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台東区浅草のかわぐち内科・内視鏡クリニックの院長ブログ

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消化管の役割とは?各臓器の役割や消化酵素の役割を解説

「最近、胃がもたれやすい」「お腹が張って苦しい」といった、原因のわからないお腹の不調。それは、あなたの体が発するSOSサインかもしれません。

私たちが口にした食べ物は、全長約9メートルもの消化管を、最大で72時間もかけて旅するという壮大なプロセスを経て、ようやく体のエネルギーになります。この複雑で長い旅の成否を握っているのが、体内にいる無数の小さな働き者、「消化酵素」なのです。

この記事では、あなたの不調の謎を解く鍵となる「消化酵素」の働きに焦点を当て、食べ物が栄養に変わるまでの驚くべき仕組みを徹底解説します。ご自身の体で何が起きているのかを知り、快適な毎日を取り戻すヒントを見つけてみませんか。

目次

消化管の仕組みと食べ物が旅するルート

「最近、胃がもたれやすい」「お腹が張って苦しい」など、お腹の不調を感じていませんか。

こうした症状の多くは、私たちが食べたものを栄養に変えるための大切な通り道、「消化管」の働きと深く関わっています。

毎日当たり前のように食事をしていますが、その食べ物が体の中でどのような旅をして、私たちのエネルギーになっているのか、その仕組みを一緒に見ていきましょう。

消化管とは?口から肛門までの長い道のり

消化管とは、食べ物の入り口である「口」から、出口の「肛門」まで続く、一本のとても長い管のことです。

大人では、その全長は約9メートルにもなります。 この長い管は、食べ物がただ通るだけのトンネルではありません。

消化管には、生命を維持するための3つの重要な役割があります。

消化

  • 食べ物を体に取り込めるように、細かく分解します。

吸収

  • 分解した食べ物から、必要な栄養素を体内に取り込みます。

排泄

  • 残った不要なものを、便として体の外に出します。

この消化管は、以下の臓器で構成されています。

  • 口(口腔)
  • 食道
  • 小腸(十二指腸・空腸・回腸)
  • 大腸(盲腸・結腸・直腸)
  • 肛門

これらの臓器は、それぞれが専門の役割を持ち、お互いに協力し合いながら、食べ物から栄養を取り出すという大切な作業を行っています。

各臓器の役割分担マップ 食道・胃・小腸・大腸の働き

消化管というチームの中で、各臓器はそれぞれ特別な役割を持っています。 食べ物が通る順番に、その働きを見ていきましょう。

臓器名 主な働き
食道 口から入った食べ物を、筋肉の動き(蠕動運動)によって胃まで運ぶ、長さ約25cmの通路です。
食べ物を一時的に貯蔵し、強い酸性の胃液で殺菌します。そして、おかゆ状になるまで消化します。タンパク質の分解はここから始まります。
小腸 消化と吸収の中心的な役割を担います。全長6〜7メートルもあり、ほとんどの栄養素がここで分解・吸収されます。
大腸 小腸で吸収されなかった残りカスから水分を吸収し、便を作ります。多くの腸内細菌が働いている場所でもあります。

特に小腸や大腸の粘膜は、栄養を吸収するだけでなく、体にとって有害なものが体内に入らないようにする「バリア機能」という大切な役割も担っています。

しかし最近の研究では、私たちの身の回りにあるごく小さなプラスチック粒子(マイクロプラスチック)が、この腸のバリア機能を傷つける可能性が指摘されています。

マイクロプラスチックは、腸内細菌のバランスを乱したり、消化酵素の働きに影響を与えたりして、消化管全体の働きを低下させる恐れがあるのです。

健康な消化管を保つことは、全身の健康を守ることにも直結します。

食べ物が栄養に変わるまで 消化と吸収の全プロセス

食べ物が口に入ってから、栄養として吸収され、残りカスが便として排出されるまでには、約24時間から72時間かかるといわれています。

この壮大な旅のプロセスを、順番に追いかけてみましょう。

  1. 口での消化
    まず、歯で食べ物を細かく噛み砕きます。 同時に唾液(つば)が分泌され、食べ物と混ざり合います。 唾液に含まれる消化酵素の働きで、炭水化物(でんぷん)の分解がここからスタートします。

