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台東区浅草のかわぐち内科・内視鏡クリニックの院長ブログ

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大腸がんといぼ痔・切れ痔の出血の違いとは?検査を受けるべき理由も解説

大腸がんと痔の違い

「大腸がんといぼ痔・切れ痔の出血の違いは?」
「見分けることはできるの?」

大腸がんと痔の出血は、どちらも血便(けつべん:便に血が混ざっていたり血液が付着したりしている便)として現れることが多いです。大腸がんと痔のどちらの出血であるかを見分けることは難しいため、自己判断には注意が必要です。本記事では、大腸がんの出血は痔のせいと勘違いされやすい理由をはじめとして以下を解説します。

  • 大腸がんと痔の出血の違い
  • 出血する痔の種類
  • 大腸がんを早期発見するための検査
  • 痔の出血と間違えやすい病気

血便や肛門からの出血が現れている方はとくに参考にしてください。大腸がんの初期症状の詳細を知りたい方は「初期症状はない?大腸がんと気づいた7つのきっかけを症状別で解説」を参考にしましょう。

大腸がんの出血は痔のせいと勘違いされやすい

大腸がんの出血は、しばしば痔の出血と誤解されます。痔を持つ人は血便や肛門からの出血があっても「痔があるから」と自己判断することがあるためです。その結果、大腸がんの早期発見や治療が遅れることがあります。

とくに便潜血検査を受けて陽性が出た際に「痔があるから」と自己判断するのは要注意です。また、再度便潜血検査を受けて、仮に陰性だったとしても安心はできません。

便は毎日状態が違うものであり、仮に大腸がんがあったとしても常に出血しているとは限らないためです。加えて、大腸がんは初期症状がほとんど現れない特徴があります。血便や肛門からの出血以外に症状がないから問題ないと判断するのも危険です。

「血便や肛門からの出血が続く」「便潜血検査で陽性が出た」という方は、大腸カメラによる精密検査を受けましょう。

大腸がんと痔の出血の違い

痔の出血は鮮やかな赤色で、排便時に直接出ることが一般的です。一方、大腸がんの出血は、便に混ざっていたり、便の表面に付着した状態であったりとさまざまです。

がんの発生部位が肛門に近いほど便の色は赤色で、遠いほどに赤黒くなります。大腸がんがある程度進行している場合は、下痢や便秘、腹痛、残便感、細い便などの症状が現れることがあります。肛門からの出血や血便に加えて、このような症状が現れている場合は、早期に検査を受けましょう。

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出血する痔の種類

出血する痔には、痔核(じかく:いぼ痔)と裂肛(れっこう:切れ痔)の2つがあります。ここからは、出血する痔の種類の詳細を解説します。

1.痔核(いぼ痔)

痔核は肛門周辺にできるイボのような痔で、内痔核と外痔核に分かれます。内痔核は肛門の奥にでき、外痔核は肛門の周囲にできます。

痔核は小さいときに症状は現れません。しかし、大きくなると破れてしまい出血する場合があります。出血は排便時に見られ、通常は鮮やかな赤色をしています。悪化すると肛門が外に出る脱肛(だっこう)を起こすことも。痔核の原因は「便秘でいきむことが多い」「下痢が多い」「排便時間が長い」などが挙げられます。

2.裂肛(切れ痔)

裂肛は硬い便が肛門を傷つけることで発生します。そのため、便秘である人は裂肛を引き起こしやすいです。裂肛は肛門に傷があるのと同様であるため、痛みと少量の出血が発生します。

血の色は鮮やかな赤色です。裂肛の原因は便秘以外に「下痢が多い」「お尻を拭きすぎる」「肛門がかゆくて掻いてしまう」などが挙げられます。

大腸がんを早期発見するための検査

大腸がんの早期発見には、定期的な検査が重要です。主な検査方法には便潜血検査と大腸内視鏡検査があります。それぞれの詳細を解説します。

1.便潜血検査

便潜血検査は、大腸や小腸からの微細な出血を発見する検査です。この検査では、肉眼では確認できない微量の血液が便に混入していないかを調べます。

特に自覚症状がない段階の大腸がんの発見において、重要な役割を果たしています。陽性が出た場合には、大腸がん以外にも以下のような病気が疑われます。

  • 大腸ポリープ
  • 潰瘍性大腸炎
  • クローン病
  • 虚血性腸炎

陽性結果を受けた場合は、確定診断のために大腸内視鏡による精密検査が必要です。なお、検査の信頼性を向上させるために、別々の日に採取した便を用いる2日法での実施が推奨されています。

