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台東区浅草のかわぐち内科・内視鏡クリニックの院長ブログ

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空腹時に胃痛が起こりやすい理由とは?

空腹時に胃がキリキリ、ズキズキと痛む経験は、多くの方が一度はされたことがあるのではないでしょうか。この「お腹が空いたから」と見過ごしがちな胃痛は、実は体が発している重要なサインかもしれません。

単なる胃酸過多だけでなく、ストレスによる自律神経の乱れ、不規則な食生活、さらには胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎といった消化器疾患が潜んでいるケースも少なくありません。中には、胃がんなどの重篤な病気が隠れている可能性もあり、放置することは非常に危険です。

消化器内科専門医として、なぜ空腹時に胃痛が起こるのか、そのメカニズムから、見逃してはいけない危険なサイン、そして適切な対処法までを詳しく解説します。あなたの胃痛が、単なる一時的な不調ではないかもしれません。

目次

空腹時に胃痛が起こりやすい理由とは?

空腹時に胃がキリキリしたり、ズキズキしたりと痛みを感じることはありませんか。多くの方が一度は経験する症状かもしれませんが、これは体が発している大切なサインかもしれません。消化器内科専門医として、日々の診療で多くの患者さんからお悩みを伺う中で、単なる一時的な胃の不調と放置してはいけないケースも多く存在します。なぜ痛みが生じるのか、その原因と症状について詳しく見ていきましょう。

胃酸過多が引き起こす刺激と痛み

胃は食べ物を消化するために「胃酸」という強力な酸を分泌していますが、同時に胃の粘膜は胃酸から自身を守る「防御機能」も持ち合わせています。この防御機能と胃酸分泌のバランスが正常に保たれている間は、胃に問題は生じません。しかし、何らかの原因で胃酸が過剰に分泌されたり、胃の防御機能が低下したりすると、胃の粘膜が胃酸によって刺激され、痛みとして感じられるようになるのです。

特に空腹時は、胃の中に食べ物がないため、胃酸が直接胃の粘膜に触れやすくなります。このとき胃酸が過剰に分泌されていると、胃の粘膜はより強く刺激され、キリキリとした痛みやズキズキとした不快感として現れることがあります。こうした状態が続くと、胃の粘膜に炎症が起こり、「急性胃炎」を引き起こすこともあります。

胃酸過多になる主な原因は、次のようなものが挙げられます。

原因 説明
ストレスや疲労 心身のストレスや過労は、胃の働きをコントロールしている自律神経のバランスを乱します。自律神経の乱れは、胃酸の分泌を過剰にするだけでなく、胃の血流を悪くしたり、胃の運動を異常に活発にしたりして、胃の粘膜を刺激しやすくすることが分かっています。
不規則な食生活 食事を抜いたり、食べる時間が不規則だったりすると、胃酸が分泌されるタイミングと胃の中に食べ物があるタイミングがずれてしまいます。これにより、胃酸が胃の粘膜を直接攻撃する時間が増え、胃に負担をかけることがあります。
刺激物の過剰摂取 喫煙、過度のアルコール摂取、カフェインの摂りすぎ、香辛料の多い食事などは、胃酸の分泌を促進し、胃粘膜を直接刺激する作用があります。

もし、空腹時にキリキリとした痛みが続くようであれば、ご自身の生活習慣を見直し、胃酸の分泌を抑える工夫をすることが大切です。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍による胃痛の特徴

空腹時の胃痛で特に注意が必要なのが、「胃潰瘍(いかいよう)」や「十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)」といった病気です。これらは、胃や十二指腸の粘膜が胃酸や消化酵素によって深く傷つき、粘膜の下層まで深くえぐられてしまう病気です。

胃潰瘍と十二指腸潰瘍の主な原因

原因 説明
ピロリ菌感染 ヘリコバクター・ピロリ菌という細菌が胃の粘膜に住み着き、慢性的な炎症を起こすことで胃や十二指腸の防御機能が低下し、潰瘍ができやすくなります。現代では除菌治療で改善が期待できます。
薬剤の影響 非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs:エヌセイズ)など、特定の薬には胃粘膜の防御機能を低下させる副作用があるため、服用によって潰瘍ができることがあります。
強いストレス 強いストレスは自律神経のバランスを大きく乱し、胃酸の分泌を増やしたり、胃の防御機能を著しく低下させたりするため、潰瘍のリスクを高めます。

胃潰瘍と十二指腸潰瘍では、痛みの現れ方に特徴があります。

潰瘍の種類 痛みが強くなるタイミング 痛みの特徴
胃潰瘍 食後しばらくしてから(30分~2時間後) 食事によって胃酸の分泌が促されることで、潰瘍部分が刺激され痛みが強くなる傾向があります。
十二指腸潰瘍 空腹時や夜間(特に深夜から明け方) 胃の中に食べ物がない空腹時に胃酸が十二指腸に流れ込み、潰瘍部分を刺激することで痛みが強くなる傾向があります。食事を摂ることで一時的に痛みが和らぐことが多いですが、これは単に食べ物が胃酸を薄めたり、粘膜を覆ったりする一時的な作用に過ぎません。根本的な解決にはつながりませんので、放置せず受診が大切です。

どちらの潰瘍でも、痛みは「シクシク」「キリキリ」「ズキズキ」など様々ですが、重症化すると胃の激しい痛みだけでなく、潰瘍からの出血が起こることがあります。吐血(とけつ:口から血を吐くこと)や、便が真っ黒になる「タール便(タールべん)」、具体的には墨汁のように真っ黒でドロドロとした便が見られる場合は、消化管出血のサインです。このような症状が見られた場合は、迷わずすぐに医療機関を受診してください。

逆流性食道炎が関係する胸やけと痛み

空腹時の胃痛や胸やけで考えられる病気の一つに、「逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)」があります。これは、胃の内容物、特に強い酸性の胃液や消化酵素が食道に逆流し、食道の粘膜に炎症を起こす病気です。

食道は胃と異なり、酸から身を守る機能がほとんどありません。そのため、胃酸が逆流するとすぐに炎症を起こし、様々な症状を引き起こします。空腹時は胃酸の分泌量が多く、かつ胃の中に食べ物がないため、食道へと胃酸が逆流しやすくなることがあります。

