要なものもありますので、是非胃ポリープについて知りたい方はこのページをお役立てください。

 

胃ポリープの種類

胃ポリープにはいくつかの種類があります。

主な種類として、

  • 胃底腺ポリープ
  • 過形成ポリープ
  • 胃腺腫

が挙げられます。

それぞれのポリープには特徴があり、治療や経過観察が異なるため、正確な診断が重要です。胃カメラ検査での観察、並びに生検による組織採取にて診断する事が可能です。

胃底腺ポリープ

胃底腺ポリープは、ピロリ菌感染のない綺麗な胃の方に発生しやすく、医師によっては『ラッキーポリープ』とも呼ばれます。

私も胃カメラ検査で胃底腺ポリープを見つけたら、『がんのリスクの少ない方に起こりやすい、あったら嬉しいポリープです』とお伝えしています。

隆起はあるものの、周囲の正常胃粘膜と見た目が変わらない事が特徴であり、通常胃カメラでの見た目の観察だけでほとんどが診断可能です。

ただし、年々増大するものや大きさが10mm以上、形がいびつなどの場合には、一度組織検査を行い、本当に胃底腺ポリープで良いか病理的な診断を行う事もあります。

胃底腺ポリープの場合、通常癌化する事はないため、数年に一度の胃カメラ観察のみで可です。

過形成ポリープ

胃過形成ポリープは、ピロリ菌感染のある胃粘膜を背景に形成されるポリープです。

見た目は終胃粘膜と比べて発赤が強いのが特徴です。

過形成ポリープも通常は良性ですので経過観察で構いませんが、胃底腺ポリープに比べると癌化の報告もみられます。

胃底腺ポリープ同様、増大傾向や10mm以上のもの、形がいびつな場合には、一部にがんが含まれている可能性も考慮し、生検による組織採取で診断を行います。

胃過形成ポリープの場合、血流が多い腫瘤なため出血を来す事がたまにあります。そのような場合の治療としては

  • 胃酸分泌抑制薬の内服
  • ピロリ菌の除菌治療
  • ポリープの内視鏡的な切除

などがあります。

ピロリ菌の除菌を行う理由は、除菌により過形成ポリープの縮小がみられるため、出血のコントロールにもつながるためです。

胃カメラを行う頻度としては、1年に1度の施行が推奨されています。

胃腺腫

胃腺腫は、今までに紹介した胃底腺ポリープや過形成ポリープとは異なり、腫瘍性のポリープに分類されます。

胃の場合、腫瘍性の中で、良性=腺腫悪性=がん です。

胃腺腫は、内視鏡的には『白色扁平隆起』と表現されることが多く、その名の通りやや白色調の丈の低い扁平な隆起性病変として観察されますが、肉眼的にはがんとの見分けがつきにくい事もあります。

診断は生検による組織検査にて行いますが、腺腫の場合、病変全体の一部だけが癌化している事もあるため、生検の結果が腺腫であっても安心はできません。

治療は、内視鏡的な切除(ESD)を行います。腺腫自体は良性の腫瘍であるため、病変の大きさや形態、その患者様の年齢や合併症の有無をみて総合的に治療方針を判断する必要があります。

  胃底腺ポリープ 過形成ポリープ 腺腫
頻度
ピロリ菌 陰性 陽性 陽性
症状 なし 稀に出血 なし
治療 不要 稀に必要 必要な事が多い

 

胃ポリープとピロリ菌感染の関係

胃ポリープの中でも、前述の過形成ポリープと胃腺腫は、ほとんどの場合ピロリ菌陽性の胃炎を背景に起こります。

どちらの場合もピロリ菌の除菌治療は有効ですが、それぞれのポリープで除菌を行う意味はやや異なります。

過形成ポリープの場合には、除菌によりポリープの縮小が期待できます。

一方胃腺腫の場合には、既に腫瘍性ポリープであるため除菌による縮小効果は期待できません。胃腺腫を内視鏡的に切除した場合には、その後他の部分にも胃腺腫または胃がんが再燃しやすいとされています。ですので、その再燃を防ぐ意味でもピロリ菌の除菌が有用なのです。

