高血圧
始めに
いきなり4コマ漫画で恐縮ですが、この4コマ漫画が、当院がまず伝えたい事を端的に表していると思い載せました。
- 高血圧のみで本当に病院にかかった方がいいの?
この疑問が恐らく最も多い疑問であると思います。
結論から言いますと、高血圧は必ず医療機関に受診が必要な病気です。
また、その他にも
- 薬は本当に飲まなければならないの?
- 同じ薬をもらうだけなのに通院を続ける必要はあるの?
- 薬の副作用は大丈夫?
このような悩みを抱えている方が多くいらっしゃいました。
このページは、患者様のこのような悩みに少しでも方えられるよう作成いたしました。
是非1人でも多くの方に読んでいただけますと幸いです!
高血圧とは
高血圧症とは、くり返して測っても血圧が正常より高い場合をいいます。くり返しの測定した診察室での血圧で、収縮期血圧が140mmHg以上、あるいは、拡張期血圧が90mmHg以上であれば、高血圧と診断されます。
現在我が国の高血圧患者さんは約4300万人いると推定されています。
高血圧症は脳卒中や虚血性心疾患の最大の危険因子です。高齢者においてこの脳心血管病は、癌とほぼ同程度の死亡原因となっており、十分な血圧のコントロールが求められています。
高血圧治療ガイドライン2019より
高血圧を放っておくと ~この事だけは分かっていてほしい~
健診で高血圧と診断されたあなた。本当に病院に行く必要があるの?と思い、病院に受診せずに放っておいていませんか?
高血圧があるだけでは症状は出ませんが、放置するうちに血管や心臓には着実にダメージが蓄積していきます。
高血圧の世界では非常に有名な久山町研究という研究があります。
上の表の様に血圧が140を超えると脳卒中の発症が2倍に増え、180を超えるとさらに倍増することが示されています。
他の研究では、収縮期血圧10mmHg、拡張期血圧5mmHg低下すると、脳卒中や心筋梗塞のリスクは、脳卒中で約40%(33%-48%)、心筋梗塞で約20%(17%-27%)減少することが示されています。(高血圧治療ガイドライン2014、日本高血圧学会編)
脳卒中や心筋梗塞は、今までの健康で幸せであった生活が一日にして終わりを迎えてしまう、非常に恐ろしい病気です。
脳卒中では一日にして半身麻痺で後遺症が残り、心筋梗塞では即命を絶たれる可能性があります。
今回の高血圧のページで、これだけは分かっていてほしいです。
高血圧は放置してはいけない病気なのです。
Happy Agingに私は様々な意味を込めます。
文字通りの『健康寿命の増進』だけでなく、ご自身の・そしてご家族の『Happy』のために、高血圧と診断されたら適切な医療機関に受診し、適切な医療を受けてほしいと切に願うのです。
高血圧の原因
高血圧の原因は大きく2つに分けられます。
1)本態性高血圧
一般的に「高血圧」という場合は本態性高血圧症を指すことが多く、高血圧患者さんの約90%が本態性高血圧です。高血圧の原因として明確な疾患がない場合にこの診断がなされます。塩分摂取過多、肥満、運動不足、ストレス、加齢、遺伝的な要因により発症するリスクが高まると考えられており、生活習慣の改善や降圧薬による治療が行われます。
2)2次性高血圧
はっきりした原因がある高血圧症は、二次性高血圧症と呼ばれ、腎実質性高血圧、腎血管性高血圧、内分泌性高血圧(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫など)、睡眠時無呼吸症候群、遺伝性高血圧、薬剤誘発性高血圧といったものが挙げられます。
高血圧の検査・診断
・問診
