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風邪

風邪

風邪の定義は様々ありますが、概ね『自然に良くなるウイルス性の上気道(喉、気管支)感染症』とされています。一言で風邪といっても診断は実はとても難しく、風邪と当初診断した患者さんの中には、実は他の病気が隠れていることも珍しくありません。

大切な事は、➀風邪であることを的確に診断することと、➁風邪に隠れて他の疾患が存在している場合にも、適切な検査・外来フォローにより、重篤になる前に気づき、適切な高次医療機関に引き継ぐこと と考えます。

風邪の症状

風邪は『ウイルス性の上気道感染』でしたから、基本的な症状は鼻汁咽頭痛の3症状です。この3つの症状が同時に同程度あれば、典型的な風邪型と呼ぶことができます。

上記の3症状の中で、➀鼻汁がメイン ➁咽頭痛がメイン ③咳がメイン のタイプは、それぞれ見逃してはいけない通常の風邪以外の疾患が隠れている可能性があり、注意が必要となります。

発熱を主訴として外来を受診する場合も、基本的には風邪と考えて受診する事が多いと思います。上記の3症状以外の症状+発熱を呈する場合には、通常の風邪以外の疾患が隠れている可能性があります。

風邪に似た疾患

➀鼻汁メイン型

アレルギー性鼻炎・細菌性副鼻腔炎

➁咽頭痛メイン型

A群溶連菌性咽頭炎・扁桃周囲膿瘍・急性喉頭蓋炎・伝染性単核球症・咽頭違和感症

③咳メイン型

各種肺炎

④発熱+他の症状(頭痛、関節痛、下痢や嘔吐、倦怠感など)

いわゆる『風邪』ではない可能性が高く、他の疾患を念頭に入れます。

風邪の検査

当院でできる検査としては、採血採尿レントゲン検査があります。

採血検査では、細菌性の感染症の際には白血球と、その中の成分である好中球が上昇することが知られており、診断に役立ちます。

また咳メインの風邪の場合、ウイルス性の気管支炎タイプか、細菌性の肺炎かを鑑別する必要があり、胸部レントゲンを撮像することにより、明らかな肺炎所見があればそれは『風邪』ではなく、肺炎に対する抗生剤を使用する判断につながります。

また上記には記載しませんでしたが、細菌性の感染症として非常に多いものとして肺炎の次に尿路感染症があります。尿検体をチェックし、尿中に白血球の上昇がみれれれば、それは『風邪』ではなく、尿路感染症の疑いとなります。

各種検査を行いながら、症状に応じた加療と、トリアージ(重篤な疾患が隠れているかどうかを判別し、重篤であれば高次医療機関に紹介する)を行います。

風邪の治療

『風邪』はウイルス性ですので、風邪と正確に診断できれば、抗菌薬の使用は必要ありません。むしろ抗菌薬の乱用により多剤耐性菌(いろいろな抗生剤が効かない特別な菌)が増え、大きな問題になっています。

ですので、『風邪』の治療薬は対症療法と呼ばれる症状を改善するものが主体となります。具体的には咳症状に対しては鎮咳薬を、咽頭痛や微熱に対してはアセトアミノフェンを中心とした解熱・鎮痛薬を処方します。

ただし、『風邪』であっても、症状が落ち着いてきたと思った後に再度高熱が生じる事もあります。これは通常の『風邪』を生じた後に細菌性の感染症を合併した可能性が示唆されます。(いわゆる『風邪をこじらせた』はこれに当たる可能性があります)細菌性の感染症であれば抗生剤の処方が必要になる場合がありますので、一度受診して処方薬を受けたらお終い、ではなく、症状の経過に注意して外来を経過観察していく必要があります。

 

と、ここまでが風邪の一般論ですが、新型コロナウイルス感染により、風邪の診療は大きく変わってしまいました。

新型コロナウイルス感染の影響が残る間は、風邪の症状がある方は発熱外来での診療が必要となります。

詳しくは『当院の発熱・PCR外来』をご覧ください。

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