  2. 胃での消化
    食道を通って胃に送られた食べ物は、強力な胃酸によって殺菌されます。 そして、胃が動くことで胃液と混ぜ合わされ、おかゆ状になります。 ここでは主に、肉や魚などに含まれるタンパク質の分解が進みます。

  3. 小腸での消化と吸収
    胃から送られてきたおかゆ状の食べ物は、小腸でさらに消化されます。 ここでは、すい臓から送られるすい液や、肝臓で作られる胆汁などと混ざり合います。 これらの消化液に含まれる多くの酵素によって、三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)が、最終的に体内に吸収できる小さな分子にまで分解されます。 そして、小腸の広い壁から、これらの栄養素が吸収されていきます。

  4. 大腸での便の形成と排泄
    小腸で栄養が吸収された残りのものは、大腸へと送られます。 大腸では、主に水分が吸収され、だんだんと固形の便が作られていきます。 そして、直腸に溜まった便が、肛門から排出されます。

このように、消化管は各臓器が連携し、緻密なプロセスを経て、私たちの体を支える栄養素を作り出しているのです。

消化を助ける主役「消化酵素」のすべて

食事をおいしくいただいた後、胃がもたれたり、お腹が張ったりする経験はありませんか。

こうした不調の鍵をにぎっているのが、私たちの体の中にある「消化酵素」です。 消化酵素は、食べ物を体が吸収できるサイズにまで細かく分解してくれる、生命活動に不可欠な物質です。

どんなに栄養バランスの優れた食事を摂っても、この消化酵素がきちんと働かなければ、栄養素を十分に体へ取り込むことはできません。 ここでは、消化を陰で支える主役、消化酵素の働きについて詳しくみていきましょう。

消化酵素って何?役割と働く場所をわかりやすく解説

消化酵素とは、食べ物に含まれる大きな栄養素を、小腸の壁から吸収できるほど小さな分子に分解する化学反応を助ける物質です。

ご飯やパンに含まれる炭水化物、肉や魚に含まれるタンパク質、油に含まれる脂質などは、そのままでは分子が大きすぎて体内に吸収できません。 消化酵素が、これらの大きな分子を細かく分解することで、初めて私たちは栄養として利用できるのです。

消化酵素は、消化管のさまざまな場所で作られ、分泌されます。 食べ物の旅のルートに沿って、各場所での働きを見ていきましょう。

  • 口(唾液腺)

    唾液に含まれる「アミラーゼ」が、ご飯やパンなどのでんぷんの分解を開始します。よく噛むことで唾液の分泌が促され、消化の第一歩がスムーズに進みます。


  • 胃液に含まれる「ペプシン」が、肉や魚などのタンパク質を分解します。胃酸によって強い酸性の環境が作られることで、ペプシンは活発に働けるようになります。

  • 膵臓(すいぞう)

    三大栄養素すべてを分解する、多種類の消化酵素を作り出す重要な臓器です。作られた消化酵素は膵液として十二指腸(小腸の一部)へ送られます。

  • 小腸

    膵臓から送られてきた消化酵素と、小腸の壁自体が作る消化酵素の共同作業により、栄養素が最終的に吸収できる形まで分解されます。

このように、消化酵素は口から小腸までの道のりでリレーのように働き、段階的に栄養素を分解していくのです。

【一覧表】どこから出る?三大栄養素を分解する主要な消化酵素

食べ物に含まれる三大栄養素は、それぞれ専門の消化酵素によって分解されます。 どの消化酵素が、どこから分泌され、どのような働きをするのかを一覧表にまとめました。

分泌される場所 消化酵素の名前 主な働き(何を分解するか)
唾液腺(口) アミラーゼ 炭水化物(でんぷん)
ペプシン タンパク質
膵臓 アミラーゼ(膵アミラーゼ) 炭水化物(でんぷん)
トリプシン タンパク質
リパーゼ 脂質
小腸 マルターゼ、スクラーゼ、ラクターゼなど 炭水化物(二糖類)
ペプチダーゼ タンパク質(ペプチド)

