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胃カメラ・大腸カメラの病理検査の組織採取でわかることは?ガンが見つかる確率

[2022.10.07]

患者様の立場で、病理組織検査の知識のある方はかなり少ないと思います。
我々内視鏡医は、内視鏡検査を行った際に胃がんや大腸がん、大腸ポリープなどを内視鏡的に診断し、組織採取やポリープ切除を行っております。そして切除した検査検体を専門企業に提出し、病理医の先生が標本を読影し、報告書として我々が確認しています。
内視鏡検査の答え合わせが、病理組織検査な訳です。

病理組織検査は絶対なのでしょうか?

私も学生の時などは、絶対だと考えていました。
病理検査で『がん』と診断されればがん、『非がん』と診断されれば『非がん』であり、病理検査により白か黒かがはっきり分かると考えていたのです。
しかしいざ自分が内視鏡医になり、内視鏡を行い、組織検査を提出すると、それが絶対ではないことに気が付きます。
どういう事かと言うと、組織検査を行っても白・黒がはっきりつかない事は思っていた以上に多かったのです。
理由には、

①内視鏡医の生検の技術の問題 

内視鏡医の生検の技術の問題 これは、我々内視鏡医が技術をつけ、病変の適切な部位を適切な量採取する事で解決できる問題と考えます。

②病理医による差

これは内視鏡医にはどうすることもできない問題となります。
我々内視鏡医が組織を採取して提出すると、胃や大腸の生検では主にGroup分類が用いられ、以下のような形式で結果報告書が帰ってきます。

Group1 :正常組織および非腫瘍性病変
Group2:腫瘍性(腺腫または癌)か非腫瘍性か判断の困難な病変
Group3:腺腫(良性腫瘍)
Group4:腫瘍と判断される病変のうち、癌が疑われる病変
Group5:癌

上記のGroup2が検出される頻度はそれなりに高く、その場合再検査が必要となります。
また内視鏡上はがんと思っていたものがG1と診断されたり、逆もあります。
そして、困った事に、同じ病理組織検体を見ても、病理医により答えが違う事も多々あるのです。
つまり、学生時代に病理検査の結果は絶対だと思っていた自分の考えは、正しいものではなかったという事になります。

病理の先生が悪いのか?

それもまた違うと思います。
私たち消化器内科医は、消化器領域の専門家です。
病理の先生にもそれぞれの専門領域があり、どうしても専門領域以外では目に差が出てくるのは仕方のないことです。そして病理の先生方は絶対数が不足しているため、我々のように分からない事は専門の先生に相談する、という事が簡単にはいかないのだと思います。
私は今まで、大学病院やその分院などで働いてきました。規模の小さな病院に行けば、病理医はたいてい一人で病院の全病理検体の診断を行っていました。
専門外も含めて。しかしそこには安心感もあって、それは病理医とディスカッションができるというメリットがあるからです。
そして、現在私は開業し、内視鏡医として検体を採取しています。
その病理組織検体はどのように診断するのかというと、専門の大手検査会社に検体を提出し、検査会社と契約した病理医の先生方が病理診断をして下さいます。
つまり、ディスカッションができず、顔が分からない先生方が、その時々で違う先生方が病理診断をして下さいます。

質の高い内視鏡検査を提供するために

これらのような現状を踏まえて、顔が見える・相談できる病理医の先生を探していたところ、
中央病理診断科クリニック 日本橋本院 様を発見し、この度契約する運びとなりました。
中央病理診断科クリニック 日本橋本院 様は、日本ではまだまだ珍しい、病理組織検査の診断専門のクリニック様です。

現在都内を中心に19施設の病院、クリニックと連携しており、胃腸科を中心に、外科や婦人科、整形外科などを受け持ち、病理受託件数は6か月で2690件にのぼります。

院長の木口先生は、昭和61年3月に東京医科大学医学部医学科を卒業された後に病理診断科の道にお進みになり、近場では三井記念病院の病理診断科 部長などを務めた後、令和元年より中央病理診断科クリニック日本橋本院の院長に就任されております。

2022年10月以降、中央病理診断科クリニック 日本橋本院 様に検体を提出させていただくこととなります。

既存の大手検査会社様との違いとして、患者様には少しコストが上乗せしてかかってしまいますが、その分信頼のおける病理医の先生からのレポートを受け取ることができます。
当院のような試みをしているクリニックは、正直まだまだ多くはありません。
しかし、せっかく苦労して行う胃カメラ検査・大腸カメラ検査であれば、正確な診断が帰ってきて当たり前と考える事は当然と思います。

私は、内視鏡専門医として、病変を適切に診断し、検査・治療を行う事に専念し、病理に関しては中央病理診断科クリニック様にお任せする事で、今まで以上に質の高い内視鏡検査を提供できればと考えております。

今後も質の高い内視鏡検査のためにできる事があれば、積極的に取り入れていこうと考えております。
苦痛の少なく、質の高い内視鏡検査をご希望の患者様は、是非当院での施行をご検討頂けますと幸いです。

 

かわぐち内科・内視鏡クリニック

川口 佑輔

2010年北里大学医学部卒業

日本内科学会認定医 日本内科学会 (naika.or.jp)

日本消化器内視鏡学会専門医 日本消化器内視鏡学会 (jges.net)

日本肝臓病学会専門医 一般社団法人 日本肝臓学会 (jsh.or.jp)

医学博士 Failure Factors to Reach the Blind End Using a Short-Type Single Balloon Enteroscope for ERCP with Roux-en-Y Reconstruction: A Multicenter Retrospective Study

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