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内視鏡処置について

内視鏡検査を行うと、生検(組織の一部をつまむ検査)や大腸ポリープを切除する治療など様々な検査を行う可能性があります。

この項目では、それぞれがどのような検査・治療かをご説明させて頂きます。

【監修者】

かわぐち内科・内視鏡クリニック

川口 佑輔

そもそも内視鏡的な処置はどのように行っているの?

オリンパス社より

内視鏡で処置を行うと言ってもイメージが湧かないと思いますので、オリンパス社の模式図を参考に解説させて頂きます。

内視鏡装置には、鉗子チャンネル・鉗子口が存在しています。

鉗子チャンネルは、術者がスコープを保持する手元についており、スコープの中を通り、スコープ先端に繋がっています。(出口を鉗子口と呼びます)

内視鏡処置とは、内視鏡先端の対物レンズから得られた画像を術者が認識し、鉗子チェンネルから鉗子口に様々なデバイス(器具)を入れ処置を行う事を指します。

ここから先は、内視鏡検査にてよく行う処置について解説させて頂きます。

生検

生検とは、内視鏡における代表的な処置の一つであり、内視鏡的に認識した病変の一部を生検鉗子と呼ばれるカップで採取し、組織検査に出す事を言います。

病変の全てを切除できる訳ではなく、あくまでも病変の一部を採取し、病気の性質を診断する検査となります。

Microtech Endoscopyより

対象疾患

  1. 胃がんの診断
  2. 大腸がんの診断
  3. 潰瘍性大腸炎の診断
  4. ピロリ菌の診断
胃がんの診断

胃がんの診断には内視鏡的な生検検査が欠かせません。

また胃がん以外でも、いわゆる上部消化管(食道、胃、十二指腸)のあらゆる腫瘍性病変で、生検検査は最も頼りになる診断方法です。

胃がん

大腸がんの診断

進行した大腸がんでは、必ず生検による組織診断が必要となります。

大腸がんの場合、内視鏡的な見た目で診断を間違える事はほとんど無いのですが、生検を取ることにより、遺伝子学的ながんの特徴も調べることができ、抗がん剤治療になった際に使用する薬剤を決める一助になります。

ただし早期の大腸がんでは、生検を行わない事もあります。これは、見た目で腫瘍性病変であるかはほぼ間違えなく分かることと、大腸粘膜は胃に比べて薄いため生検検査をする事で瘢痕という変化が起き、内視鏡で早期がんを切除する際の難易度が上がってしまう恐れがあるからです。

いずれにせよ、大腸がんの診断に生検は非常に有用な検査となります。

大腸がん

潰瘍性大腸炎の診断

潰瘍性大腸炎の診断にも生検は必須の検査です。

  • 潰瘍性大腸炎であるかどうか
  • 潰瘍性大腸炎の組織学的重症度判定

この2点が分かるため、潰瘍性大腸炎を疑ったら必ず生検検査を行います。

潰瘍性大腸炎

ピロリ菌の診断

胃カメラで『萎縮性胃炎』という粘膜所見が見られた場合、ピロリ菌の感染を疑います。

萎縮性胃炎を認めた場合、胃カメラで胃の粘膜を生検する事でピロリ菌がいるかどうかを判定する事が出来ます。

ただし、胃酸分泌抑制薬を内服している場合にはしっかりとした判定が出来ない為、この方法によるピロリ菌判定は行いません。

ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)

生検のリスク・合併症

生検で起こりうるリスク・合併症は出血です。

内視鏡学会による定義では、生検は『低出血危険度処置』にあたります。

『低出血危険度』の名の通り、現実問題としては生検のみで出血を来すことはほとんどなく、比較的安全な処置と呼べます。

血液をさらさらにする薬を飲んでいる方はリスクが上がりますので、外来受診時は是非お薬手帳を持参して下さい。

 

ポリープ切除 ~種類と特徴~

大抵の場合、大腸のポリープ切除を指します。

ポリープ切除術は生検とは違い、ポリープそのものを全て切除する方法です。

胃ではポリープを切除しない理由

厳密には胃でぽポリープ切除を行う事もあります。

ただし大抵の場合は入院で行う処置です。

胃には『胃酸』があるため、胃酸の刺激により切除した後に出血を来す事が多いためです。

また、胃のポリープは大腸ポリープと違って癌化のリスクがほとんどないため、ポリペクトミーにより全て切除する必要がない事も胃でポリペクトミーを行わない理由の一つです。

 

ポリープ切除方法の種類としては、

  • CFP(Cold Forceps Polypectomy) 
  • CSP(Cold Snere Polypectomy)  
  • ポリペクトミー
  • EMR(内視鏡的粘膜切除術)
  • ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

などがあります。

CFP(Cold Forceps Polypectomy)

オリンパス社より

CFPとは、通称『ジャンボ』と呼ばれる大きなカップの鉗子を用いてポリープを切除する処置を指します。

処置として難易度が低く、出血のリスクもほとんどないため、小さいポリープを切除するためには非常に有用な方法です。

一方で、4㎜を超えるポリープでは病変の一部を取り残してしまうリスクが高く、3㎜以下のポリープのみが適応となります。

CSP(Cold Snere Polypectomy)

