大腸カメラ(内視鏡検査)が痛い人の3つの特徴|痛みを軽減する方法も!
「大腸カメラ検査はなぜ痛い?」
「痛みを軽減する方法はないの?」
大腸カメラ検査を受けようと検討していても「痛み」が不安で、一歩踏み出せない人もいるでしょう。本記事では、大腸カメラ検査が痛いと感じる原因をはじめとして以下を解説します。
- 痛い人の3つの特徴
- 痛みを軽減する方法
- 検査を受ける病院の3つの選び方
大腸カメラ検査の痛みを軽減するための病院の選び方を具体的に解説しています。大腸カメラ検査を検討している方は参考にしてください。
大腸がんの初期症状の詳細を知りたい方は「初期症状はない?大腸がんと気づいた7つのきっかけを症状別で解説」を参考にしましょう。
目次
大腸カメラ検査が痛いと感じる原因
大腸カメラ検査が痛いと感じてしまう原因は、主に以下の2つです。
- 内視鏡を大腸の奥に挿入する際に腸を押したり引っ張ったりしてしまうため痛みが発生する
- 腸を膨らませるための空気を入れるためお腹が張ったような痛みが発生する
近年では鎮静剤や鎮痛剤などの活用により、痛みの少ない大腸カメラ検査が実施できるようになっています。痛みを避けるためには、医療機関のホームページなどを確認して、大腸カメラ検査の方法の詳細を確認することが大切です。
大腸カメラ検査が痛い人の3つの特徴
大腸カメラ検査において痛みを感じやすい人がいます。痛い人の3つの特徴は以下の通りです。
- 痩せているまたは小柄な人
- 腸が過敏になっている人
- お腹の手術をした経験がある人
それぞれの詳細を解説します。
1.痩せているまたは小柄な人
痩せているまたは小柄な人は、痛みが発生しやすい傾向です。痩せているまたは小柄な人は、腸が細く曲がりくねっているため内視鏡が通過しにくいためです。そのため、男性よりも女性のほうが痛みを感じやすい傾向にあります。
2.腸が過敏になっている人
腸が過敏な人は痛みを感じやすい傾向です。とくに炎症性腸疾患にかかっている人は、痛みを感じやすいという報告もあります。炎症性腸疾患とは、慢性の腸炎をきたす病気の総称です。代表的な病気には、潰瘍性大腸炎やクローン病などがあります。
3.お腹の手術をした経験がある人
お腹の手術歴がある人は痛みを感じやすい傾向です。お腹の手術歴があると、腸管同士や腸管とほかの臓器が、癒着していることがあるためです。癒着があると腸がねじれたり曲がったりしているため、内視鏡をスムーズに進められず、圧力がかかり痛みが発生しやすくなります。
大腸カメラの痛みを軽減する方法
大腸カメラの痛みを軽減する方法には、以下のようなものがあります。
- 鎮静剤・鎮痛剤を投与する
- 軸保持短縮法を受ける
- 浸水法を受ける
- 炭酸ガスを使用する
- 不安や緊張を緩和する
それぞれの詳細を解説します。
1.鎮静剤・鎮痛剤を投与する
以下のような効果がある鎮静剤や鎮痛剤を投与すれば、大腸カメラ検査の痛みを軽減できます。
薬剤 | 効果 |
---|---|
鎮静剤 | 完全に意識が無くなるわけではなくぼーっとした状態になる。 |
鎮痛剤 | 検査等の痛みを軽減する。 |
薬の効き目は人それぞれです。一般的に一人ひとりの状態に合わせて、薬の種類や量を選択して検査が行われます。
なお、鎮静剤を使用した当日は、自転車や自動車、バイク等を運転してはいけません。来院の際は公共交通機関等を利用するようにしてください。
2.軸保持短縮法を受ける
軸保持短縮法(じくほじたんしゅくほう)とは、大腸の曲がり角でなるべく押し込まずに、腸を丁寧に畳み込みながら内視鏡を進める方法です。この方法により大腸に不要な圧力をかけることが少なくなり、痛みが出にくくなります。
ただし、患者様の腸管の走行状況によってはこの方法がしづらい場合もあります。また、軸保持短縮法は医師に熟練の技術が必要です。
そのため、受診予定の医療機関は検査実績が豊富であるかを確認してください。「大腸カメラの痛みが怖い」という方は、軸保持短縮法を実施している医療機関を選ぶと良いでしょう。
3.浸水法を受ける
浸水法とは、空気ではなく水を用いて大腸を膨らませ検査をする方法です。空気を入れる方法よりも、大腸が膨らみすぎないため痛みが発生しづらい特徴があります。
