便潜血検査でよくある10の疑問|大腸がん検診の不安を一気に解消!
40歳を超えると多くの自治体で案内される「便潜血検査(大腸がん検診)」。
しかし、やり方や結果の見方、費用、検査精度など、分からないことが多いと感じていませんか?
この記事では、実際に多くの方が検索している便潜血検査に関する10の疑問をQ&A形式で解説します。
便潜血検査に不安のある方や、大腸がん検診を初めて受ける方はぜひ参考にしてください。
Q1. 便潜血検査は二日法だけど、一日しか出せなかったらどうする?
A. 便潜血検査は**2日分の便を提出する「二日法」**が一般的です。
1日分しか提出できなかった場合でも検査は行われますが、検出感度が下がるため注意が必要です。
【表1】便潜血検査の提出状況とがんの発見率
提出状況 | 発見率(進行がん) | コメント |
---|---|---|
2日分提出 | 約90% | 最も精度が高い |
1日分のみ提出 | 約70% | 見逃しのリスクが上昇 |
できるだけ2日分を提出し、1日分の場合は医師に相談して再検査も検討しましょう。
Q2. 大腸がん検診の精密検査、費用はどれくらい?高額になる?
A. 陽性だった場合に受ける精密検査(大腸内視鏡検査)は保険適用されます。
3割負担での費用は、6,000〜29,000円程度です。
鎮静剤を使用した場合やポリープ切除を伴う場合には費用がやや上がることもありますが、命にかかわる疾患の早期発見につながるため、ぜひ受けてください。
Q3. 妊娠中に便潜血検査を受けても大丈夫?影響はある?
A. はい、妊娠中でも便潜血検査は可能で安全です。
体に触れる検査ではないため、お腹の赤ちゃんに影響はありません。
ただし、検査で陽性となった場合の大腸内視鏡検査は妊娠中には避けられることが多いため、主治医と相談し、必要であれば産後に実施することが一般的です。
Q4. 便潜血検査で擦りすぎたらどうなる?検査に影響ある?
A. 採便時に強く擦りすぎると肛門や肛門周囲の微小出血が混入し、偽陽性となる可能性があります。
結果として、精密検査が必要と判定されてしまうケースも。
採取は便の表面を軽くなでるように1~2回程度行うのが正しい方法です。
詳しくは、検査キットに付属する説明書に従いましょう。
Q5. 大腸がん検診は何歳まで受けるべき?高齢者も必要?
A. 日本では40歳以上に便潜血検査が推奨されていますが、上限年齢は明記されていません。
一方で、75歳を超えた高齢者では、基礎疾患や体調に応じて検査の継続を判断するのが通例です。
健康で通院中でない方でも、主治医や自治体と相談して、適切な判断をしましょう。
Q6. 便潜血検査で陽性だったら、必ずがんなの?
A. いいえ、陽性=がんではありません。
便潜血検査は非常に敏感な検査であり、痔・ポリープ・炎症などでも陽性になることがあります。
【表2】陽性の原因となる主な疾患
陽性の原因 | コメント |
---|---|
痔 | 排便時の出血が混入 |
大腸ポリープ | 良性でも出血することがある |
炎症性腸疾患 | 潰瘍性大腸炎などの影響 |
大腸がん | 早期発見に非常に有効 |
大腸がんが見つかる割合は3〜5%程度ですが、放置せず精密検査を受けることが大切です。
Q7. 生理中や痔の出血でも陽性になる?
A. はい、便潜血検査は体外からの血液も検出するため、陽性になる可能性があります。
とくに生理中や痔で出血しているときに採便すると、結果が正確でなくなる恐れがあるため避けましょう。
どうしてもその期間しか提出できない場合は、医師にその旨を伝えるようにしてください。
Q8. 検査結果はどれくらいで出る?見方は?
A. 検査結果は通常提出から3〜7日程度で通知されます。
「陽性」「陰性」で判定され、それに応じて対応が決まります。
【表3】便潜血検査の結果と対応
判定 | 状態 | 対応 |
---|---|---|
陰性 | 潜血なし | 年1回の定期検診を継続 |
陽性 | 潜血あり | 大腸内視鏡などの精密検査が必要 |
Q9. 便潜血が陰性でも、大腸がんがあることはある?
A. はい、便潜血検査ではポリープや早期がんを見逃すことがあります。
検出感度は高いものの、1回の検査で完全に安心することはできません。
そのため、「毎年継続的に受けること」が大腸がんの早期発見に不可欠です。
Q10. 便潜血検査の代わりに大腸カメラを最初から受けてもいいの?
A. はい、大腸内視鏡検査を初回から選択することも可能です。
特に、以下のような方には適応があります。
-
家族に大腸がんの既往がある
-
過去にポリープを切除したことがある
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便潜血陽性を何度も指摘された
ただし、費用や前処置の負担を考慮して、まずは便潜血検査を選ぶのが一般的です。
✅まとめ
便潜血検査は簡単で非侵襲的な検査であり、大腸がんの死亡率を下げる効果が明確に証明されています。
「ちょっと気になる」「不安だから」と検査を避けず、正しく理解して継続的に受けることが、あなたの健康を守る大きな一歩になります。
📚引用・参考論文
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厚生労働省「がん検診のあり方に関する検討会報告書」
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国立がん研究センター「がん情報サービス:大腸がん検診」
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松田尚久 他「便潜血検査による大腸がん検診の現状と課題」日本消化器病学会雑誌, 2019年
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安藤文子「大腸がん検診の有効性と限界」日本内視鏡学会雑誌, 2021年
当院では、麻酔薬を使った苦痛の少ない内視鏡検査を行っています。内視鏡専門医である院長が責任を持って担当し、大腸ポリープがあれば当日切除も可能です。
検査の説明を聞いてから大腸カメラを受けたい方は【外来Web予約】へお進みください。
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【監修者】
かわぐち内科・内視鏡クリニック
川口 佑輔
- 2010年北里大学医学部卒業
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 日本肝臓病学会専門医