この表からわかるように、一つの栄養素の分解は、一つの酵素で終わるわけではありません。 例えば炭水化物は、唾液のアミラーゼ、膵臓のアミラーゼ、そして小腸の酵素というように、複数の酵素が連携して初めてブドウ糖という最小単位になります。

特に膵臓は、三大栄養素すべてに対応する消化酵素を分泌する、まさに消化の要となる臓器です。

炭水化物・タンパク質・脂質はどの酵素が担当するのか

私たちが食事から摂る三大栄養素が、どの酵素によって、どのように分解されていくのか、そのプロセスを栄養素ごとに詳しく見ていきましょう。

【炭水化物(ご飯、パン、麺類など)】

  1.  
    唾液に含まれる「アミラーゼ」がでんぷんを分解します。
  2. 小腸 
    膵臓から分泌される「膵アミラーゼ」が、さらに細かく分解します。
  3. 小腸の壁
     「マルターゼ」や「α-グルコシダーゼ」などが、最終的にブドウ糖などの小さな糖に分解し、吸収します。

近年の研究では、サポニンなどの特定の天然成分が、このα-グルコシダーゼやα-アミラーゼの働きを調整し、糖の吸収を穏やかにする作用を持つことが分かってきています。

【タンパク質(肉、魚、卵、大豆製品など)】

  1.  
    胃液の「ペプシン」が、タンパク質を少し小さなかたまり(ペプチド)に分解します。
  2. 小腸
     膵臓から分泌される「トリプシン」などが、ペプチドをさらに細かく分解します。
  3. 小腸の壁 
    「ペプチダーゼ」が、最終的にアミノ酸という最小単位に分解して吸収します。

【脂質(油、バター、肉の脂身など)】

  1. 小腸(胆汁のサポート)
     まず、肝臓で作られる胆汁が脂質を乳化させます。乳化とは、大きな油の粒を小さな粒に分散させ、水と混ざりやすくすることです。
  2. 小腸(リパーゼの働き)
     乳化によって表面積が大きくなった脂質に、膵臓から分泌される「リパーゼ」が効率よく作用します。
  3. 最終的に「脂肪酸」と「モノグリセリド」に分解され、小腸から吸収されます。

このように、各栄養素には専門の消化酵素チームが存在し、リレー形式で消化のバトンをつないでいるのです。

症状から探る あなたに足りない消化酵素とは

食事は本来、私たちの楽しみであり、元気の源です。 それなのに「これを食べると、決まってお腹の調子が悪くなる」と感じることはありませんか。

特定の食べ物で起きる不調は、もしかすると、あなたの体からの「消化のSOSサイン」かもしれません。 その不調の鍵を握っているのが、特定の栄養素を分解する「消化酵素」です。

ここでは、よくある症状から、どの消化酵素の働きが関係しているのかを探っていきましょう。 ご自身の体調と食事内容を思い浮かべながら、読み進めてみてください。

脂っこいもので胃もたれするなら「リパーゼ」不足の可能性

天ぷらや唐揚げ、クリームたっぷりのケーキなどを食べた後、胃が重く、いつまでももたれる感じがする。 このような方は、脂質を分解する「リパーゼ」という消化酵素の働きが追いついていない可能性があります。

リパーゼは、主にすい臓から分泌される酵素です。 食事に含まれる脂肪という大きな塊を、体が吸収できる「脂肪酸」と「モノグリセリド」という小さな粒に分解する、重要な役割を担っています。

このリパーゼの働きが弱いと、消化しきれない脂質が胃の中に長く留まってしまいます。 これが、胃もたれや胸やけといった不快な症状の正体です。 加齢やストレス、不規則な生活習慣は、すい臓の働きに影響を与え、リパーゼの分泌を低下させることがあります。

ちなみに、すい臓に急な炎症が起こる「急性膵炎」という病気の診断では、血液中のリパーゼの値を測定します。 これは、すい臓の細胞がダメージを受けると、リパーゼが血液中にあふれ出てくるためです。 リパーゼは、脂質の消化だけでなく、私たちの健康状態を知る上でも大切な指標なのです。

【あなたの「リパーゼ」働きチェック】

  • 揚げ物を食べると、翌日まで胃が重く感じることがある
  • バターや生クリームを使った料理が、以前より苦手になった
  • 焼肉を食べた後、お腹の調子を崩しやすい

ご飯やパンでお腹が張るなら「アミラーゼ」の働きが重要

ご飯やパン、麺類などの炭水化物を食べた後、お腹がガスでパンパンに張って苦しくなる。 もし心当たりがあれば、炭水化物(でんぷん)を分解する「アミラーゼ」という消化酵素の働きが関係しているかもしれません。

アミラーゼは、主に唾液とすい臓から分泌されます。 実は、炭水化物の消化は食事の最初のステップである「口の中」から始まっているのです。 唾液に含まれるアミラーゼが、でんぷんを分解することで、その後の胃や小腸での消化がスムーズに進みます。

しかし、急いで食事をしたり、よく噛まずに飲み込んだりすると、唾液の量が足りず、アミラーゼが十分に働きません。 その結果、未消化のでんぷんが大腸まで届いてしまいます。 そして、大腸にいる腸内細菌がそれをエサにして発酵させ、ガスを大量に発生させるため、お腹が張ってしまうのです。

【アミラーゼの働きを助ける食事のコツ】

  • 一口につき30回を目安に、よく噛んで食べる
  • 食事の時間を十分に確保し、リラックスして食べる
  • 水分を適度に摂り、食べ物を飲み込みやすくする

毎日の少しの心がけが、アミラーゼの働きを力強くサポートします。

肉を食べると不調になるのは「プロテアーゼ」が関係しているかも

お肉が好きなのに、食べた後に胃が重く感じたり、いつまでも消化されていないような不快感が続いたりする。 このような方は、タンパク質を分解する「プロテアーゼ」という消化酵素の働きが低下している可能性があります。

プロテアーゼは一つの酵素の名前ではなく、タンパク質を分解する酵素の総称です。 胃で働く「ペプシン」や、すい臓から分泌される「トリプシン」などが代表的なプロテアーゼです。 これらの酵素が連携し、お肉や魚などに含まれる大きなタンパク質を、体が吸収できるアミノ酸という最小単位まで分解します。

プロテアーゼの働きが不十分だと、未消化のタンパク質が腸に送られます。 未消化のタンパク質は、腸内で悪玉菌の大好物となり、腸内環境を乱す原因になります。 これが、不快なガスやお腹の不調を引き起こすことにつながるのです。

【プロテアーゼの働きが気になる方へ】

  • 消化しやすい鶏のささみや白身魚から試してみる
  • お肉をよく煮込む、ひき肉にするなど、調理法を工夫する
  • パイナップルやキウイなど、タンパク質分解酵素を含む果物を食後に摂る

乳製品でゴロゴロする「乳糖不耐症」と消化酵素

牛乳やヨーグルト、チーズを食べた後にお腹がゴロゴロ鳴ったり、下痢をしたりする。 この症状は「乳糖不耐症」が原因かもしれません。 これは、乳製品に含まれる「乳糖(ラクトース)」を分解する消化酵素、「ラクターゼ」が少ないか、働きが弱い体質のことです。