Microtech Endoscopyより

元々いわゆる『ポリペクトミー』といえば、スネアという輪っかをポリープに引っ掛け、電気を通電して焼き切る方法を指していました。

しかしその方法では出血のリスクや遅発穿孔(ポリープ切除後数時間から数日後に腸が破れる)のリスクが問題となっていました。

CSPはスネアという金属の輪っかを広げてポリープに引っ掛け、その輪っかをしぼる事でポリープを切除する方法です。

ここ数年に急速に広まった、電気を通電して切除する従来の方法より安全性の高いポリープ切除方法であり、当院でも最も使用する頻度が高い方法です。

大きさは通常10mmほどまでであり、10mmを超えるものは、以下に記載するEMRという方法で切除することとなります。

ポリペクトミー

ポリペクトミーは、前述したCSPと同様に病変にスネアをかけ、その後通電してポリープを焼き切る方法です。

現在ではCSPが主流となってきており、ポリペクトミーは茎を伴うような隆起性の病変にのみ行う事が多くなってきています。

EMR(内視鏡的粘膜切除術)

EMRは前述の方法で切除できない大きさのポリープを切除する際に使用します。

大腸の壁は

  • 粘膜:大腸カメラで見えている一番内側の膜
  • 粘膜下層
  • 筋層
  • 漿膜

からなっており、ポリープは粘膜にできます。

大きく平坦なポリープを切除する際には、粘膜下層に生理食塩水を注入して病変を浮かし、前述のスネアを使いポリープを電気を流しながら焼き切ります。

大きな病変を切除できる反面、出血や穿孔のリスクが上がります。

ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

EMRでも切除できないような20mm以上の平坦な病変を切除する方法です。

基本的に内視鏡難易度としては一番高いレベルの処置であり、穿孔のリスクも高いため、入院して行う処置となります。

 

ポリープ切除方法のまとめ

  CFP CSP ポリペクトミー EMR ESD
難易度 易しい 易しい 普通 普通 難しい
出血率 普通~高 普通~高 普通~高
取れるポリープの大きさ 3mm以下 10mm以下 20mm以下 20mm以下 20mm以上
当院での取り扱い × × ×

大腸ポリープ切除の場合、出血率は一般的にさほど高くはありません。

ただし、ポリープの性状により出血のリスクが高いものもありますので、『普通~高』と記載致しました。

 

異物除去

異物除去と言われてもピンと来ない方も多いと思います。

よくあるのが、

  • 薬の入れ物(PTP)ごと飲んでしまった
  • 入れ歯の一部を飲んでしまった

などです。

食道に詰まると、飲み込む時の違和感が強く、最悪の場合穿孔(消化管の壁に穴があくこと)し命に関わる事もあります。

詰まったものの大きさや形、場所により治療方法は異なりますが、大抵は口から内視鏡を入れ上述した生検鉗子で異物を把持して口から除去します。

 

止血術

消化管の出血に対する止血処置を指します。

対象疾患

  • マロリー・ワイス症候群
  • 食道静脈瘤出血
  • 出血性胃・十二指腸潰瘍
  • 血管拡張症からの出血
  • 憩室出血
  • 急性直腸潰瘍

治療方法

止血の方法としては、

  • クリップ止血術
  • 内視鏡的静脈瘤結紮術
  • 高周波焼灼術
  • アルゴンプラズマ凝固法
  • トロンビン散布
  • 局注法

などがあります。

羅列して記載しましたが、消化管出血が今まさに起こっている場合、疾患にもよりますが入院できる高次医療機関での止血が必要となります。

出血量が多い場合には、クリニックではなく高次医療機関にご連絡下さい。

また高次医療機関に受診した方が良いのか迷わしい場合には、一度ご連絡下さい。状況を伺った上で、当院でも対応ができるか検討させて頂きます。

 

当院で採用している内視鏡的処置

当院で採用している内視鏡処置は

  • 生検
  • ポリープ切除の中のCFPとCSP
  • 異物除去(小さいものに限る)
  • 止血術(クリップ止血術、トロンビン散布)

です。

ポリープ切除に関してEMRまでを行っている内視鏡クリニックもありますが、

  • 処置に時間がかかる
  • 出血のリスクが高い
  • 万が一出血を来した際夜間などの対応が当院では難しい
  • 切除した検体の回収が難しい

といった理由により当院では採用しておりません。

ただし、現在までの当院の統計では、ポリペクトミーまでで95%以上のポリープが切除できており、大きな問題はないと考えています。

止血術に関しては、出血量や想定される疾患により、当院で対応できるものとできないものがあります。

消化管出血を疑う症状の場合には予め当院にご連絡を頂けますと幸いです。

 

 

当院では、麻酔薬を使った苦痛の少ない内視鏡検査を行っています内視鏡専門医である院長が責任を持って担当し、大腸ポリープがあれば当日切除も可能です。

検査の説明を聞いてから大腸カメラを受けたい方は【外来Web予約】へお進みください。

先に検査日を決めたい方は【大腸カメラWeb予約】へお進みください。

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