逆流性食道炎の主な症状

症状 説明
胸やけ みぞおちから胸にかけて焼けるような不快な感覚です。胃酸が食道粘膜を刺激することで起こります。
酸っぱいげっぷ(呑酸:どんさん) 胃酸が逆流し、口の中に酸っぱいものがこみ上げてくる感覚です。
喉のヒリヒリ感や違和感 胃酸が喉まで上がってくると、喉の痛みや声枯れ、慢性的な咳などの症状が出ることがあります。
胃の痛み 空腹時にみぞおちあたりに痛みを感じることもあります。

これらの症状は、胃酸の逆流によって食道が刺激されることで起こります。特に空腹時や食後すぐに横になったりする姿勢で悪化しやすい傾向がありますが、日常生活での特定の姿勢も逆流を助長することがあります。

逆流を助長する姿勢・状況 具体的な影響
腹部を圧迫する姿勢 締め付ける服装や、ベルトの締めすぎ、前かがみになる作業などで腹圧が高まると、胃が圧迫されて胃酸が逆流しやすくなります。
横たわる姿勢 食後すぐに横になったり、睡眠中に体が平らな状態になったりすると、重力の影響で胃酸が食道へ逆流しやすくなります。特に就寝前の食事は注意が必要です。
長時間同じ姿勢 デスクワークなどで長時間座りっぱなしの姿勢や、猫背など背中が丸まった姿勢は、胃が圧迫されたり、食道の形状が変化したりすることで、胃酸の逆流を引き起こしやすくなると考えられています。

このような症状が頻繁に現れるようでしたら、放置せずに消化器内科を受診し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。私たち消化器内科医は、患者さんの症状を詳しく伺い、適切な検査を通じて診断を進めていきます。

機能性ディスペプシアとストレスの影響

空腹時の胃痛は、必ずしも胃や食道に具体的な傷や炎症があるわけではありません。消化器内科では、胃カメラ検査などで異常が見つからないにもかかわらず、胃の不調が続く場合に「機能性ディスペプシア(きのうせいディスペプシア)」と診断することがあります。

この病気は、胃の「機能」に問題があると考えられています。具体的には、胃の動きが鈍くなったり、胃が食べ物をためる能力が低下したり、あるいは胃が痛みを感じる神経が過敏になっていたりすることが原因とされています。

機能性ディスペプシアの主な症状

症状 説明
食後の胃もたれ感 少し食べただけでも胃が重く感じ、なかなかスッキリしない感覚が続きます。
早期飽満感 食事を始めるとすぐに満腹になってしまい、最後まで食事ができないことがあります。「もうこれ以上食べられない」と感じるのが、一般的な満腹感よりも早く訪れるのが特徴です。
みぞおちの痛み 空腹時や食後に、みぞおちのあたりに痛みを感じることがあります。痛みの性質は人それぞれで、「キリキリ」「ズキズキ」「重い感じ」など様々です。
その他の症状 吐き気、お腹の張り(膨満感:ぼうまんかん)、げっぷ、食欲不振などが併発することもあります。

特にストレスは、機能性ディスペプシアに大きく関わっていることが分かっています。脳と胃は「脳腸相関(のうちょうそうかん)」と呼ばれる自律神経のネットワークで密接につながっており、脳がストレスを感じると、その影響はダイレクトに胃に伝わります。ストレスがかかることで、胃の動きが悪くなったり、胃酸の分泌が過剰になったり、痛みを感じる神経が過敏になったりするのです。精神的な緊張や不安が、胃の症状を悪化させる悪循環に陥ることも少なくありません。

日々の診療で、このような症状を訴えて来院される方は非常に多くいらっしゃいます。機能性ディスペプシアの治療では、薬物療法に加えて、ストレスを軽減するための生活習慣の改善や、必要に応じて精神療法・カウンセリングなども検討されることがあります。

胃がんなど重篤な病気の可能性と症状

空腹時胃痛が、常に良性の病気によるものとは限りません。まれに「胃がん」や「十二指腸がん」などの重篤な病気が隠れている可能性もあります。消化器内科医として、私はこの点を特に強調してお伝えしたいと思います。

胃がんや十二指腸がんは、早期の段階ではほとんど自覚症状がないことが多いです。そのため、「ただの胃痛だろう」「いつもの胃もたれだろう」と自己判断して放置しているうちに、病気が進行してしまうケースも少なくありません。早期発見・早期治療が、命を守る上で極めて重要です。

進行したがんでは、以下のような症状が現れることがあります。

症状 説明
空腹時胃痛 胃の痛みや不快感が続くことがあります。市販薬を飲んでも改善しない、痛みの性質が変わった、という場合は特に注意が必要です。
胃のもたれ感 食事をしても胃が重く、スッキリしない感じが続きます。進行がんによって胃の動きが悪くなったり、消化機能が低下したりすることが原因です。
食欲不振・体重減少 特に理由もなく食欲がわかず、食事の量が変わらないのに、例えば1〜2ヶ月で数kg減るといった体重減少が見られることがあります。これは、がんによる全身の消耗や、消化吸収機能の低下が関与している可能性を示唆します。
吐き気や嘔吐 胃の不快感とともに吐き気を感じたり、実際に吐いたりすることがあります。がんが胃の出口を塞ぐような形になっている場合に起こりやすくなります。
貧血 胃からの慢性的な出血により、じわじわと体内の鉄分が失われ、貧血が進むことがあります。顔色が悪い、だるい、息切れがするなどの症状が現れることがあります。
タール便(黒い便) がんから出血している場合、便が真っ黒でドロドロとしたタール便になることがあります。これは消化管出血の明確なサインですので、すぐに医療機関を受診してください。

これらの症状は、胃がんや十二指腸がんが進行している可能性があるため、特に注意が必要です。もし、胃痛だけでなく上記のような症状が併せて現れる場合や、市販薬を飲んでも改善しない胃痛が続く場合は、できるだけ早く消化器内科を受診し、精密検査を受けることが大切です。早期発見・早期治療が、重篤な病気の克服には非常に重要な鍵となります。

空腹時胃痛の検査と治療法、緊急受診の目安

空腹時の胃痛は、多くの方が経験する不快な症状です。一時的なものだと軽視してしまいがちですが、実際には体が発している大切なサインかもしれません。この痛みを放置すると、思わぬ病気の進行を見過ごしてしまう恐れがあります。消化器内科医として、私は皆さんに「なぜ痛みが生じるのか」だけでなく、「どのように対処すべきか」そして「どんな時に専門医の助けを借りるべきか」を正しく知っていただきたいと考えています。適切な検査と治療、そしてご自身の体への意識が、健やかな毎日を取り戻す第一歩となります。