ラクターゼが不足すると、分解されない乳糖がそのまま大腸へ運ばれます。 すると、大腸内の細菌が乳糖を発酵させてガスを発生させたり(お腹の張り、ゴロゴロ)、腸が水分を多く引き込んだりする(下痢)ため、不快な症状が現れます。

乳糖不耐症は病気ではなく、体質によるものです。 特に日本人を含むアジア人には、このラクターゼの活性が低い人が多いとされています。

【乳糖不耐症の方が試せる工夫】

  • 牛乳を一度にたくさん飲まず、少量から試してみる
  • 冷たい牛乳ではなく、人肌程度に温めてからゆっくり飲む
  • ヨーグルトやチーズなど、発酵によって乳糖が一部 分解されている食品を選ぶ
  • 「ラクトースフリー(乳糖除去)」と表示された製品を利用する

胃もたれ・便秘はサイン?消化機能の不調とセルフケア

「食事の後、なんだか胃が重い」「最近、お腹の調子が安定しない」 このような症状は、多くの方が経験する身近な不調かもしれません。

しかし、それは消化機能がうまく働いていないという体からのSOSサインです。 単なる不調と軽く考えず、原因を知り対策することが大切です。 快適な毎日を取り戻すために、消化機能について学んでいきましょう。

なぜ消化は乱れる?加齢・ストレス・食生活の三大原因

私たちの消化機能はとても繊細で、様々な要因でバランスを崩します。 特に影響が大きいと考えられているのが、次の3つの原因です。

  1. 加齢による体の変化
    年齢を重ねると、消化酵素を作る力が少しずつ落ちてきます。 また、食べ物を腸へ送り出す筋肉の動き(蠕動運動)も弱まります。 若い頃と同じ食事でも胃がもたれやすくなるのは、自然な変化なのです。
  2. ストレスによる心身の影響
    脳と腸は「脳腸相関」という言葉があるほど、深くつながっています。 緊張するとお腹が痛くなるのは、その代表的な例です。 精神的なストレスは自律神経のバランスを乱し、消化機能に影響します。 胃酸が過剰に出たり、胃腸の動きが悪くなったりするのです。
  3. 食生活の乱れ
    脂っこい食事や食べ過ぎは、消化器官に大きな負担をかけます。 消化のために大量の消化酵素が無駄遣いされてしまうのです。 また、早食いは食べ物を十分に噛み砕けないため、胃腸の負担が増えます。 不規則な食事時間も、消化のリズムを乱す大きな原因です。

これらの原因は一つだけでなく、複数絡み合って不調につながることが多いです。

消化不良が引き起こす症状と隠れた病気のリスク

消化不良が続くと、お腹だけでなく体全体に様々なサインが現れます。 ご自身の体調と照らし合わせてみてください。

【消化不良で起こりやすい症状】

  • 胃の症状

    胃もたれ、胸やけ、胃痛、吐き気、食欲不振

  • 腸の症状

    お腹の張り(腹部膨満感)、げっぷ、便秘、下痢

  • 全身の症状

    栄養不足による体重減少、肌荒れ、疲れやすさ

これらの症状の裏には、病気が隠れている可能性もあります。 特に注目したいのが、腸の「バリア機能」の低下です。

私たちの腸の壁は、「ムチン」というネバネバした粘液で覆われています。 近年の研究では、この粘液の主成分である「ムチン2(MUC2)」が、腸のバリア機能に不可欠であることがわかっています。 このバリアは、有害物質や細菌が体内に侵入するのを防いでいます。

しかし、消化不良で腸内環境が悪化すると、このバリアが傷つきやすくなります。 バリア機能が損なわれると、腸で慢性的な炎症が起こりやすくなり、将来的には「炎症性腸疾患」のような病気のリスクを高める可能性も指摘されています。

