メニュー

大腸内視鏡の検査状況

[2022.10.05]

6月から大腸内視鏡協検査を開始し、約4か月が経過しました。
導入当初は件数が少なく、また件数が増えてきたタイミングで新型コロナウイルス感染の第7波に突入したため、想定より検査が増えませんでした。
件数としましては4か月で61件の大腸内視鏡検査を施行致しました。

施行理由

  1.  大腸ポリープのフォローアップ 19件
  2.  便潜血反応陽性        11件
  3.  血便             9件
  4.  下痢             9件
  5.  腹痛             8件
  6.  年齢             3件
  7.  便秘             1件
  8.  貧血             1件

通常のクリニックでは便潜血反応陽性が最も頻度が高いと思われます。
今年は新型コロナウイルス感染第7波の影響で健診の出足が遅く、便潜血反応検査を行う機会が少なかった事が原因の一つとして考えられます。
第7波も収束傾向であり、今後便潜血反応検査を行う方もいらっしゃると思います。陽性反応が出た場合には、基本的には大腸カメラの施行が必要ですので、お気軽にご相談頂けますと幸いです。

下剤について

当院ではモビプレップという下剤(腸管洗浄薬)を用いています。
下剤の内服により、腸閉塞を来したり、腸管穿孔を起こしたりするリスクもありますが、現状ではそのようなトラブルは生じておりません。
この下剤の特徴としては、

  • 味は練り梅のような味でさっぱりとした印象です。
  • 下剤をコップ2杯飲み、その後水やお茶などを1杯内服する。(2杯1杯法)
  • 下剤の種類によっては腎機能障害を有する方が禁忌となります。この薬剤は腎機能障害に対する禁忌がありませんので、どの患者様でも安心して内服頂けます。

ランダムに複数名の方に簡単なアンケートを実施しましたが、飲みやすさとしては、全く苦にならない~少し大変だが問題なく飲めた という方が大半を占めました。
また腸管洗浄剤なので、腸管がきれいにならなくては意味がありません。
そのような意味でも、2名を除く方が検査を行うのに十分な腸管洗浄効果が得られました。
また2名の方に関しましても、やや大腸内に便の残渣がありましたが、腸管内の観察を行うにはぎりぎり可能な範疇でした。

大腸内視鏡の挿入

当院で行った大腸内視鏡検査の中でも、腹部手術後の癒着の影響などにより、処置に時間を要した方もいらっしゃいました。
が幸い全例で盲腸までスコープの到達が可能でした。
また盲腸までのスコープ挿入に時間がかかる方は、痛みも生じやすい方が多いですが、適切な鎮静剤の使用により、苦痛は最低限で処置が可能でした。

大腸ポリープ切除

大腸内視鏡検査を行い、その中で腺腫を中心としたポリープの切除を行う方が一定数いらっしゃいます。
大腸内視鏡検査を実施し、腺腫を見つけられる確率を『大腸腺腫発見率(Adenoma Detection Rate: ADR)』と呼びます。ADRが高い=内視鏡技術力が高く、目がいい、と判断されます。
アメリカ消化器内視鏡学会(ASGE)のガイドラインでは、ADR 25%以上が、内視鏡検査医に求められる最低限の資質であると記載されています。日本の内視鏡医は世界でもトップクラスの技術と目を持っていますので、日本ではおおむね40%ほどのADRを達成することが求められています。
当院での4か月間、61件の大腸内視鏡検査の成績では、
ADR=34/61=56%
でした。
どの高次医療機関での成績にも劣らぬ成績であったことで、ひとまず一安心しております。
今後も引き続き、『苦痛の少ない』だけではなく、しっかりとポリープ(腺腫)を見つける目を持てるよう、1件1件丁寧に大腸内視鏡検査を行うことを心がけてまいります。

またポリープ切除した34例の患者様で、ポリープ切除後の出血はみられませんでした。
一般論として、ポリープを切除した方の約400~500件に1名程度が、切除後の出血を来すと言われております。
当院でも検査の数が増えればいつかはポリープ切除後出血を来す患者様がいらっしゃると思われます。ポリープ切除した際に出血量がやや多ければクリップによる予防的止血術を行い、それでも出血してしまった場合には、再検査を検討させていただきます。また場合によっては、高次医療機関にご紹介することもありますので、予めご了承頂けますと幸いです。

上下部内視鏡検査

61件の大腸内視鏡検査のうち、18件で上下部同日内視鏡検査を実施いたしました。
来院後喉の麻酔、点滴の針を刺し、鎮静剤使用後に上部内視鏡検査から開始します。上部内視鏡検査施行後、ベッドをぐるっと回し大腸内視鏡検査を行っております。
意識がぼーっとまたはほぼない状態で検査が終わり、非常にご好評いただいております。

ここまで4か月の大腸内視鏡検査の成績をまとめさせて頂きました。
大腸内視鏡検査を導入してあまり時間も経過していませんが、成績をまとめると、それなりに良好な成績でありました。
まずは大腸内視鏡検査立ち上げに携わってくれた、当院のスタッフに感謝申し上げます。
また、61例の患者様の中には他院からの紹介例も多数含まれます。ご紹介頂きました先生方にも感謝申し上げます。

今後も地域の患者様やクリニック様のお役にたてるよう努力して参りますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

かわぐち内科・内視鏡クリニック
院長 川口 佑輔

 

 

 

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME