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胃カメラが怖い人へ|鎮静剤を使った内視鏡検査・効果・注意点を医師が解説

[2025.02.10]

はじめに:胃カメラは苦しい?それを変える“鎮静剤”という選択

「胃カメラは苦しいから受けたくない」──このように思われる方は少なくありません。のどを通る違和感、吐き気、検査中の緊張感。過去に不快な経験があれば、なおさら二度と受けたくないという気持ちになるでしょう。

しかし近年では、鎮静剤(静脈麻酔)を使った胃カメラ検査が広まり、「眠っている間に検査が終わった」「全く記憶がないまま楽に受けられた」という感想をもつ方が増えてきました。鎮静剤は、単に「痛みをやわらげる」のではなく、検査中の苦痛や不安を取り除くために非常に有効な方法です。

この記事では、鎮静剤を使った胃カメラ検査の仕組みからメリット・デメリット、注意点、よくある質問まで、医学的な視点で丁寧に解説していきます。

 

胃カメラとはどんな検査?苦痛の原因とその実態

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は、口または鼻から細い内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸までを直接観察する検査です。粘膜の炎症や潰瘍、ポリープ、腫瘍などを早期に発見できるため、胃がん検診や慢性胃炎の診断、ピロリ菌感染の確認などに用いられています。

しかし、検査そのものはどうしても「のどを通る瞬間の異物感」「嘔吐反射(オエッとなる感覚)」「意識がある中での緊張感」が付きまとうため、苦痛を感じる方が多くなります。これが、胃カメラに対する“心理的なハードル”を上げている大きな要因のひとつです。

 

鎮静剤とは何か?どうやって使うのか?

鎮静剤とは、検査中の意識や不安をやわらげる薬剤のことです。主に静脈から注射で投与され、眠っているような状態のまま検査を受けることができます。使われる薬剤には、ミダゾラムやプロポフォールなどがあり、患者の体格や全身状態に応じて医師が適切な量を調整します。

鎮静剤を使うと、完全に意識を失うわけではなく、「うとうとしているうちに検査が終わっていた」「内容を覚えていない」というような“記憶の薄い状態”になります。これにより、胃カメラに対する不安や苦痛を最小限に抑えることができるのです。

 

鎮静剤を使った胃カメラの流れ

検査の当日は、通常の胃カメラと同様に絶食が必要です。病院に到着したら問診や血圧測定を行い、必要があれば点滴ルートを確保します。

その後、静脈から鎮静剤を投与し、5〜10分ほどで眠気が出てきます。医師が患者の反応を見ながら内視鏡を挿入し、検査を進めていきます。多くの方は検査中の記憶がほとんどなく、気づいたときにはすでに回復室で休んでいるというケースが一般的です。

検査後はしばらくベッドで安静に過ごし、鎮静剤の効果が十分に抜けてから帰宅となります。

 

鎮静剤を使うメリットとは?

苦痛や不安を大幅に軽減できる

もっとも大きなメリットは、検査中のつらさをほとんど感じないことです。のどの違和感、嘔吐反射、緊張感などが和らぎ、「胃カメラが怖くなくなった」と感じる人が多くなります。

精度の高い検査が可能に

患者がリラックスした状態で検査を受けることで、医師が内視鏡をスムーズに操作でき、より精密な観察が可能になるという利点もあります。必要に応じた組織採取(生検)も、負担なく実施できます。

 

鎮静剤を使うデメリットと注意点

検査後すぐには帰れない

鎮静剤を使用した場合、検査後はしばらく休憩が必要になります。完全に意識が戻るまでには30分〜1時間ほどかかることが多く、院内で安静に過ごすことが求められます。

当日の車の運転は不可

鎮静剤は意識や判断力に影響を及ぼすため、検査当日は自動車・バイク・自転車の運転は禁止されます。送迎を依頼するか、公共交通機関を利用する必要があります。

呼吸抑制などの副作用リスク

ごくまれにですが、鎮静剤によって呼吸が浅くなったり、血圧が下がったりする副作用が出ることがあります。そのため、検査中はモニターで呼吸・心拍・血圧を常に監視し、安全を確保しています。基礎疾患(心臓病、肺疾患など)のある方は、事前に医師に相談が必要です。

 

鎮静剤を使うべき人、使わない方がよい人

胃カメラに対して強い不安がある方、以前の検査でつらい思いをした方、嘔吐反射が強い方は、鎮静剤の使用を検討する価値があります。特に検査が初めてで不安が大きい方には適しています。

一方、高齢者や持病のある方、呼吸器疾患のある方は、鎮静剤の使用に注意が必要な場合があります。過去に麻酔で体調を崩した経験がある方も、必ず事前に医師と相談しておきましょう。

 

経鼻内視鏡との違いと併用について

胃カメラには、鼻から挿入する「経鼻内視鏡」という選択肢もあります。経鼻内視鏡は内視鏡の管が細いため、口から入れるよりも嘔吐反射が少なく、比較的楽に受けられることが特徴です。

しかし、それでも不安が強い方や、内視鏡自体に恐怖感がある方にとっては、経鼻内視鏡+鎮静剤という組み合わせがより快適に検査を受けられる方法となります。

 

費用や保険適用について

鎮静剤の使用は、医療機関によって費用設定が異なります。検査自体は保険適用ですが、鎮静にかかる薬剤費や管理費が別途自己負担になることがあります。事前に医療機関へ問い合わせておくと安心です。

 

鎮静剤使用後の過ごし方と回復のポイント

検査後は、鎮静剤の影響が完全に抜けるまでに数時間かかります。そのため、当日の仕事や激しい運動は避け、できるだけ安静に過ごすことがすすめられます。また、薬の影響でふらつきや眠気が残ることがあるため、1人での外出は控えましょう。

飲食は、喉の麻酔が切れてから(水を一口飲んでむせなければOK)開始できます。胃にやさしいものから始めて、刺激物は避けるのが無難です。

 

まとめ:胃カメラは「鎮静剤」で、やさしい検査になる

胃カメラ検査は、がんや胃炎の早期発見に欠かせない非常に重要な検査です。しかし、不快感や恐怖心から避け続けてしまっては、早期発見の機会を逃してしまうこともあります。

そんな不安を抱える方にとって、**鎮静剤を使った胃カメラ検査は「やさしい選択肢」**です。眠ったような状態でストレスなく検査を受けられることで、多くの方が「もっと早く受ければよかった」と感じています。

無理せず、苦しくなく、そして安心して受けられる胃カメラを選ぶこと。それが、未来の健康を守る第一歩になるのです。

 

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