胃カメラ検査など原因を特定する検査の流れ

空腹時胃痛の原因は、実に多岐にわたります。単なる胃酸過多から、胃炎や胃潰瘍(いかいよう)、十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)といった消化性潰瘍、さらには逆流性食道炎、そしてまれに胃がんや十二指腸がんなどの重篤な病気が隠れている可能性もあります。これらを正確に鑑別し、適切な治療へとつなげるためには、専門的な検査が不可欠です。

特に胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は、食道、胃、十二指腸の粘膜を医師が直接目で見て確認できるため、胃痛の原因を特定する上で最も重要な検査の一つです。潰瘍の有無や炎症の程度、がんなどの病変の有無を詳細に評価できます。必要であれば、病変の一部を採取する「生検(せいけん)」を行い、顕微鏡で詳しく調べることで、より正確な診断が可能です。また、胃炎や消化性潰瘍の主な原因となるヘリコバクター・ピロリ菌(以下、ピロリ菌)の感染の有無も、同時に調べることができます。ピロリ菌は胃の粘膜に住み着き、慢性的な炎症を引き起こして潰瘍やがんのリスクを高めることが分かっています。

胃カメラ検査以外にも、次のような検査が行われることがあります。

検査の種類 目的と特徴
バリウム検査 バリウムという造影剤を飲んでレントゲン撮影し、食道、胃、十二指腸の形状や粘膜の凹凸を調べます。胃カメラが難しい場合に検討されます。
血液検査 貧血の有無、炎症反応の指標、特定の腫瘍マーカー(がんの可能性を示す物質)などを確認します。消化管からの出血による貧血の早期発見にも役立ちます。
ピロリ菌検査 胃カメラと同時に生検で行うほか、呼気検査(息を吐くだけの検査)や便検査などでも感染の有無を確認できます。

「胃カメラはつらい」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。最近では、鼻から細い内視鏡を挿入する「経鼻内視鏡(けいびないしきょう)」や、鎮静剤(ちんせいざい)を使ってウトウトしている間に検査が終わる方法など、患者さんの負担を軽減するための工夫がされています。検査を受けることで、早期に病気を発見し、適切な治療へと進めることが何よりも大切です。自己判断せずに、専門医にご相談ください。

薬物療法と生活習慣の改善による治療

空腹時胃痛の治療は、その根本原因によって異なりますが、「薬物療法」と「生活習慣の改善」という二つの柱で進められます。この両方に取り組むことが、症状の改善と病気の再発予防には不可欠です。

薬物療法

胃酸の過剰分泌が胃痛の主な原因の場合や、胃や十二指腸に潰瘍や炎症がある場合には、お薬を使って症状を和らげ、粘膜の治癒を促します。

薬の種類 主な作用と使われる病気
胃酸分泌抑制薬 胃酸の分泌を強力に抑え、胃や食道の粘膜への刺激を減らします。プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーなどがあり、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎の治療に中心的に使われます。
胃粘膜保護薬 胃や十二指腸の粘膜表面を保護し、修復を助けることで、胃酸や消化酵素によるダメージから胃を守ります。
消化管運動機能改善薬 胃の動きを整え、食べ物の消化・排出をスムーズにすることで、胃もたれや早期飽満感などの症状を和らげます。機能性ディスペプシアなどの治療に用いられることがあります。
抗不安薬 ストレスや自律神経の乱れが胃痛に大きく影響している場合、補助的に使用されることがあります。
抗菌薬(ピロリ菌除菌薬) ピロリ菌感染が確認された場合、胃酸分泌抑制薬と2種類の抗菌薬を組み合わせて1週間服用し、ピロリ菌の除菌を行います。

生活習慣の改善

薬物療法は症状を抑える上で重要ですが、生活習慣の改善は根本的な解決と再発予防のために欠かせません。ストレスや不規則な食生活、刺激物の過剰摂取は、胃酸の分泌を過剰にしたり、胃の防御機能を低下させたりして、胃痛の大きな原因となることが分かっています。特にストレスは、自律神経のバランスを乱し、胃の働きにダイレクトに影響を及ぼします。

新宿消化器内科クリニックの解説にもあるように、以下のような点を見直すことが推奨されています。

  • ストレスの軽減: 趣味の時間を持つ、適度な運動を取り入れる、十分な睡眠を確保するなど、自分に合ったリラックス方法を見つけることが大切です。
  • 食生活の見直し: 高脂肪食は消化に時間がかかり胃に負担をかけます。カフェインやアルコール、香辛料などの刺激物は胃酸分泌を促進し、胃粘膜を刺激するため、過剰摂取は控えましょう。
  • 食事方法の改善: 早食いを避け、ゆっくりよく噛んで食べる習慣をつけましょう。これにより消化吸収がスムーズになり、胃への負担が軽減されます。

医師や管理栄養士の指導のもと、これらの生活習慣を改善していくことが、胃痛のない快適な日々を送るための鍵となります。

吐血や黒い便など、すぐに病院へ行くべき症状

空腹時の胃痛の多くは、胃炎や潰瘍といった良性の病気によるもので、適切な治療で改善が期待できます。しかし、消化器内科医として特に強調したいのは、中には命に関わる重篤な病気のサインである危険な症状が隠れている場合がある、ということです。新宿消化器内科クリニックでも指摘されているように、特定の症状が見られる場合は、迷わずすぐに医療機関を受診してください。これらの症状は、消化性潰瘍からの大量出血や、胃がんなどの進行した状態を示す可能性があり、緊急性が極めて高いです。

