萎縮性胃炎とは
萎縮性胃炎は、胃の粘膜が長期間の炎症により薄くなり、胃の機能が低下した状態を指します。慢性胃炎が進行して起こることが多く、特にピロリ菌感染が原因の萎縮性胃炎は日本人に多く見られます。萎縮が進むと胃酸の分泌が減少し、消化不良や栄養吸収障害を引き起こすことがあります。また、胃がんのリスクも高まるため注意が必要です。
萎縮性胃炎の症状
萎縮性胃炎の症状は軽度であることが多く、自覚症状に乏しい場合もありますが、次のような症状が現れることがあります。
- 食後の胃の不快感やもたれ
- 軽い腹痛や鈍痛
- 食欲不振
- 胃の膨満感
- 体重減少(進行例)
症状が現れた場合は、胃の機能低下が進んでいる可能性があるため、早めの診断が重要です。
萎縮性胃炎の原因
萎縮性胃炎の主な原因は、長期にわたるピロリ菌感染による胃粘膜の慢性的な炎症です。この持続的な炎症が胃の粘膜を徐々に破壊し、萎縮を引き起こします。また、自己免疫性胃炎も原因の一つで、これは自己免疫反応により自分の胃粘膜が攻撃されることで起こりますが、比較的まれなケースです。さらに、長期間のNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)使用や慢性的な胃酸の過剰分泌も萎縮性胃炎を促進する要因となります。加えて、喫煙や過度の飲酒などの生活習慣も胃粘膜のダメージを悪化させることが知られており、特にピロリ菌感染による慢性胃炎が萎縮性胃炎に進展するケースが多いことが特徴です。
萎縮性胃炎の診断
胃カメラ検査で診断する事が可能です。
胃カメラで萎縮性胃炎がみられた場合には、その場で組織を摘まんでピロリ菌のチェックを行い、陽性であればピロリ菌除菌治療に結びつける事ができます。
上部消化管造影検査(バリウム検査)でも萎縮性胃炎と判定する事ができますが、軽度の萎縮の場合では判定は困難であり、胃カメラ検査が第1選択となります。
萎縮性胃炎の治療法
萎縮性胃炎は胃の粘膜が薄くなっているため、完全な回復は難しい場合がありますが、進行を防ぎ症状を和らげることが治療の目的です。
- ピロリ菌感染があれば除菌治療を行い、炎症の進行を抑えます。
- 胃酸分泌抑制薬(PPI、H2ブロッカー)や粘膜保護薬で胃の負担を軽減します。
- 食生活の改善(刺激物の制限、規則正しい食事など)や禁煙、適度な休息を心がけます。
定期的な胃カメラ検査による経過観察で、胃がんの早期発見を目指します。
当院の検査・対応について
当院では、胃カメラ検査で胃粘膜の萎縮の程度を詳細に観察し、ピロリ菌の有無も併せて検査しています。診断に基づき適切な治療を行い、症状の改善と合併症予防に努めています。
胃の不調を感じた際や健康診断で萎縮性胃炎の疑いを指摘された場合は、早めにご相談ください。