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大腸がんが腸閉塞を引き起こす理由|知っておくべき初期症状も解説

[2025.06.04]

「大腸がんによる腸閉塞って?」
「どんな症状に注意すればよいの?」

大腸がんによる腸閉塞とは、がんの進行によって大腸の内側が塞がれることで内容物が詰まってしまうことです。危険な状態に移行する恐れもあるため、速やかに医療機関を受診して適切な治療を受ける必要があります。

本記事では以下を解説します。

  • 腸閉塞を起こす理由と主な症状
  • 腸閉塞が疑われるときの症状の特徴
  • 腸閉塞につながる恐れがある初期症状
  • 腸閉塞が疑われる際の検査
  • 腸閉塞の治療方法

腸閉塞につながる恐れのある初期症状を理解すれば、発症を未然に防ぐことができます。大腸がんの早期発見にも役立つため参考にしてください。

大腸がんの初期症状の詳細を知りたい方は「初期症状はない?大腸がんと気づいた7つのきっかけを症状別で解説」を参考にしましょう。

大腸がんが進行すると腸閉塞を起こす理由と主な症状

腸閉塞とは、特定の原因により腸の内容物が詰まってしまう病気です。がんにより大腸が完全に塞がるまた狭くなると引き起こされます。腸閉塞を発症すると以下のような症状が現れます。

症状 発生する理由
腹痛 腸が完全に塞がるまたは狭くなった部分に、腸が無理に内容物を通過させようとしてしまい痛みが生じる。
お腹の張り 腸が完全に塞がるまたは狭くなった部分に内容物やガスがたまり、腸が広がってしまうため腹部全体が張ってしまう。
吐き気・嘔吐 内容物が腸に充満することで吐き気を感じる。腸の広がりが限界を迎えると内容物が逆流して吐いてしまう。
排便の停止 肛門のほうへ便が流れなくなるため便が出なくなってしまう。

大腸がんによる腸閉塞が疑われるときの症状の特徴

腸閉塞が疑われるときの症状の特徴として、突然の激しい腹痛や吐き気、嘔吐が現れることです。腹痛はキリキリとした痛みで、強い痛みを感じたり少し和らいだりを繰り返すのが特徴です。

嘔吐物は、はじめは酸っぱい胃液と苦い胆汁が逆流し、進行すると腸の内容物が逆流します。大腸の閉塞の場合は、下痢便のような色の嘔吐物で便の匂いがします。

嘔吐により腹痛やお腹の張りは軽減しますが、根本的な解決にはつながりません。腸閉塞を放置すると腸への血流が途絶えてしまい、腸の壊死(えし:細胞が壊れてしまうこと)やショックという重篤な状態に移行する恐れがあります。

以上のような症状が現れている場合は、速やかに消化器内科を受診しましょう。大腸がんの痛みの特徴を知りたい方は「【大腸がんはどこが痛む?】痛みの特徴や場所を詳細に解説」を参考にしてください。

腸閉塞につながる恐れのある大腸がんの初期症状

腸閉塞につながる恐れがある症状として挙げられるのは、以下のような排便習慣の変化です。

症状 詳細
便秘 がんにより大腸の内側が狭くなり便が通りづらくなるために起きる。
下痢 がんにより大腸の働きが妨げられるために起きる。
細い便 がんにより大腸の内側が狭くなるため便が細くなる。
残便感 がんにより大腸の内側が狭くなるため便が完全に排出されず便が残っている感じがする。

便秘や下痢は急に起きたり繰り返したりするのが特徴です。以上のような症状が現れている場合は、大腸がんが進行している恐れがあります。消化器内科の受診を検討しましょう。

急に起きる便秘と大腸がんの関係性について知りたい方は「急に起こる便秘は大腸がんのサイン?放置するべきではない理由も解説」を参考にしてください。

腸閉塞と大腸がんが疑われる際の検査

腸閉塞と大腸がんが疑われる際の検査は以下の通りです。

  1. 便潜血検査
  2. 画像検査
  3. 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)  

それぞれの詳細を解説します。

1.便潜血検査

便潜血検査とは、大腸や小腸に出血が起きていないかを調べる検査です。自覚症状のない大腸がんをみつけるのに有効です。

出血の有無は、大腸がんだけでなく以下のような病気が隠れていないかも調べることができます。

  • 大腸ポリープ
  • 潰瘍性大腸炎
  • クローン病
  • 虚血性腸炎
  • 痔核

正確に出血の有無を判断するためには、2日法(2日間に分けて便を採取する)を受けることを推奨します。陽性となった場合は、大腸内視鏡検査による精密検査を受けましょう。