上に示した2次性高血圧には、特徴的な症状を呈する病気もあるため、まずは丁寧な問診が必要となります。
・血圧測定
クリニック内で血圧を測定します。ただし、クリニック内での血圧が高いからすぐに降圧薬が必要となるわけではありません。(よほど高値であれば、すぐに降圧薬を始める場合もありますが)
血圧は、健康診断や病院受診時のみ高値となる『白衣高血圧』や、逆に病院では自宅より低値となる『仮面高血圧』があります。この白衣高血圧であり、自宅での血圧が正常範囲であれば必ずしも薬による治療が必要ではないからです。
つまり、クリニックでの血圧測定は必須ですが、それ以上に大事なのは、自宅にて血圧を測定する事なのです。当院では初診時に必ず血圧手帳をお渡しし、自宅での血圧を測定して頂く様お願いをしております。
・採血
高血圧の方は、同じ生活習慣病である高脂血症や糖尿病を併発していることがあります。また上述した2次高血圧がないか調べるためにも採血は必須の検査となります。
・採尿
高血圧が続くと、腎臓に負担をかけ、高血圧性の慢性腎臓病を呈する事があります。腎臓への負担を調べるため尿検査を行います。
・心電図
腎臓と同様に、高血圧では心臓にも負担がかかります。心不全の兆候はないか?心房細動などの不整脈が生じていないかチェックするために心電図検査は行われます。
・胸部レントゲン
心電図同様、胸部レントゲン検査を行う事で、心不全の兆候が表れていないかチェックすることができます。
・超音波検査
心電図や胸部レントゲンで心臓に異常が見られた場合には、心臓超音波検査にて実際に心臓の動きや弁の異常を確認することができます。
また頸動脈の超音波を行うことで、頸動脈にプラークと呼ばれるコレステロールの塊ができていないか、動脈硬化が既に始まっていないかを確認することができます。
高血圧の治療
1)治療目標
- 合併症のない75歳未満:130/80mmHg未満
- 75歳以上の高齢者:140/90mmHg未満
- 糖尿病,慢性腎臓病,冠動脈疾患,抗血栓服用中:130/80mmHg未満
2)非薬物療法
減塩を中心とした食事療法、運動、アルコール制限、肥満の改善などの生活習慣の修正、2次性高血圧の場合であれば原因の除去などが挙げられます。
正常高値高血圧患者さんや低リスクの高血圧患者さんなどは、薬物治療の前にまずは生活習慣の是正を図る必要があります。
3)薬物治療
- カルシウム拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I)、アンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、サイアザイド系利尿薬、ベータ遮断薬
などの薬剤があります。
基礎疾患の種類により使用する降圧薬に差があります。
また最近では新しい降圧薬の登場や、合剤(複数の種類の薬剤が1錠にまとまったもの)の登場で治療がどんどんとUp dateされています。
高血圧の薬物治療に関しましてはコラムに詳しくまとめましたので、是非ご覧ください。
当院の高血圧診療~コンセプトと3つの特徴~
コンセプト
『1人1人のニーズにあった診療を行う高血圧クリニック』
3つの特徴
1 浅草駅徒歩1分・予約制
『駅に近くて通いやすい』というのは、定期的に通院が必要な患者様にとって非常に大事な要素の一つです。当院は銀座線や東武線の浅草駅から徒歩1分の非常に通院に便利なクリニックです。また予約制をとっているため、待ち時間で1時間といった事はめったにありません。
今後更にオンライン診療を導入予定ですので、少しだけお待ちください!