緊急受診を要する危険なサイン

症状の種類 特徴と注意点
吐血(とけつ) 口から真っ赤な鮮血や、コーヒーのカスのような黒っぽい液体を吐く場合です。これは食道、胃、十二指腸など上部消化管からの出血を示しています。出血量が多いと命に関わるため、すぐに医療機関を受診してください。
黒い便(タール便) 真っ黒でベタベタした、まるでコールタールや墨汁のような便が出る場合です。上部消化管からの出血が消化液と混ざり、時間が経つことで黒く変色したものです。多量の出血を示すことが多く、貧血やショックにつながることもあります。
激しい腹痛 今までに経験したことのないような、突然の非常に強い痛みや、お腹全体が板のように硬くなる「板状硬(ばんじょうこう)」を伴う痛みがある場合です。これは急性腹症、例えば潰瘍穿孔(かいようせんこう:潰瘍が胃壁に穴を開けること)などの可能性があります。
意識の混濁や失神 激しい痛みや大量の消化管出血により、血圧が急激に低下し、意識がもうろうとしたり、気を失ったりすることがあります。意識障害がある場合は、ためらわず救急車を呼ぶことを検討してください。
発熱 胃痛とともに高熱が出る場合は、感染症や他の炎症性疾患を合併している可能性があります。
体重減少 特に食事量が変わらないのに、短期間で急激に体重が減少していく場合(例:1~2ヶ月で数kg減る)は、がんなどの重篤な病気が原因となっている可能性があります。
飲み込みにくさ 食べ物や飲み物が喉を通りにくい、つかえる感じが続く場合です。食道の病気や、がんなどによる狭窄(きょうさく:管が狭くなること)の可能性も考えられます。

これらの症状は、ご自身の判断で「様子を見よう」とせず、すぐに医療機関を受診することが大切です。早期に専門医の診断と治療を受けることが、重篤な病気から身を守るための重要な鍵となります。

受診すべき診療科と医療機関の選び方

空腹時胃痛が続く場合や、市販薬を飲んでも改善しない、あるいは前述したような緊急性の高い症状が見られる場合は、迷わず医療機関を受診することが極めて重要です。横浜わたなべ消化器内科・内視鏡クリニック鶴見院も指摘しているように、空腹時胃痛は胃炎や胃潰瘍といった消化器疾患が根本原因である可能性が高く、自己判断せずに専門医による診断が不可欠です。

受診すべき診療科

胃痛の症状がある場合に受診すべき専門科は、「消化器内科(しょうかきないか)」です。消化器内科では、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸といった消化管だけでなく、肝臓、胆のう、膵臓(すいぞう)といった消化器系の臓器全般の病気を専門的に診断し、治療を行います。胃カメラ検査をはじめとする消化器疾患の診断に必要な専門的な検査も受けられ、正確な診断へと導きます。

医療機関を選ぶ際のポイント

ポイント 詳細
消化器内科専門医がいるか 日本消化器病学会専門医や日本消化器内視鏡学会専門医といった資格を持つ医師が在籍しているかを確認しましょう。専門知識と豊富な経験を持つ医師による診断は、より正確で安心です。
胃カメラ検査設備が充実しているか 胃痛の原因特定に不可欠な胃カメラ検査に対応しているか、また、苦痛の少ない経鼻内視鏡や鎮静剤を使った検査が選択できるかを確認すると良いでしょう。検査後のリカバリースペースの有無も、患者さんの負担軽減につながります。
アクセスが良いか 通院のしやすさも治療継続の重要な要素です。自宅や職場から通いやすい、交通の便が良い場所にある医療機関を選びましょう。
ウェブサイトの情報 クリニックのウェブサイトで、診療方針や医師の紹介、検査内容、料金体系などが詳しく説明されているか確認しましょう。患者さんの疑問や不安に寄り添う情報提供がされているかもポイントです。
予約のしやすさ オンライン予約システムがあるか、急な症状の場合でもスムーズに受診できるよう、柔軟な対応をしてくれるかなども確認しておくと安心です。

空腹時胃痛は放置せずに、信頼できる医療機関で早めに診察を受けることが、早期発見・早期治療につながり、ご自身の心身の健康を守る上でとても重要です。ご自身の体のサインを見逃さず、適切に対処していきましょう。

空腹時胃痛を和らげる食事と生活習慣のポイント

空腹時に胃がキリキリと痛んだり、不快感があったりすると、日々の生活の質が著しく低下します。仕事や学業に集中できなかったり、食事がおっくうになったりすることもあるでしょう。このような空腹時胃痛は、多くの場合、日頃の食事や生活習慣を見直すことで症状が和らぐ可能性があります。消化器内科医として、私は皆さんに胃の健康を守り、快適な毎日を送るために実践できる具体的な方法を、詳しくお伝えしたいと思います。

 

胃に優しい食事の摂り方と避けるべき飲食物

空腹時の胃痛は、胃酸の過剰分泌や胃の粘膜が荒れていることで起こりやすくなります。一時的に食事を摂ることで痛みが和らぐことがありますが、これは単に食べ物が胃酸を薄めたり、粘膜を一時的に覆ったりする作用によるものです。根本的な解決にはつながりませんので注意が必要です(横浜わたなべ)。胃に負担をかけない食生活を心がけることが、症状の改善と再発予防の第一歩となります。

胃に優しい食事のポイント

胃に負担をかけないためには、食材の選択だけでなく、食べ方にも工夫が必要です。

  • ゆっくりとよく噛んで食べる

    • 早食いは胃に大きな負担をかけ、胃酸の分泌を過剰に促す原因になります。
    • 一口あたり30回程度を目安に、時間をかけてゆっくりと食べることで、消化吸収がスムーズになります。
    • これは胃の負担を軽減し、胃酸が胃の粘膜を直接攻撃する時間を減らすことにも繋がります(新宿)。
  • 少量ずつ回数を分けて食べる

    • 一度にたくさん食べると、胃は消化のためにフル稼働しなければならず、大きな負担がかかります。
    • 1日3食を基本としつつ、軽めの間食を挟むなど、食事の回数を増やして1回あたりの量を減らすことも有効です。
    • 特に空腹時間が長すぎると胃酸が胃粘膜を刺激しやすくなるため、適切な間隔で食事を摂ることを心がけましょう。
  • 消化の良い食材を選ぶ

    • 脂肪分の多い肉類や揚げ物、繊維質の多い野菜などは消化に時間がかかります。
    • これらは胃の滞留時間を長くし、胃酸の分泌を促してしまうことがあります。
    • おかゆ、うどん、白身魚、鶏むね肉(皮なし)、豆腐、卵、よく煮込んだ野菜など、消化の良い食材を選びましょう。
  • 温かいものを摂る

