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血便は一回だけでも病院に行くべき?考えられる原因

[2024.04.02]

血便が出たり排便後のトイレットペーパーに血がついていたりすると、誰しも不安な気持ちになるものです。

自分は大腸癌なのか?と不安な気持ちにもなりますが、血便が一回きりだと「痔であったのか」と自分を納得させ医療機関にかからない方が多くいらっしゃいます。

確かに頻度としては痔からの出血が多いですが、大腸がんからの出血の可能性も否定はできません。

血便は大腸がんを早期発見するための重要なサインなのです。

下痢や腹痛がなくても、血便が一回でもみられたら、医療機関に受診し大腸カメラが必要か相談してみましょう。

本記事では、血便の色で推測できる病気や原因を始め、便潜血検査で一度でも陽性が出た方に向けて対処法をお伝えします。

【監修者】

かわぐち内科・内視鏡クリニック

川口 佑輔

目次

血便が出たら

血便が出たら、まずは消化器内科を受診してください

たとえ一回きりであったとしても、大腸がんの最初の症状である可能性を否定できないからです。

血便には目に見える血便と見えない血便があります。目に見える血便の場合は、血の色や状態を観察し、診察時に伝えましょう。

一方で、目に見えない血便は患者様ご自身で気づくことができません。便の中に血が混じっているかどうかを調べる便潜血検査を行う必要があります。

命にかかわる病気は早期発見でリスクを回避できる可能性があります。「一度だけだから大丈夫」と放置せず、できるだけ早く消化器内科に相談しましょう。

便潜血検査とは

便潜血検査は便の中に血が混じっているかどうかを調べるための検査で、主に初期の自覚がない大腸がん検査のために行われます。

「検便」と呼ばれることもあり、定期健診などで経験したことのある方が多いかもしれません。

検査の方法は、1日もしくは2日分の便を専用スティックを使って採取し、検査機関へ提出するだけの簡単な方法です。2日法の方が大腸がんの発見率が高いことから、2日法で検査するのが一般的です。

便潜血検査は手軽で安価に行えるメリットがありますが、必ず大腸がんが発見できるわけではないため、他の検査との併用や定期的に大腸検査を受けることが推奨されています。

便潜血検査について

便潜血検査で1回でも陽性が出たら精密検査を

便潜血検査で陽性と判定された場合、医療機関で精密検査を受けるよう案内されます。

この時点で大腸がんが確定しているわけではありませんが、より精度の高い検査を行うために大腸カメラを受けることが大切です。

大腸がんをはじめとする血便が見られる病気は、検査の回数を増やすほど早期に発見できる確率も高くなります。

40歳以上の方は年に1回の便潜血検査が推奨されているので、血便の有無にかかわらず定期健診を受けることをおすすめします。

大腸カメラ漫画で解説

 

血便の色で病気がわかる?出血部位による色の違い

血便は出血部位によって以下のような色の違いが見られます。

血便の色は出血部位が肛門に近いほど赤く、痔核(じかく)や大腸がんなど下部消化官から出血している可能性が考えられます。

これに対して、胃や十二指腸などの上部消化官からの出血は便が黒っぽくなるのが特徴です。黒っぽい便はタール便や下血とも呼ばれます。

厳密な医療用語では、赤い血が混じっている便のことを「血便」、黒っぽい便を「下血」と区別します。

下部消化官は大腸カメラ、上部消化官は胃カメラで検査できる領域です。

血便・下血について

血便の原因

血便で考えられる原因には次のものがあります。

  1. 痔核
  2. 潰瘍性大腸炎
  3. 感染性腸炎
  4. 大腸がん
  5. 大腸ポリープ
  6. 虚血性腸炎
  7. 大腸憩室出血(大腸憩室症)

ここからはそれぞれの疾患の特徴を詳しく解説します。

1.痔核

血便が出る原因で多いのが痔核です。

いわゆる「いぼ痔」と呼ばれるもので、肛門にできたいぼ状の腫れに圧力がかかったり表面に傷がついたりすると出血することがあります。

痔核は初期症状がないまま進行することがあり、排便時にぽたぽたと血が滴れて異変に気づいたというケースが多いです。

また、肛門付近の皮膚が切れたり裂けたりする「切れ痔」の場合は、トイレットペーパーに少量付着するような出血が見られます。

痔核による血便は鮮血で、肛門付近の痛みを伴うことがあります。

痔の種類・診断・治療について

 

2.潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)は、大腸の粘膜に炎症が起きて腹痛や下痢、血便などの症状が現れる病気のことです。

免疫反応の異常や腸内細菌のバランスが関与すると考えられていますが、はっきりとした原因は明らかにされていません。これまでの研究では、潰瘍性大腸炎の発症リスクが高い遺伝子があり、遺伝的要因が関与している可能性が指摘されています。