消化機能を高める食事法と生活習慣のポイント

消化機能を健やかに保つには、日々のセルフケアがとても重要です。 今日から始められる食事と生活習慣のポイントをご紹介します。

【食事のポイント】

  • よく噛んで食べる

     唾液に含まれる消化酵素「アミラーゼ」の分泌を促します。  一口30回を目安に、食べ物の形がなくなるまで噛みましょう。

  • 腹八分目を心がける

     食べ過ぎは消化酵素を浪費させ、消化器官を疲れさせます。  「もう少し食べたい」くらいで食事を終えるのが理想です。

  • 酵素を含む食品を取り入れる

     生の野菜や果物、味噌や納豆などの発酵食品には消化を助ける食物酵素が含まれます。  酵素は熱に弱く、48度以上で壊れ始めるため、生で摂るのがおすすめです。

【生活習慣のポイント】

  • 適度な運動を習慣にする

     ウォーキングなどの軽い運動は、腸の動きを活発にします。  食後に少し歩くだけでも、消化の助けになります。

  • 体を温める

     体温が低いと、体内の酵素の働きが鈍くなります。  酵素が最も活発に働くのは37度前後です。  お風呂にゆっくり浸かったり、温かい飲み物を飲んだりしましょう。

  • 質の良い睡眠をとる

     睡眠中は、日中に酷使した消化管が修復される大切な時間です。  規則正しい睡眠は自律神経を整え、消化機能の安定につながります。

こんな症状は要注意 専門医への受診をおすすめするケース

セルフケアを試しても症状が改善しない場合や、次のような症状が見られる場合は、専門の医療機関を受診しましょう。

【受診をおすすめする症状チェックリスト】

 胃痛や腹痛が我慢できないほど強い
 (胃潰瘍や急性膵炎など、緊急の治療が必要な可能性があります)

 胸やけや酸っぱいものがこみ上げる感じが頻繁にある
 (逆流性食道炎の可能性があります。放置すると食道が傷つきます)

 食べていないのに体重が急に減ってきた
 (栄養が吸収できていない、あるいは体に病気が隠れているサインです)

 便に血が混じっている(黒っぽい便や赤い便)
 (消化管からの出血が疑われます。胃がんや大腸がんの可能性も考えます)

 吐き気や嘔吐を繰り返す
 (消化管の通過障害や、重い胃炎などが原因かもしれません)

 食べ物が飲み込みにくい、喉につかえる感じがする
 (食道の病気の可能性があります)

これらの症状は、より専門的な治療が必要な病気のサインかもしれません。 不安を一人で抱え込まず、早めに専門医に相談してください。

クリニックで受けられる消化機能の検査と治療法

胃もたれやお腹の張り、便通の異常など、消化器の不調が続くと「何か悪い病気だったらどうしよう」と不安になりますよね。

消化機能の低下は、食事や生活習慣だけでなく、さまざまな原因で起こります。 クリニックでは、患者さん一人ひとりの症状に合わせて、原因を突き止めるための検査や、つらい症状を和らげる治療を行います。

どのような検査や治療法があるのかを知っておくことで、安心して受診への一歩を踏み出すことができるでしょう。

胃カメラ・大腸カメラだけではない 消化機能を調べる専門的な検査

消化器の検査というと、胃カメラや大腸カメラを思い浮かべる方が多いかもしれません。 これらは胃や腸の粘膜を直接見て、炎症や潰瘍、ポリープなどの病気がないかを確認する、とても大切な検査です。

しかし、消化機能を調べる検査はこれだけではありません。 症状や疑われる病気に応じて、以下のような検査を組み合わせて総合的に診断します。

  • 血液検査

    栄養状態や体の中の炎症の有無などを確認します。  特に、すい臓から分泌されるアミラーゼやリパーゼといった消化酵素の値は重要です。  「急性膵炎」という、すい臓に急な炎症が起きる病気では、これらの酵素が血液中にあふれ出て数値が高くなるため、診断の重要な手がかりになります。