    • 冷たい飲食物は胃腸を冷やし、その働きを低下させることがあります。
    • 温かいスープやお茶などで体を温め、胃腸の機能をサポートするようにしましょう。

避けるべき飲食物とその影響

胃痛があるときに、特に控えるべき飲食物があります。胃への影響を理解し、摂取量を減らす工夫をすることが大切です。

種類 具体例 胃への影響
刺激物 香辛料(唐辛子、コショウ、ワサビなど)、カレー、酸っぱいもの(柑橘系の果物、酢など) 胃の粘膜を直接刺激し、胃酸分泌を促進することで、胃痛や胸やけを悪化させます。
高脂肪食 揚げ物、バター、生クリーム、脂身の多い肉(バラ肉など) 消化に時間がかかり、胃酸の分泌を増やします。逆流性食道炎の症状を悪化させる可能性もあります(新宿)。
アルコール ビール、日本酒、ワイン、焼酎、ウイスキーなど 胃粘膜を直接刺激し、炎症を引き起こす可能性があります。胃酸分泌も促進するため、急性胃炎の原因になることもあります(新宿)。特に空腹時の飲酒は胃への負担が大きいため注意が必要です。
カフェイン コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク、チョコレート 胃酸分泌を促進する作用があります。大量に摂取したり、空腹時に摂ったりすると、胃の粘膜が刺激されやすくなり、胃痛の原因となることがあります(新宿)。
その他 炭酸飲料、生クリームを使ったケーキなど 胃を刺激したり、胃酸の逆流を引き起こしたりすることがあります。

これらの飲食物を完全に断つのが難しい場合でも、まずは量を減らしたり、摂取する時間帯を工夫したりすることから始めてみましょう。特に胃痛がある期間は、できるだけ避けることを強くお勧めします。

ストレスを軽減する効果的なリラックス法

空腹時胃痛の大きな原因の一つとして、ストレスによる自律神経の乱れが挙げられます。私たちの体には、胃の働きや胃酸の分泌をコントロールする自律神経が張り巡らされています。ストレスが蓄積するとこのバランスが崩れ、胃酸が過剰に分泌されたり、胃の動きが悪くなったりして、胃の不調を引き起こしやすくなるのです(新宿)。ストレスを上手に管理し、心身をリラックスさせることは、胃痛の改善に非常に効果的です。

ストレスが胃に与える具体的な影響

  • 胃酸の過剰分泌

    • ストレスを感じると、自律神経のうち「交感神経」が優位になります。
    • この交感神経が優位な状態は、胃酸の分泌を促進し、胃の粘膜が胃酸によって傷つきやすくなります。
  • 胃の運動機能の低下

    • ストレスは胃の「ぜん動運動」(食べ物を消化管内で送り出す動き)を妨げることがあります。
    • 胃の動きが悪くなると、消化不良や胃もたれにつながり、胃の不快感を引き起こします。
  • 胃の血流悪化と防御機能の低下

    • ストレスにより血管が収縮すると、胃の血流が悪くなります。
    • 血流が悪くなると、胃粘膜の防御機能が低下し、胃酸や消化酵素によるダメージを受けやすくなります。

心身をリラックスさせる具体的な方法

日々の生活に自分に合ったリラックス法を取り入れることで、ストレスによる胃への負担を軽減できます。

  • 深呼吸を習慣にする

    • 意識的にゆっくりと深く呼吸することで、「副交感神経」が優位になり、心身が落ち着きます。
    • 特に、息を吐くことに時間をかけると、よりリラックス効果が高まります。
  • 適度な運動を取り入れる

    • ウォーキングや軽いストレッチ、ヨガなど、無理のない範囲で体を動かすことは、ストレスホルモンの分泌を抑える効果があります。
    • 気分転換にもなり、自律神経のバランスを整えることにも役立ちます。
  • 趣味や楽しみの時間を大切にする

    • 好きなことに没頭する時間は、ストレスから解放され、心をリフレッシュさせます。
    • 音楽を聴く、読書をする、映画を観る、友人とおしゃべりするなど、何でも構いません。
  • 十分な休息と質の良い睡眠を確保する

    • 疲労が蓄積すると、ストレスを感じやすくなります。
    • 毎日7~8時間程度の質の良い睡眠を確保し、日中も適度な休憩を取るようにしましょう。
    • 寝る前のスマホ操作は控え、寝室の環境を整えることも重要です。
  • アロマテラピーや入浴で心身を癒す

    • ラベンダーやカモミールなどの香りの良いアロマを使ったり、ぬるめのお湯にゆっくり浸かったりすることも、リラックス効果を高めます。
    • 38~40℃程度のぬるめのお湯に15分ほど浸かるのがおすすめです。

ストレスマネジメントは、胃の健康を保つための大切なステップです。ぜひ、今日から実践できる方法を見つけてみてください。

胃に負担をかけない姿勢と適度な運動習慣

「姿勢が胃痛に関係するの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、特に食後の姿勢や、日頃の体の使い方は胃に負担をかけ、胃痛を悪化させる原因となることがあります(横浜わたなべ)。また、適度な運動は、胃腸の働きをサポートし、ストレス軽減にもつながります。

胃に負担をかける姿勢と避けるべき理由

私たちの生活の中には、知らず知らずのうちに胃に負担をかけてしまう姿勢があります。

姿勢 胃への影響
腹部を圧迫する姿勢
(きつい服、ベルトの締めすぎ)
胃や腸が物理的に圧迫され、血流が悪くなったり、胃酸の逆流が起こりやすくなったりします。
前かがみの姿勢
(デスクワーク、スマホ操作)
胃が圧迫され、胃酸が食道へ逆流しやすくなります。特に食後にこの姿勢を取ると、胸やけの症状を悪化させる可能性が高まります。
食後すぐに横たわる 重力の助けがなくなり、胃酸が食道へ逆流しやすくなります。逆流性食道炎のリスクを高めるため、就寝前は特に注意が必要です(横浜わたなべ)。
長時間同じ姿勢 血行が悪くなり、胃腸の働きが低下することがあります。胃の動きが滞り、消化不良や不快感につながることも。
猫背など背中が丸まる姿勢 内臓が正しい位置に収まりにくく、胃が圧迫されたり、機能が低下したりすることで、胃への負担が増えることがあります。

胃に優しい姿勢と生活習慣の改善

胃に負担をかけない姿勢を意識し、適度な運動を取り入れることで、胃の健康を守りましょう。

  • 正しい姿勢を意識する

    • 猫背にならないよう、背筋を伸ばして座る、立つことを日頃から心がけましょう。
    • 特にデスクワークの方は、定期的に姿勢をチェックし、軽いストレッチを取り入れると良いでしょう。
    • パソコンのモニターの位置を高くする、椅子の高さを調整するなどの工夫も有効です。
  • 食後はすぐに横にならない