2.大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査は、超小型カメラを搭載した内視鏡を肛門から大腸内に挿入し、大腸全体を詳細に観察する精密検査です。検査過程で疑わしい病変が発見された際には、組織の一部を採取し病理学的検査を実施して診断を確定させます。この検査は大腸がんの早期発見において重要です。

大腸内視鏡検査は高い精度を誇りますが、腸管の形状や前処置の状況により、一度の検査で全ての病変を検出できない可能性があります。そのため、数年1回の定期検査が推奨されています。

検査における「痛みへの不安」が受診の妨げとなるケースが多く見られます。しかし、大腸がんの発症リスクは年齢を重ねるごとに高まるため、定期的な検査を受けることが重要です。

当院では患者様の負担軽減を図るため、鎮静剤を用いた痛みの少ない大腸カメラ検査を提供しています。大腸内視鏡検査を検討している方は、まず事前診察を受けてみましょう。

大腸カメラ事前診察

 

関連記事:大腸カメラ(内視鏡検査)が痛い人の3つの特徴|痛みを軽減する方法も!

痔の出血と間違えやすい病気

痔の出血と間違えやすい病気は以下の通りです。

  • 憩室出血(けいしつしゅっけつ)
  • 虚血性腸炎(きょけつせいちょうえん)
  • 潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)

それぞれの詳細を解説します。

憩室出血

憩室とは大腸や小腸などにできる小さな袋状の空間のことです。憩室は大腸にできることが多く、食物繊維の摂取不足の中高年者にできやすいです。憩室が便によって傷つけられると出血が起き憩室出血を発症します。

憩室出血は、突然の鮮やかな赤色の血便にて発症するのが特徴です。痔の出血とは異なり、短時間で大量の出血を頻回に繰り返します。何の前触れもなく突然出血が現れるため驚くことが多いですが、落ち着いて医療機関を受診してください。

虚血性大腸炎

虚血性大腸炎は、なんらかの原因で突然大腸に血流障害が起きて、血便や出血が現れる病気です。便秘がちの高齢の女性に発症しやすく、一般的に60歳以上の方が多いです。最近では若い方にも増えています。

虚血性大腸炎は、突然の腹痛で発症して、便器が真っ赤になるほどの血便や下痢などが現れます。血便の量に驚いてしまうことが多いですが、輸血が必要なほどの貧血になることは少ないです。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は、持続的に炎症がおきる病気で、大腸に潰瘍やただれができます。発症すると以下のような症状が現れます。

  • 血便
  • 腹痛
  • 下痢
  • 体重減少

一度発症すると、改善したり悪化したりを繰り返します。治療が不十分であると、炎症が大腸全体に広がり、大量出血を起こしたり腸管が破れたりしてしまいます。疑われる症状が現れたら、医療機関を受診して適切な治療を受ける必要があります。

排便時に出血や血便が見られたら検査を受けよう

大腸がんと痔の出血の違いを見分けることは困難な場合があります。痔の出血は、一般的に鮮やかな赤色の血が付着した血便として現れます。同様に、大腸がんの出血も鮮やかな赤色の血が付着した血便として現れることがあるためです。とくに便潜血検査で陽性が出ている方は、なんらかの病気が隠れている恐れがあるため、大腸カメラによる精密検査を推奨します。

当クリニックは、日本消化器内視鏡学会に認定された消化器内視鏡専門医の資格を有している院長が、すべての検査を担当します。また、基幹病院にて高度な内視鏡治療に携わってきたため、麻酔コントロールにも精通しています。土曜日や午前中の検査、術中ポリープ切除なども柔軟に対応可能です。大腸カメラ検査を検討している方は、まずは事前視察を受けてみましょう。

大腸カメラ事前診察

【監修者】

かわぐち内科・内視鏡クリニック
川口 佑輔

2010年北里大学医学部卒業
日本内科学会認定医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本肝臓病学会専門医

【参考文献】

全国健康保険協会「肛門疾患(痔核・裂肛・痔瘻)」
兵庫医科大学病院「痔核(いぼ痔)」
兵庫医科大学病院「裂肛(切れ痔)」
兵庫医科大学病院「憩室(けいしつ)疾患(憩室出血、憩室炎)」
兵庫医科大学病院「虚血性大腸炎」

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