  • 腹部超音波(エコー)検査

    お腹の表面から超音波をあてて、肝臓、胆のう、すい臓といったお腹の中の臓器の状態を調べます。  体に負担が少なく、痛みもない検査です。

  • 便検査

    便に血が混じっていないかを調べる「便潜血検査」や、食中毒の原因となる細菌がいないかなどを確認します。

  • 呼気テスト

    専用の袋に息を吹き込んで、胃の中にピロリ菌がいるかどうかを調べます。

消化酵素を補う薬やサプリメントの正しい選び方と注意点

消化機能が低下している場合、食べ物の消化を助けるために消化酵素を補う治療が行われることがあります。 薬局などでも消化酵素を含む製品が売られていますが、「薬」と「サプリメント」には大きな違いがあることを知っておきましょう。

  • 医薬品(消化薬)

    医師が処方するものや、薬局で買える市販薬です。  医師が処方するものでも、消化薬と呼ばれるものには限りがあり、即効性のある薬剤は少ないのが現状です。

  • サプリメント(健康食品)

    あくまで食事で足りない栄養素を補うためのものです。  病気の治療を目的としたものではありません。

もし市販のものを選ぶ場合は、ご自身の症状に合わせることがポイントです。

ただし、自己判断で長期間使い続けるのはおすすめできません。 なぜなら、症状の裏に隠れている病気を見逃すことにつながるからです。 まずは医師や薬剤師に相談し、ご自身の体調に本当に合ったものを選びましょう。

医師が指導する消化器に優しい食事療法と生活改善プラン

消化器の不調を根本から良くしていくためには、薬だけに頼るのではなく、毎日の食事や生活習慣を見直すことが非常に重要です。 クリニックでは、患者さん一人ひとりの生活に合わせて、無理なく続けられるプランを一緒に考えていきます。

【食事療法のポイント】

  • 消化に良いものを選ぶ

     おかゆ、うどん、豆腐、白身魚、鶏のささみ、バナナなどがおすすめです。

  • 負担の大きいものを避ける

     脂っこい料理、香辛料の強いもの、食物繊維が多すぎるもの(ごぼうなど)、冷たすぎる・熱すぎるものは控えめにしましょう。

  • 食べ方を工夫する

     一口30回を目安によく噛む、腹八分目を心がける、決まった時間に食事をとるなどを意識することが大切です。

【生活改善のポイント】

  • 十分な睡眠と休養をとる

     自律神経のバランスを整え、胃腸の働きを正常に保ちます。

  • 適度な運動をする

     ウォーキングなどの軽い運動は、腸の動きを活発にし、ストレス解消にも役立ちます。

  • ストレスを上手に管理する

     趣味の時間やリラックスできる時間を作り、心と体を休ませましょう。

不規則な生活やストレスは、腸を守る粘液のバランスを崩し、腸内環境を悪化させる原因になることが分かっています。 腸のバリア機能が弱まると、将来的に「炎症性腸疾患」のような病気のリスクを高める可能性も指摘されています。

健康な消化管を保つためにも、できることから始めてみましょう。

まとめ

今回は、食べ物が栄養に変わるまでの壮大な旅である、消化管と消化酵素の働きについて詳しく解説しました。 胃もたれやお腹の張りといった身近な不調は、この大切な仕組みがうまく働いていないという、あなたの体からのSOSサインかもしれません。

まずは、食事をよく噛むことや、消化に良いものを選ぶといった、今日からできるセルフケアを試してみてください。生活習慣を少し見直すだけでも、消化管の負担を軽くすることができます。

もし、つらい症状が続いたり、体重減少など気になるサインがあったりする場合は、一人で抱え込まずに専門の医療機関へ相談しましょう。自分の体の声に耳を傾けることが、健やかな毎日への第一歩になります。

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