ほかにも以下のようなメリットがあります。
- 鎮痛剤等を使用しなくても痛みが少ない
- 挿入が困難なケースでも挿入できる率が高い
- 平均の挿入時間が短い
浸水法も痛みの少ない大腸カメラ検査の選択肢の1つです。
4.炭酸ガスを使用する
大腸カメラ検査は、一般的に腸管内の視認性を高めるために空気を入れる必要があります。この空気を入れることで腹部に張りが生じてしまい痛みを伴います。しかし、炭酸ガスは空気よりも吸収率が速やかで、検査中・検査後に腸管内にガスが残留しにくく痛みが少ない特徴があります。
5.不安や緊張を緩和する
大腸カメラ検査に対して、不安や緊張が強いと痛みを感じやすい傾向にあります。男性よりも女性のほうが、検査に対する不安が大きく痛みを感じやすい傾向があると報告もあります。
検査に対する不安や緊張を緩和するために、検査前に十分に説明を聞き疑問などがあればすべて解決しておくことが大切です。遠慮をしないで医師や看護師に疑問等を聞いておきましょう。当院の苦痛の少ない大腸カメラ検査についてはこちらを参照してください。
大腸カメラ検査を受ける病院の3つの選び方
大腸カメラ検査を受ける病院の主な選び方は以下の3つです。
- 消化器内視鏡専門医が検査を実施している
- 検査の実績が豊富である
- 下剤の種類を選択できる
それぞれの詳細を解説します。
1.消化器内視鏡専門医が検査を実施している
大腸カメラ検査は医師の技量により痛みの程度が変わります。そのため、一定水準の技術をもつ医師が在籍する医療機関を選ぶことが大切です。
わかりやすい判断基準として、消化器内視鏡専門医の資格を取得している医師が検査を実施するかどうかです。消化器内視鏡専門医と認定されるための要件の一例として、特定の施設で上部消化管を1,000件、下部消化管を300件の実績などがあります。
つまり、消化器内視鏡専門医は、大腸カメラ検査の知識や技術を一定水準有していると判断できます。医療機関選びに困った際は、消化器内視鏡専門医が検査をしてくれるかを基準にすると良いでしょう。
2.検査の実績が豊富である
大腸カメラ検査を行った実績が豊富な医療機関はおすすめです。大腸カメラ検査は、痛みを不要に発生させないのはもちろん、小さな病変を見落とさないためにも医師の技量や経験が必要です。
実績が多ければその分、大腸カメラ検査の技量が高く経験も豊富と判断できるでしょう。検査や治療の実績数は、クリニックのホームページなどで公開されていることが多いです。受診予定の医療機関のホームページを確認してみましょう。
3.下剤の種類を選択できる
大腸カメラ検査を受ける前に、下剤を内服して腸内にあるすべての便を出す必要があります。この検査前の下剤内服に苦痛を感じる方も多いです。
下剤には複数の種類があり、人によって相性が異なるため、相性が良いものを選択することも大切です。そのため、いくつかの種類の下剤を選択できる医療機関を選ぶと良いでしょう。
実績が豊富なクリニックで検査を受けよう
大腸カメラ検査の痛みは、人それぞれ程度が異なります。また検査の方法や医師の技量によっても痛みの程度は変わります。できるだけ痛みが少ない検査を受けるためには、大腸カメラ検査の実績が豊富かつ、消化器内視鏡専門医の資格をもつ医師が実施する医療機関を選ぶと良いでしょう。
当院は、日本消化器内視鏡学会に認定された消化器内視鏡専門医の資格を有している院長が、すべての検査を担当します。また、基幹病院にて高度な内視鏡治療に携わってきたため、麻酔コントロールにも精通しています。土曜日や午前中の検査、術中ポリープ切除なども柔軟に対応可能です。大腸カメラ検査を検討している方は、まずは事前診察を受けてみましょう。
【監修者】
かわぐち内科・内視鏡クリニック
川口 佑輔
2010年北里大学医学部卒業
日本内科学会認定医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本肝臓病学会専門医
【参考文献】
・久里浜医療センター「苦痛の少ない大腸検査」
・日本看護科学会誌「炎症性腸疾患患者の大腸内視鏡検査に伴う苦痛の体験」
・日本人間ドック学会誌「大腸内視鏡検査に伴う痛みについての検討」
・日本消化器内視鏡学会「専門医制度規則」