胃ポリープの症状

胃ポリープはほとんどの場合無症状であり、健康診断のバリウム検査や胃カメラ検査で偶発的に発見されます。

ここに挙げる症状は、ポリープがかなり大きくなった場合に稀にみられる症状とご理解下さい。

  • 嘔気、嘔吐
  • 黒色便
  • 貧血

胃ポリープの診断と検査

胃ポリープの診断には、胃カメラ検査が欠かせません。

他にも、バリウム検査やCT検査が行われることもありますが、小さなポリープは検出できないため注意が必要です。

胃カメラ検査

胃ポリープの診断において、胃カメラが最も有用な検査となります。

まず胃カメラ検査で、病変を内視鏡的に観察し、必要に応じて生検による組織検査を行う事で、胃ポリープの診断を付ける事ができます。

当院では、苦痛の少ない胃カメラ検査を行っておりますので、胃ポリープを指摘された方は是非お気軽に当院にお越しください。

胃バリウム検査

人間ドックのオプションとしてバリウム検査を行う事が現在でもあります。

バリウム検査の場合、ポリープがある事は確認できても、その質的な診断をすることはほぼ不可能です。

バリウム検査で胃ポリープを始めとした異常を指摘されたら、一度は必ず胃カメラ検査が必要です。

ポイント:バリウム検査と胃カメラ検査

  バリウム検査 胃カメラ検査
苦痛 小~大(やり方により異なる)
精度
組織検査 不能 可能
お勧め ×

胃ポリープの治療

胃ポリープのほとんどが、特に治療を必要としません。

  • 経過観察
  • ピロリ菌の除菌
  • 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
  • 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

経過観察

胃ポリープのほとんどが、定期的な胃カメラ検査のフォローアップのみで構いません。

胃底腺ポリープのみの場合には、毎年の胃カメラ検査すら必要とせず、数年に1度胃カメラをする程度で十分と思われます。

過形成ポリープの場合にはほとんどの場合ピロリ菌感染を生じているため、ピロリ菌感染に準じて1年に1度の胃カメラ検査を推奨しています。

ピロリ菌の除菌

過形成ポリープ並びに胃腺腫の場合には、全例でピロリ菌の除菌が推奨されます。

除菌治療自体はリスクの高い治療ではなく、ピロリ菌陽性の方はポリープのみならずがんのリスクも高いため、絶対に除菌治療を行いましょう。

ピロリ菌について詳しくはこちらをご覧ください。

内視鏡的粘膜切除(EMR)・ポリペクトミー

胃過形成ポリープで、病変が茎を伴うようなタイプのポリープを切除する際に有効です。

スネアという金属の輪っかをポリープの茎にかけ、高周波装置で通電してポリープを焼き切ります。

胃の場合胃酸があるため、治療後の出血リスクがあります。

内視鏡的粘膜下層切除術(ESD)

胃腺腫の場合には『白色扁平隆起』であるため、スネアをかける事が困難です。

ESDは粘膜下層と呼ばれる部位に生理食塩水を注入し、病変を浮かせながら様々な器具を用いて病変を剥し取る治療です。

病変を一括で確実に切除する必要がある場合には、非常に有用な処置ですが、高度な技術が必要です。

内視鏡処置について詳しくはこちらをご覧ください

 

胃ポリープに関するよくあるご質問

Q.バリウム検査で胃ポリープを指摘されました。胃カメラ検査が必要ですか?

バリウム検査だけでは、上述したようなポリープの種類までは見分けられません。従いまして、バリウム検査でポリープを指摘された場合、一度は胃カメラ検査を行い、リスクのあるポリープかどうかを判断する必要があります。

Q.胃ポリープがあります。大腸ポリープとの関連はありますか?

家族性大腸腺腫症という稀な病気の場合、大腸のみならず胃や十二指腸にもポリープが多発する事があります。

しかし、大抵の場合、胃ポリープと大腸ポリープの関連性はありません。

Q.胃腺腫を指摘されました。切除が必要でしょうか?

胃腺腫の場合、通常診断には生検検査を行いますが、生検で採取した部位以外にがんが潜んでいる可能性も否定できません。従って、大きさや形態にもよりますが、通常病変全体を切除し、がんの合併がないかどうか確認する事が多いです。

【監修者】

かわぐち内科・内視鏡クリニック

川口 佑輔

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