    • 食後2~3時間は、胃酸の逆流を防ぐために横になるのを避け、体を起こしておくことが推奨されます。
    • どうしても横になりたい場合は、上半身を少し高くして寝るなど工夫しましょう。
  • 適度な運動を取り入れる

    • ウォーキングや軽いジョギング、ヨガなど、胃に負担をかけない有酸素運動は、胃腸の働きを活発にし、便通を改善する効果も期待できます。
    • 運動はストレス解消にもつながり、自律神経のバランスを整えることにも役立ちます。
    • 無理のない範囲で、毎日少しずつでも体を動かす習慣をつけましょう。

睡眠不足と喫煙・飲酒・カフェインの影響

睡眠不足、喫煙、過度な飲酒、カフェインの過剰摂取は、胃の健康にとって大きなリスク要因となります。これらは胃酸の分泌を乱したり、胃の粘膜を直接傷つけたりすることで、空腹時胃痛を引き起こしたり悪化させたりすることが知られています。

睡眠不足が胃に与える影響

睡眠は、心身の回復に不可欠です。睡眠不足が続くと、自律神経のバランスが崩れ、ストレスを感じやすくなります。
これにより、胃の働きが低下したり、胃酸の分泌が過剰になったりして、胃の粘膜が弱くなることが考えられます。
質の良い睡眠を十分に取ることは、単に体を休めるだけでなく、胃の健康維持にも不可欠なのです。

喫煙・飲酒・カフェインが胃に与える具体的な影響

要因 胃への影響
喫煙 タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、胃の血流を悪くします。これにより、胃粘膜の防御機能が低下し、潰瘍や炎症のリスクが高まります。また、胃酸の分泌を促進する作用も報告されており、胃痛を悪化させる原因となります。
飲酒 アルコールは胃粘膜を直接刺激し、炎症を引き起こす可能性があります。特に急性胃炎の原因となることが多く、胃酸の分泌も促進します(新宿)。空腹時の飲酒は胃粘膜へのダメージが大きく、特に胃痛がある場合は避けるべきです。
カフェイン コーヒー、紅茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、胃酸の分泌を促進する作用があります(新宿)。大量に摂取したり、空腹時に摂ったりすると、胃の粘膜が胃酸によって刺激されやすくなり、胃痛の原因となることがあります。

これらの習慣は、それぞれ単独でも胃に負担をかけますが、複数が組み合わさることでさらに悪影響が大きくなります。胃の健康を考えるなら、できる限り喫煙は控え、飲酒やカフェインの摂取は適量に留めることが重要です。特に胃痛が続く場合は、これらの習慣を見直すことを強くお勧めします。

胃の健康を長期的に保つ予防策

空腹時胃痛を一時的に和らげるだけでなく、長期的に胃の健康を維持し、再発を防ぐためには、日々の予防策を継続することが大切です。生活習慣全体を見直し、胃に優しい環境を整えることで、胃痛の不安から解放され、より充実した日々を送ることができます。

継続的な生活習慣の見直し

胃の健康は、日々の生活習慣の積み重ねによって保たれています。次の点に注意し、継続的に実践しましょう。

  • 規則正しい食生活

    • 毎日決まった時間に食事を摂り、胃に過度な負担をかけない量を心がけましょう(新宿)。
    • 夜遅い時間の食事は避け、就寝の2~3時間前には食事を終えるようにしましょう。
  • ストレスマネジメント

    • 先述したリラックス法を積極的に取り入れ、ストレスを溜め込まない工夫を継続しましょう(新宿)。
    • ストレスは自律神経を乱し、胃の働きに直接影響します。
  • 十分な睡眠の確保

    • 毎日7~8時間程度の質の良い睡眠を取ることで、自律神経のバランスを整え、胃の機能をサポートします。
    • 寝る前のスマートフォンやパソコンの使用は避け、リラックスできる環境を整えましょう。
  • 適度な運動

    • 週に数回のウォーキングや軽い運動を習慣にすることで、胃腸の働きを活発にし、全身の健康を促進します。
    • 激しい運動は胃に負担をかけることもあるため、無理のない範囲で行いましょう。
  • 喫煙・飲酒・カフェインの節制

    • 胃への負担を減らすため、これらの摂取量を意識的に減らしましょう。
    • 可能であれば禁煙を検討し、アルコールやカフェインは量を控えめにすることが重要です。

定期的な健康チェックの重要性

空腹時胃痛の背景には、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍といった良性の消化器疾患だけでなく、まれに胃がんや十二指腸がんなどの重篤な病気が隠れていることがあります。これらの疾患は、放置すると重篤な状態につながるものもあるため、症状が改善しない場合や繰り返す場合は、自己判断せずに消化器内科を受診し、専門医による正確な診断と適切な治療を受けることが不可欠です(横浜わたなべ、新宿)。

特に、以下のような場合には、定期的な健康診断や胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)を受けることを強くお勧めします。

  • 症状が長期間続いている

    • 市販薬を飲んでも改善しない胃痛が2週間以上続く場合は、専門医の診察が必要です。
  • 胃痛の頻度が増してきた

    • 症状が徐々に悪化していると感じる場合は、放置せずに受診しましょう。
  • 40歳以上の方で、過去に胃の検査を受けたことがない

    • 胃がんの発生リスクは40歳頃から上昇すると言われています。定期的なチェックが早期発見に繋がります。
  • ご家族に胃がんなどの既往がある

    • 血縁者に胃がんの経験がある場合、ご自身もリスクが高まる可能性があります。
  • 緊急性の高い症状がある場合

    • 吐血(口から血を吐くこと)やタール便(墨汁のような黒い便)が見られる場合は、迷わずすぐに医療機関を受診してください。これは消化管からの出血を示唆する危険なサインです。

早期発見、早期治療は、胃の健康を長期的に保つ上で最も重要な予防策の一つです。ご自身の胃と向き合い、積極的にケアしていくことで、胃痛の不安から解放され、より充実した日々を送れるようになるでしょう。

空腹時胃痛Q&A

空腹時に胃の痛みを感じることは、多くの方が一度は経験する症状かもしれません。しかし、この胃痛は単なる「お腹が空いた」というサインではなく、体からの大切なメッセージである可能性があります。消化器内科専門医として、患者さんからよくいただく質問にお答えしながら、空腹時胃痛の原因や対処法、そしてどんな時に医療機関を受診すべきかについて、詳しく解説していきます。

Q1: 空腹時に胃が痛くなるのはなぜですか?

