血圧を下げる食べ物一覧!おすすめレシピや手軽に食べられる食品を紹介
日本には高血圧患者が4,300万人以上いると言われています。
高血圧は脳出血や脳梗塞、狭心症、心筋梗塞などを引き起こす恐れがありますが、日々の食事を工夫することでそのリスクを軽減することが可能です。
本記事では、血圧を下げる効果が期待できる食べ物と飲み物を詳しく解説します。簡単レシピや手軽に食べられる食品についてもまとめているので、高血圧でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
【監修者】
かわぐち内科・内視鏡クリニック
川口 佑輔
- 2010年北里大学医学部卒業
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 日本肝臓病学会専門医
目次
高血圧はハイリスク!生活習慣の見直しが必要な基準は?
高血圧治療ガイドラインでは、高血圧の診断基準を「病院の診察室で測定した血圧が140/90mmHgを超える状態」と定めています。(正常血圧は120/80mmHg未満)
「サイレントキラー」との呼び名があるように、高血圧は自覚症状がないまま命を脅かします。以下の表に、高血圧が原因で引き起こされる健康問題をまとめました。
種類 | 症状 | 病気の例 |
---|---|---|
心臓の病気 | 心臓の血管が詰まることで胸部痛や胸部圧迫痛などが生じる。心不全を引き起こすと息切れや動悸、浮腫みなどが生じる。 | 心筋梗塞・心不全・狭心症など |
脳血管障害(脳卒中) | 脳の血管が詰まったり破れたりすることで突然の麻痺や頭痛などが起こる。 | 脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など |
腎臓病 | 血圧を調整する腎臓の機能が低下する。進行すると倦怠感や浮腫み、意識障害などが生じる。 | 腎不全・腎硬化症・腎炎など |
動脈硬化 |
血管の内側にダメージが蓄積され、動脈が硬化し全身の血流が悪化する。 |
アテローム性動脈硬化症・動脈粥状硬化症・大動脈硬化症・末梢動脈疾患など |
このように、高血圧は全身のあらゆる臓器に影響を与えます。「たかが高血圧」と侮るのではなく、定期的に血圧測定を行い、生活改善の習慣化を意識することが大切です。
血圧を下げるための食事のポイント
高血圧の方が、食事管理をするにあたって意識したいポイントが4つあります。
- 減塩
- 飲酒量の制限
- バランスの摂れた食事
- 食物繊維の摂取
塩分の摂りすぎは血圧上昇の主要因です。日本人の食事摂取基準において、高血圧症の重症化を防ぐには1日あたりの食塩摂取目標量を6.5g未満とすることが推奨されています。
減塩には調味料の使用量を控えたり、加工食品や外食の頻度を減らしたりすることが有効です。
高血圧の方は過度な飲酒にも注意が必要です。飲酒が習慣化している人は、そうでない人に比べて血圧が高くなりやすいことがわかっています。また、お酒のつまみは塩分が多いものが多く、無意識のうちに塩分を過剰に摂取してしまう恐れも。
食事面で血圧をコントロールするには、食物繊維やカリウム、マグネシウムなどを豊富に含む食品をバランスよく摂取することが大切です。
血圧を下げる食べ物一覧【レシピあり】
血圧を下げる食べ物には次のものがあります。
- 野菜
- 果物
- 青魚
- 豆類
- 海藻類
ここからは具体的な食品と手軽に作れる簡単レシピをご紹介します。
1.野菜
野菜は血圧を下げるために欠かせない食べ物です。
調理前の野菜は塩分がほとんど含まれず、減塩の強い味方でもあります。
以下に高血圧の方が摂取すべき栄養素と多く含む野菜をまとめましたので、毎日の献立を考えるのにお役立てください。
栄養素 |
効果 |
多く含む野菜 |
---|---|---|
食物繊維 |
体内のナトリウムを吸着して体外へ排出する。 |
ごぼう・モロヘイヤ・ブロッコリー・大根・かぼちゃなど |
カリウム |
体内のナトリウムを吸着して体外へ排出する。 |
里芋・長芋・じゃがいも・さつまいも・トマト・玉ねぎなど |
マグネシウム |
血管を拡張させ、血栓を作りにくくする。 |
ほうれん草・じゃがいも・ブロッコリーなど |
カルシウム |
血管の収縮と弛緩を調整する。 |
モロヘイヤ・小松菜・水菜など |
調理の際は野菜を多めに使うことと、塩分を控えめにすることを意識してください。野菜の摂取目標量は1日あたり350g以上です。350gの目安は生野菜なら1食あたり両手に山盛り1杯、温野菜なら片手に山盛り1杯程度です。
外食やコンビニで済ませる機会の多い方は、サラダを一品加えるなどして野菜の摂取を心がけるのがいいですよ。
【野菜の手軽な食べ方】
野菜に含まれる栄養を壊さず、効率的に摂取するにはサラダで食べるのがおすすめです。
生で食べられるものは生で、寒い季節はホットサラダにするなど、食べ方を工夫すると飽きずに続けられます。調味料の中でも醤油やポン酢は塩分が多いので、マヨネーズやお酢など塩分が比較的少ないものをドレッシングとして使いましょう。
2.果物
果物を摂取する際も、食物繊維やカリウム、マグネシウムといった栄養素を多く含むものを選びましょう。
果物の中でも特に優秀なのがバナナで、上記の栄養素が豊富に含まれます。栄養バランスがよく手軽に食べられるので、時間がない朝食に最適な食品です。
バナナ以外では、キウイフルーツ・みかん・いちご・アボカドなどもおすすめです。フルーツもほぼ無塩であり、調味料を使用せずに食べられるメリットがあります。