潰瘍性大腸炎になると大腸の粘膜が傷ついて出血しやすくなるため、血便や粘液便が出ることが多くなります。

幅広い年齢で起こりうる病気ですが、傾向としては20〜30代の若い方に多く見られるのが特徴です。また、発症に性別差はありません。

潰瘍性大腸炎の症状と治療について

3.感染性腸炎

感染性腸炎は、ウイルスや細菌などに感染することで下痢をはじめとする諸症状を引き起こす病気のことです。

感染症が流行する秋から冬にかけて発症しやすく、感染後3〜7日にかけて症状が続くのが特徴です。下痢以外では腹痛や発熱、血便などが多く見られます。

血便が出るのは、腸に炎症を引き起こす腸管出血性大腸菌腸炎やカンピロバクター腸炎に感染しているケースが多いです。

4.大腸がん

大腸がんの発生には生活習慣が深く関与すると考えられていて、肥満や喫煙、飲酒などが発症リスクを高めることが明らかにされています。

初期は無症状であることが多く、進行するにつれ症状が発現するのが一般的です。代表的な症状には血便・便秘・下痢・残便感・便が細くなる・腹痛・嘔吐などがあります。

大腸がんは日本で一番罹患率の高いがんで、2019年には15万人以上の人が大腸がんと診断されています。

大腸がんの症状・診断・治療について

5.大腸ポリープ

大腸の中にできるいぼ状に隆起してできたものを大腸ポリープといいます。

大腸ポリープが原因で血便が出るのは稀ですが、肛門付近にポリープができていたり、血液をさらさらにする薬を服用しているとポリープから出血することがあります。

大腸ポリープには、将来がんになる可能性があるものとそうでないものがあります。大腸カメラで大腸ポリープが見つかった場合、日帰りの切除手術を行うことも可能です。

大腸ポリープの症状・診断・治療について

6.虚血性腸炎

虚血性腸炎(きょけつせいちょうえん)とは、大腸(下行結腸からS状結腸という部位)の一時的な血流障害によって炎症や潰瘍が生じる病気のことです。

原因としては便秘が最も深く関与しており、その他高血圧や糖尿病、虚血性心疾患などの生活習慣病が関係するといわれています。主な症状は腹痛と血便で、まずは腹痛からはじまり、数時間後に下痢が続いたり血便が出たりします。

虚血性腸炎は幅広い年齢で起こりますが、中年の女性に多い傾向です。再発を繰り返しやすい方もいるので、しっかりと治療した上で注意深く観察する必要があります。

7.大腸憩室出血(大腸憩室症)

大腸憩室出血(だいちょうけいしつしゅっけつ)は、大腸の壁にできた袋状のくぼみ(憩室)に露出した血管に傷がつき、大量に出血する病気です。

憩室自体は食物繊維が不足している人や肥満の人に起こりやすく、高齢者になるほど増加する傾向にあります。そして、血液をさらさらにする薬を飲んでいる方や、肝硬変や腎不全など出血素因の多い方などで憩室部位から出血することが多くなります。

憩室があるだけではとくに症状はなく、大腸カメラをきっかけに発見されるケースが大半です。憩室出血を起こすと、腹痛を伴わない多量の血便が出るのが特徴です。

大腸憩室出血の治療は、大腸カメラを行い出血している箇所に止血処置を施すのが一般的です。ただし、出血量が多い時や出血箇所がわからない時は、カテーテル治療で動脈を閉塞させる手術を行うことがあります。

便潜血検査が陰性の方へ

便潜血検査は安価で手軽に行えるメリットがありますが、実のところ病変を検出できる精度はそれほど高くありません。

具体的な精度は1日法で約73%、2日法で約85%ほどです。また、早期のがんなど出血が少ない病変の場合にはがんの発見率が下がることも明らかにされています。

大腸がんの罹患率は年齢に比例して高くなるため、一度の検査で陰性であっても定期的な検査を行う必要があります。とくに、大腸がんの発症率が上がる40歳以上の方は年1回の便潜血検査を行うことが大切です。

もう一つ、便潜血検査が陰性でも便秘や腹痛、体重減少などが見られる場合にも大腸内カメラを受けることをおすすめします

当院では、麻酔薬を使った苦痛の少ない内視鏡検査を行っています内視鏡専門医である院長が責任を持って担当し、大腸ポリープがあれば当日切除も可能です。

検査の説明を聞いてから大腸カメラを受けたい方は【外来Web予約】へお進みください。

先に検査日を決めたい方は【大腸カメラWeb予約】へお進みください。

血便にまつわるよくある質問

最後に、血便について患者様から多く寄せられる質問にお答えします。

Q.痛みのない血便は心配ありませんか?

痛みを伴わない血便でも何らかの病気が隠れている可能性があります。

たとえば、大腸の壁のくぼみに炎症が起きる大腸憩室出血は痛みのない血便が特徴的な症状です。

ほかにも初期症状のない病気があるため、異変を感じたら医療機関に相談することをおすすめします。

Q.血便と吐き気は何が原因ですか?

血便と吐き気のある病気には虚血性腸炎や大腸憩室出血などがあげられます。

上記はあくまで一例であり、症状だけで病気を特定することはできません。気になる症状がある時は医療機関を受診しましょう。

Q.ストレスで血便が出ることはありますか?

ストレスが血便の直接的な原因になることはないと考えられています。

しかし、ストレスによって​​胃潰瘍や過敏性腸症候群になると血便が出ることはあるので、まったくの無関係とは言えません。

過度な精神的ストレスは心身にさまざまな悪影響を及ぼしますので、不安やイライラは都度解消できるよう対策が必要です。

血便は一回だけでも医療機関へ相談しましょう

血便はさまざまな病気の症状の一つです。

胃や十二指腸、大腸、肛門から出血している可能性があり、中には早急に対処が必要な病気もあります。血便以外にも体調に異変がある時は、できるだけ早く医療機関にかかることをおすすめします。

当院では麻酔薬を使用した内視鏡検査を行っており、苦痛の少ない検査が可能です。希望する患者様には、大腸カメラと胃カメラの同日施行も行っています。

検査を受けるべきか迷っている方は当院までお気軽にご相談ください。

 

当院の大腸カメラについてはこちらをご覧ください▶︎

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【参考元】

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