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ふと思い出して

[2023.03.26]

先日、医師会の先生方との懇親会があり参加しました。

仕事の話からプライベートの話まで様々お話させて頂きましたが、

その中で、いつもお世話になっている先生から患者様の心温まる話を聞いて、自分も思い出した事を書きます。

 

自分が大学で消化器内科医として働きだした頃、若くしてがん末期を患った患者様を担当しました。

お若い方でBaseはお元気な方でしたが、経過と共に症状が増悪し、痛みや腹部膨満で辛い入院生活が続きました。

私は毎日患者様のところに顔を出し、症状を聞いては痛み止めの調整をしたり、

時にはご家族の話を聞いたりしていました。

しかし徐々に体力は奪われ、命の終わりが近づいていました。

主治医の先生、そして私は、患者様が少しでも苦しくないよう、ぼーっとする薬を使いながら

その時が来るのを覚悟して待っていました。

まだコロナウイルス感染もありませんでしたから、ご家族もずっとご本人様に寄り添っていました。

そしていよいよ、血圧が下がり、ご本人様も最期を悟り最後の言葉をご家族に残している中、

私の名前を呼び

『先生、ありがとう。これからも頑張って立派な先生になってくださいね』

と言ってくれました。医師になって涙を流した数少ない出来事の一つでした。

それから数分後にお亡くなりになりました。

 

ふと今になって思い出し、今の自分が立派な先生であろうか?と問いました。

少なくとも、地道に一歩ずつ真面目に歩んできた と自負はしています。

それでも立派な先生になるために、まだまだ歩みを止めてはいけないと、改めて考えました。

 

昔の記憶ですが、日々生きていく中で忘れそうになっていく、でも忘れてはいけない

自分の消化器内科医としての原点のような事を、今後の決意表明も兼ねてブログにしました。

長々と記載しました。

最期まで読んでいただいた方、ありがとうございました。

 

かわぐち内科・内視鏡クリニック

川口 佑輔

 

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