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食道裂孔ヘルニア
食道裂孔ヘルニアとは
食道裂孔ヘルニアとは、本来は横隔膜の下にある胃の一部が、横隔膜の「裂孔」と呼ばれる隙間を通って胸腔側に飛び出してしまう状態を指します。加齢や腹圧の上昇などにより、横隔膜の締まりが緩くなることで発生します。
この状態になると、胃酸が逆流しやすくなり、逆流性食道炎の発症や悪化の一因となることがあります。特に中高年以降の方や、肥満傾向のある方に多くみられる疾患です。
食道裂孔ヘルニアの症状
軽度の食道裂孔ヘルニアでは症状がないこともありますが、次のような症状が現れることがあります。
- 胸やけ
- 呑酸(酸っぱい液体が込み上げる)
- 胸のつかえ感
- 食後の胃の不快感
- 背中や胸の痛み
- 慢性的な咳や声のかすれ
特に、前かがみや横になったときに症状が強くなる傾向があります。これらは逆流性食道炎と重なって現れることも多く、注意が必要です。
食道裂孔ヘルニアの原因
食道裂孔ヘルニアの主な原因は、横隔膜の食道が通る裂孔部分が加齢や筋力の低下によって広がり、胃の一部が胸腔内に押し上げられることにあります。特に60歳以上の方に多く見られますが、慢性的な咳や便秘、重いものを持つ習慣などによって腹部の圧力が高まることもリスクとなります。さらに、肥満や妊娠、姿勢の悪さも発症に影響を与える要因です。また、生まれつき裂孔が広い体質の方も食道裂孔ヘルニアを起こしやすい傾向があります。これらの要素が重なることで、食道裂孔ヘルニアが発症しやすくなり、症状が進行することがあります。
食道裂孔ヘルニアの診断
食道裂孔ヘルニアの診断は胃カメラ検査で容易に行う事ができます。
食道裂孔ヘルニアがある患者様の場合、逆流性食道炎やバレット食道を併発している事も多いため、胃カメラ検査ではそれらの所見の合併がないか詳しく検査し、治療に結びつけていく事が可能です。
食道裂孔ヘルニアの治療法
治療は、症状の程度や胃酸の逆流の有無によって異なります。無症状であれば、定期的な経過観察のみで済むこともあります。
症状がある場合は、まず内服薬による治療が基本です。胃酸の分泌を抑える薬(PPIやH2ブロッカー)を使用し、同時に生活習慣の見直し(過食を避ける、就寝前の食事を控える、体をしめつけない服装にするなど)を行います。
症状が強い場合や薬で改善しない場合には、外科的治療(腹腔鏡による胃の引き下げ・裂孔の縫縮など)を検討することがあります。
当院では、胃カメラ検査により食道と胃の接合部の異常を確認し、食道裂孔ヘルニアの診断と重症度の評価を行っています。必要に応じて、腹部エコーやCTなどの画像検査も連携医療機関で実施可能です。