2 高血圧の専門医が在中
高血圧を最も得意とする科は、循環器内科です。当院では循環器内科専門医が在中しており、高血圧の専門的な治療を受ける事が可能です。
薬もただ出すだけでなく、なぜ必要か? どのような副作用に気を付ければ良いか? などを丁寧に説明させて頂きます。
3 豊富な検査設備
高血圧は、動脈硬化を起こす事で様々な障害をもたらす疾患です。当院では動脈硬化をチェックする上で欠かせない超音波検査に関しまして、専門の超音波技師を雇用しており、精度の高い検査を行う事が可能です。
当院の高血圧診療の流れ
1)初回外来
問診(患者様からの聞き取り)
普段の食生活や運動習慣、睡眠時間やストレスなどを聞き取ります。
診察
心臓や呼吸の音を聴診し、足の浮腫みや、2次性高血圧の原疾患(元となる疾患)に特徴的な所見がないかどうかを確認します。
もちろん血圧測定は必須で、診察室に入ってから少し問診をし、息が上がらなくなったところで行います。血圧測定中にお話しをするだけでも血圧が上がってしまう人もいるので、血圧測定中は会話をやめて血圧測定のみに集中します。
検査
①採血
高血圧の患者様は高脂血症や糖尿病、高尿酸血症(痛風の値)といった生活習慣病を合併している方が多くいらっしゃいますので、網羅的な採血を行います。
また、上述した2次性高血圧の原因として頻度の高い原発性アルドステロン症という病気のスクリーニングとして血漿アルドステロン濃度と血漿レニン活性という項目があります。
血圧を下げる薬を開始すると、この値の信ぴょう性が減ってしまいますので初回に採血を行っています。
②採尿
腎機能障害があると、尿たんぱくが検出されます。簡易検査で引っかけて、陽性である場合には精密検査に回します。
③心電図
高血圧があると既に心臓に負担がかかっている場合があります。
また高血圧の治療を行っても心筋梗塞を起こしてしまう患者様がいますが、もし生じた際でも初回と症状が起こった時の心電図を比較することで心筋梗塞の早期発見につながることもあります。
④胸部レントゲン
こちらも高血圧が心臓に負担をかけているかどうかを測定します。
急性心不全の際には心臓が大きくなり、胸に水が溜まったりします。
治療計画
①高血圧の重症度に応じて薬剤処方の有無を検討します。
②生活習慣の指導を行います。
③ご自宅での血圧測定を行っていただきます。
2)2回目の外来
問診
ご自宅での血圧の推移を確認します。
また、初回外来でお伝えした生活習慣の改善が進んでいるかを確認します。
検査結果の説明
初回外来での検査結果をご報告します。
治療計画
①本態性高血圧
高血圧の原因となる他の病気が見つからなければ、いわゆる高血圧として加療していく事になります。ご自宅での血圧がやはり高値であれば、お薬による治療の開始、お薬の調整を行います。
また、生活習慣の是正が難しければ、何が一番の問題であるかを考え、ご本人様にあった方法を一緒に考えさせていただきます。
②2次性高血圧
他に高血圧の原因となる病気が見つかった時には、その治療のために提携する高次医療機関(専門病院)へご紹介させて頂きます。
3)3回目以降
問診
ご自宅での血圧の推移を確認します。
また高血圧以外でお困りの点なども確認します。
治療計画
ご高齢の患者様、リスクの高い患者様に関しては1~1.5か月に一度、お若くてリスクの低い患者様に関しては最高2~3か月に一度の外来経過観察を行います。
患者様一人一人のニーズを大事にして診療を行ってまいりますのでご安心下さい。
4)定期検査
採血
お薬の副作用を確認する目的で半年~1年に1度採血を行います。
心電図・胸部レントゲン
1年に1度定期検査として行うことをお勧めします。
血管の超音波
高血圧による動脈硬化性病変が進行していないか、1~2年に一度定期検査を行います。
外来の予約
高血圧診療に関してお読み頂きありがとうございました。
高血圧は症状がなくても病院にかかるべき病気です。
健診で高血圧を指摘された方、高血圧で病院にかかっているが納得した治療ができていない方、是非当院にお越し下さい。
かわぐち内科・内視鏡クリニック
川口 佑輔
2010年北里大学医学部卒業
日本内科学会認定医 日本内科学会 (naika.or.jp)
日本消化器内視鏡学会専門医 日本消化器内視鏡学会 (jges.net)
日本肝臓病学会専門医 一般社団法人 日本肝臓学会 (jsh.or.jp)