空腹時に胃が痛む主な理由は、胃の中が食べ物で満たされていない状態で、胃酸が過剰に分泌されることにあります。胃は食べ物を消化するために「胃酸」という強い酸を分泌していますが、同時に胃の粘膜は胃酸から自身を守る「防御機能」も持ち合わせています。このバランスが崩れると、胃酸が直接胃の粘粘膜を刺激し、痛みを引き起こします。

空腹時胃痛の主なメカニズム

  • 胃酸の過剰な刺激:
    • 空腹時は胃に食べ物がないため、分泌された胃酸が胃の粘膜に直接触れやすくなります。
    • 胃酸の量が多すぎたり、粘膜の防御機能が弱まったりすると、胃酸が粘膜を傷つけ、キリキリとした痛みとして感じられます。
    • 横浜わたなべ消化器内科・内視鏡クリニック鶴見院の解説にもあるように、胃酸の過剰分泌は胃痛の大きな要因です。
  • 自律神経の乱れ:
    • ストレスや疲労、不規則な生活習慣は、胃の働きをコントロールする自律神経のバランスを乱します。
    • 自律神経の乱れは、胃酸の分泌を過剰にしたり、胃の動きを異常に活発にしたり、あるいは胃の血流を悪くしたりすることが知られています(新宿消化器内科クリニック)。
    • これにより、胃の粘膜が弱くなり、痛みを感じやすくなります。
  • 消化器疾患の可能性:
    • 単なる胃酸過多だけでなく、胃炎、胃潰瘍(いかいよう)、十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)、逆流性食道炎といった消化器疾患が隠れている可能性もあります。
    • これらの病気では、すでに胃や十二指腸の粘膜に炎症や傷があるため、胃酸の刺激をより強く感じ、痛みが現れやすくなります。
    • まれに、胃がんや十二指腸がんなどの重篤な病気が原因となっていることもあります(新宿消化器内科クリニック)。

もし、空腹時の胃痛が頻繁に起こる、痛みが強い、あるいは食事をしても和らがない場合は、自己判断せずに消化器内科を受診し、専門医による正確な診断を受けることが重要です。

Q2: 胃痛の種類(キリキリ、ズキズキなど)によって病気は違うのですか?

胃痛の感じ方は人それぞれですが、痛みの種類や現れ方によって、ある程度の原因を推測するヒントにはなります。しかし、自己判断は危険ですので、あくまで目安として捉え、最終的な診断は専門医に委ねることが大切です。

胃痛のタイプと疑われる病気

痛みの種類 特徴と時間帯 疑われる病気
キリキリ、シクシク 鋭い痛みや締め付けられるような痛み。食後や空腹時に現れやすい。 急性胃炎、慢性胃炎、胃潰瘍(初期)
ズキズキ、鈍痛 重苦しい、うずくような痛み。持続することが多い。 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、機能性ディスペプシア
焼けるような痛み 胸のあたりからみぞおちにかけて焼けるような不快感。特に食後や横になった時。 逆流性食道炎(げっぷや酸っぱいものがこみ上げる呑酸を伴うことも多いです)。
重い、もたれる 食べ物が胃に残っているような不快感。食後に起こりやすい。 機能性ディスペプシア、慢性胃炎

例えば、急性胃炎では胃の粘膜が炎症を起こしているため、キリキリとした鋭い痛みを感じることが多い傾向にあります。一方、十二指腸潰瘍では、空腹時や夜間にズキズキとした痛みが強く現れる特徴があります。これは、胃の中に食べ物がない状態で胃酸が十二指腸に流れ込み、潰瘍部分を刺激するためです。逆流性食道炎では、胃痛だけでなく、胸やけ、酸っぱいげっぷ(呑酸)、喉のヒリヒリ感を伴うことが多く、症状の全体像で判断します(新宿消化器内科クリニック)。

痛みの種類だけで診断を下すことはできませんが、「いつ、どんな時に、どんな痛みがあるか」を詳しく医師に伝えることで、診断の手がかりとなります。

Q3: どのような場合に病院を受診すべきですか?

空腹時胃痛はよくある症状ですが、放置すると重篤な病気の発見が遅れることがあります。特に以下の症状が見られる場合は、迷わずすぐに消化器内科を受診してください。これらのサインは、消化管からの出血や、がんなどの進行した状態を示している可能性があり、緊急性が極めて高いです。

緊急受診を要する危険なサイン

症状の種類 特徴と緊急性
吐血(とけつ) 口から真っ赤な鮮血や、コーヒーのカスのような黒っぽい液体を吐く場合です。これは食道、胃、十二指腸など上部消化管からの出血を示しており、出血量が多いと命に関わります。
黒い便(タール便) 真っ黒でベタベタした、まるでコールタールや墨汁のような便が出る場合です。上部消化管からの出血が消化液と混ざり、時間が経つことで黒く変色したものです。多量の出血を示すことが多く、貧血やショックにつながることもあります(新宿消化器内科クリニック)。
激しい腹痛 今までに経験したことのないような、突然の非常に強い痛みや、お腹全体が板のように硬くなる「板状硬(ばんじょうこう)」を伴う痛みがある場合です。これは潰瘍穿孔(かいようせんこう:潰瘍が胃壁に穴を開けること)などの可能性があり、緊急手術が必要となることもあります。
意識の混濁や失神 激しい痛みや大量の消化管出血により、血圧が急激に低下し、意識がもうろうとしたり、気を失ったりすることがあります。
原因不明の体重減少 特に食事量が変わらないのに、短期間で数kgなど急激な体重減少が見られる場合は、がんなどの重篤な病気が原因となっている可能性があります。
飲み込みにくさ 食べ物や飲み物が喉を通りにくい、つかえる感じが続く場合です。食道の病気や、がんなどによる狭窄(きょうさく:管が狭くなること)の可能性も考えられます。
持続する吐き気や嘔吐 吐き気や嘔吐が長く続く場合も、消化器系の病気を疑う必要があります。
胃痛の悪化・持続 市販薬を飲んでも改善しない胃痛が2週間以上続く、または痛みが徐々に強くなる、頻度が増す場合も、放置せずに受診しましょう。

これらの症状は、ご自身の判断で「様子を見よう」とせず、すぐに医療機関を受診することが大切です。早期に専門医の診断と治療を受けることが、重篤な病気から身を守るための重要な鍵となります(横浜わたなべ消化器内科・内視鏡クリニック鶴見院)。

Q4: 食事を摂ると胃痛が和らぐのはなぜですか?