2.画像検査

腹痛や吐き気、嘔吐などの症状が現れ腸閉塞の疑いがある場合は、画像検査を実施します。特に腹部のレントゲン検査は必ず実施します。

腸閉塞が起きている場合は、レントゲン画像に鏡面像(ニボー)という重い液体は下に溜まり、軽い空気は上に溜まる様子が現れます。

大腸がんと確定診断されたあとは、進行状況や他の臓器へ転移状態を調べるために、全身のCT検査や骨盤のMRI検査、腹部超音波検査などを状況によって実施します。

3.大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

大腸内視鏡検査とは、小型カメラの付いたチューブ状の内視鏡を肛門から挿入して大腸全体を調べる検査です。大腸がんの有無を調べるために必要な検査です。腸閉塞の際には、大腸カメラ検査を行うことはできません。事前の問診とレントゲン検査の結果を見て、腸閉塞が起きていない患者様に対して大腸カメラ検査を行います。

病変が発見された際は、一部を採取して病理検査にて確定診断します。大腸内視鏡検査は、その苦痛から「受けたくない」という方も多いです。しかし、厚生労働省は40歳以上の方に大腸がん検診を受けることを推奨しています。

当院では、鎮静剤を利用した痛みの少ない大腸内視鏡検査を提供しています。繰り返す便秘と下痢、細い便などの気になる症状が現れている方は、まずは事前診察を受けてみましょう。

大腸カメラ事前診察

関連記事:大腸カメラ(内視鏡検査)が痛い人の3つの特徴|痛みを軽減する方法も!

大腸がんによる腸閉塞の治療方法

大腸がんによる腸閉塞の治療方法は以下の2つに大別できます。

  1. 保存的減圧治療
  2. 外科手術

それぞれの詳細を解説します。

1.保存的減圧治療

大腸がんによる腸閉塞の初期治療は、腸内の内容物やガスを排出させて腸内圧を下げることです。この腸内圧を下げる治療を保存的減圧治療と言います。保存的減圧治療の方法としては、以下のようなものが挙げられます。

方法 詳細
経鼻胃管 鼻から胃までチューブを挿入して減圧を図る。
経鼻イレウス管 鼻から小腸までイレウス管というチューブを挿入して減圧を図る。
経肛門的イレウス管 肛門から大腸にイレウス管を挿入して減圧を図る。
大腸ステント 大腸ステントとは直径20mmほどの筒状の網。閉塞部分にステントを挿入することで閉塞症状を解除する。

保存的減圧治療は、がん治療前の緊急的処置として実施することが多いです。

2.外科手術

保存的治療が困難である場合は、緊急の減圧手術を検討します。減圧手術の際には、以下の治療も実施されることがあります。

手術内容 詳細
がんの病巣切除 がんが最初に発生した場所を切除すること。
人工肛門の増設 手術によりお腹から腸の一部を出して便の排泄口を作る手術。

しかし、安全面からも大腸がんの腸閉塞に対しては、上記の手術と減圧のための手術を同時に実施することは少ないです。

腸閉塞が疑われたら速やかに受診しよう

腸閉塞の疑いがある症状は、突然の激しい腹痛や吐き気、嘔吐などです。嘔吐により腹痛や吐き気は軽減されますが、根本的な解決にはならないため、速やかに医療機関で治療を受けてください。

がんにより腸の内側が狭くなると、便秘、細い便、残便感などの症状が現れます。この段階で気づくことができれば、腸閉塞を防ぐことができます。気になる症状が現れている方は、消化器内科で検査を受けてみましょう。

WEB予約

【監修者】
かわぐち内科・内視鏡クリニック
川口 佑輔

【参考文献】
国立がん研究センター東病院「大腸がんについて」
国立がん研究センター中央病院「大腸がんの症状について」
秋田大学医学部附属病院「大腸がん」
東邦大学医療センター 大橋病院「大腸ステント治療について」
日本腹部救急医学会「腸閉塞, 腸穿孔を来した大腸癌の手術時期」
日本腹部救急医学会「閉塞性大腸癌の治療:oncology emergency への対応を含めて」
北里大学北里研究所病院「腸閉塞」

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