なお、フルーツには果糖が多く含まれるため、糖尿病などで糖質を制限しなければいけない方は摂取量に注意が必要です。(果物の摂取目安量は90g/日程度)
【果物の手軽な食べ方】
果物はそのまま食べるのがもっとも手軽な方法ですが、ヨーグルトと一緒に食べるとより高い効果が得られます。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌にはさまざまな種類があり、それぞれ効果が異なります。血圧低下をはじめ、整腸作用や免疫力向上、抗アレルギー作用などの効果があるので、体質や気になる症状に合わせて自分に合うものを選んでみてください。
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3.青魚
サバ・イワシ・サンマ・ブリ・アジなどの青魚も、血圧を下げるのに非常に効果的な食べ物です。
青魚に含まれるEPAやDHA、α-リノレン酸には、血圧をサラサラにして動脈硬化を防ぐ効果があります。
栄養素 |
効果 |
---|---|
EPA |
血液の流れをスムーズにし、血栓ができるのを防ぐ。血液中の中性脂肪が消失するのを促す効果もある。 |
DHA |
血液中のコレステロールや中性脂肪を減少させ、血液循環をよくする。 |
α-リノレン酸 |
EPAやDHAに代謝され、中性脂肪を下げて血圧を安定させる。 |
上記の栄養素には、血圧を下げる効果以外にもアトピー性皮膚炎の改善や視力向上、脳の活性化などさまざまな効果が期待できます。
【青魚の手軽な食べ方】
青魚はシンプルに塩焼きで食べるのがおすすめです。EPAやDHA、α-リノレン酸は青魚の脂に含まれるので、旬のものを脂がのった最高の状態で食べましょう。
忙しい時はスーパーで買える刺身や青魚の缶詰が便利ですよ。
4.豆類
豆類にはカリウムやマグネシウム、食物繊維などの血圧を下げる代表的な栄養素が豊富に含まれます。
日常的に食べやすいのが大豆と黒豆です。大豆は納豆や豆乳など調理をせずに摂取でき、黒豆は煮豆にすると常備菜として大活躍します。
【豆類の手軽な食べ方】
豆類は多様な料理に使える便利な食品です。ミックスビーンズをサラダやスープにそのまま入れれば、手間をかけずに食べられます。
未調理の状態であれば塩分はほとんど含まれませんが、減塩を意識するなら納豆のタレは少なめにしたり、おつまみの枝豆も塩分を控えめにするなどの工夫が必要です。
5.海藻類
血圧が気になる方には、カリウムやマグネシウム、食物繊維を豊富に含む海藻類もおすすめします。
海藻類は低カロリーでありながら栄養価が高く、毎日の食事に取り入れやすいメリットの多い食品です。ワカメやひじき、めかぶ、もずくなどはスーパーで気軽に購入でき、価格も比較的手頃なのが嬉しいポイントです。
海藻類の過剰摂取はヨウ素の過剰症を引き起こすことがあるため、摂取量は1日5〜10g程度、週3〜4回を目安としてください。
【海藻類の手軽な食べ方】
海藻類はサラダや味噌汁と合わせやすい食品です。酢との相性もよく、酢の物にして食べるのもいいでしょう。
海藻類は消化されにくく満腹感も持続するので、食事の最初に食べることを意識するといいですよ。
高血圧の方におすすめの飲み物
血圧が気になる方におすすめの飲み物は次の通りです。
種類 |
メリット |
---|---|
水 |
塩分や糖質を含まず、カロリーを気にせずに飲める。 |
緑茶 |
血管の老化を防ぐポリフェノール(カテキン)が豊富に含まれる。 |
牛乳 |
カリウムやカルシウムを効率的に摂取できる。紅茶やコーヒーとも組み合わせやすい。 |
豆乳 |
食物繊維やカリウム、マグネシウムなどが豊富に含まれる。 |
コーヒー |
ポリフェノールやカリウムが豊富に含まれる。 |
食酢飲料 |
酢には血管を拡張したり、血管の柔軟性を保つ役割がある。 |
果汁100%または特定保健用食品のものであれば、野菜ジュースやトマトジュースなどもおすすめです。ただし、糖質の摂り過ぎを防ぐため飲み過ぎには注意してください。
まとめ
高血圧は生活習慣病の一つであり、放置すると心疾患や脳卒中など重大なリスクを引き起こす可能性があります。
高血圧の予防には生活習慣の見直しが重要であり、中でも日々の食事を改善することは大きな効果をもたらします。
血圧が気になる方は、本記事でご紹介した食べ物や飲み物を積極的に摂取し、バランスの取れた食事を心がけましょう。
また、適度な運動やストレス管理も血圧の管理には欠かせません。健康的な食事と生活習慣の改善で高血圧を予防し、健やかな毎日を送ってくださいね。
【参照元】
- 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」
- e-ヘルスネット「脳血管障害・脳卒中」
- e-ヘルスネット「動脈硬化」
- 公益社団法人 日本眼科学会「高血圧性網膜症」
- e-ヘルスネット「ナトリウム」
- 日本人の食事摂取基準策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
- e-ヘルスネット「栄養・食生活と高血圧」
- e-ヘルスネット「アルコールと循環器疾患」
- e-ヘルスネット「食物繊維」
- 健康長寿ネット「食物繊維の働きと1日の摂取量」
- e-ヘルスネット「カリウム」
- 健康長寿ネット「カリウムの働きと1日の摂取量」
- e-ヘルスネット「マグネシウム」
- 健康長寿ネット「マグネシウムの働きと1日の摂取量」
- 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
- 西氏頭中央病院「カルシウム/野菜・海草・きのこ類」