空腹時に感じる胃痛は、胃酸が胃の粘膜を直接刺激することが大きな原因の一つです。そのため、食事を摂ると一時的に痛みが和らぐことがあります。この現象には、いくつかのメカニズムが関係しています。

食事が胃痛を和らげるメカニズム

  • 胃酸の希釈(きしゃく):
    • 食べ物が胃の中に入ると、胃酸が食べ物によって薄められます。
    • 胃酸の濃度が下がると、胃粘膜への刺激が弱まり、痛みが軽減されることがあります。
  • 胃粘膜の一時的な保護:
    • 食べ物が胃の粘膜を物理的に覆うことで、胃酸が直接粘膜に触れるのを一時的に防ぎます。
    • これにより、痛みが和らいだと感じることがあります。

しかし、横浜わたなべ消化器内科・内視鏡クリニック鶴見院が指摘するように、これはあくまで一時的な対処法であり、胃痛の根本的な原因が解決されたわけではありません。食事で痛みが和らいだからといって、胃炎や胃潰瘍などの病気が治ったわけではないのです。もし、食後に一時的に痛みが引いても、また空腹時に痛みが現れるようであれば、胃に何らかの異常があるサインかもしれません。自己判断で放置せず、専門医の診察を受けることが重要です。

Q5: 胃痛を悪化させないために、日常生活で注意すべきことはありますか?

空腹時胃痛の症状を和らげ、再発を防ぐためには、日々の生活習慣を見直すことが非常に重要です。特に、食生活、ストレス管理、姿勢、そして嗜好品(しこうひん)の習慣が胃の健康に大きく影響します。消化器内科医として、具体的な注意点と対策を以下にまとめました。

胃痛を悪化させないための生活習慣のポイント

ポイント 具体的な内容
食生活の見直し – 高脂肪食を控える: 揚げ物やバター、脂身の多い肉は消化に時間がかかり、胃に負担をかけます。また、逆流性食道炎を悪化させる可能性もあります(新宿消化器内科クリニック)。
– 刺激物を避ける: カフェイン、アルコール、香辛料の多い食べ物は胃酸分泌を促進し、胃粘膜を刺激します(新宿消化器内科クリニック)。
– ゆっくりよく噛んで食べる: 早食いは胃に負担をかけます。一口30回程度を目安に、時間をかけて食べる習慣をつけましょう。
– 規則正しい食事: 毎日決まった時間に食事を摂り、夜遅い食事は避けましょう。就寝の2~3時間前には食事を終えるのが理想です。
ストレス管理 – リラックスする時間を設ける: ストレスは自律神経のバランスを乱し、胃酸の過剰分泌につながります(新宿消化器内科クリニック)。趣味や運動、瞑想など、自分に合ったリラックス方法を見つけましょう。
– 十分な睡眠: 疲労が蓄積するとストレスを感じやすくなります。毎日7~8時間程度の質の良い睡眠を確保しましょう。
姿勢への意識 – 腹部を圧迫しない: きつい服装やベルトの締めすぎは胃を圧迫し、胃酸の逆流を引き起こしやすくなります(横浜わたなべ消化器内科・内視鏡クリニック鶴見院)。
– 前かがみや猫背を避ける: デスクワークなどで前かがみの姿勢が続くと、胃が圧迫され、胃酸の逆流を招くことがあります。
– 食後すぐに横にならない: 食後2~3時間は、重力の影響で胃酸が食道へ逆流しやすいため、体を起こしておくことが推奨されます(横浜わたなべ消化器内科・内視鏡クリニック鶴見院)。
嗜好品の節制 – 禁煙: タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、胃の血流を悪くし、胃粘膜の防御機能を低下させます。また、胃酸分泌を促進するため、胃痛を悪化させる大きな原因となります。
– 飲酒を控える: アルコールは胃粘膜を直接刺激し、炎症を引き起こす可能性があります。特に空腹時の飲酒は胃へのダメージが大きいため、避けましょう。
– カフェインの摂取量を見直す: コーヒーや紅茶などのカフェインは胃酸分泌を促進するため、過剰摂取は控えめにしましょう(新宿消化器内科クリニック)。
市販薬と受診 – 自己判断での長期使用を避ける: 市販薬は一時的な症状緩和には役立ちますが、根本的な治療にはなりません。特に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:エヌセイズ)などの痛み止めは、胃に負担をかけることがあるため注意が必要です。薬剤師に相談の上、短期間の使用に留めましょう。
– 症状が続く場合は受診: 市販薬を服用しても症状が改善しない、または2週間以上症状が続く場合は、必ず医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けてください。

これらの生活習慣を見直すことで、胃への負担を減らし、症状の改善や予防につながります。ご自身の胃と向き合い、積極的にケアしていくことで、胃痛の不安から解放され、より充実した日々を送れるようになるでしょう。

まとめ

「空腹時に胃がキリキリ痛む」といった経験は誰にでもあるかもしれませんが、これは単なる空腹のサインではなく、体が発している大切なメッセージかもしれません。胃酸過多から胃炎、胃潰瘍、逆流性食道炎、そしてまれに胃がんといった重篤な病気が隠れている可能性もあります。

一時的な不調と自己判断せず、ご自身の生活習慣を見直すことが大切です。特に、刺激物の摂取を控え、ストレス軽減や質の良い睡眠を心がけましょう。もし吐血や黒い便、激しい痛みなど緊急性の高い症状がある場合や、市販薬を飲んでも症状が続く場合は、迷わず消化器内科を受診してくださいね。早期発見・早期治療が、快適な毎日を取り戻すための第一歩です。

参考文献

  • 空腹時の胃痛、腹痛、みぞおちの痛み|新宿消化器内科クリニック
  • 空腹時に胃がキリキリする方へ|横浜わたなべ消化器内科・内視鏡クリニック 鶴見院
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  • 院長内視鏡検査
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