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脂質異常症(高脂血症)

目次

高脂血症とは

脂質異常症(高脂血症)とは、血液中のコレステロールや中性脂肪が基準値よりも多い状態を指し、厚労省の最新の調査では現在約220万人の患者さんが罹患されています。実際には、まだ診断されていない、もしくは健診で指摘されたまま放置されている患者さんも多く、食事の欧米化に伴い今後も増加していくことが予想されています。

血液中に脂質が過剰に増えると動脈硬化の危険度が増し、心筋梗塞や脳卒中などを発症させるリスクが高くなります。

高脂血症の診断

健康診断などで指摘される患者さんが多いと思います。以下に高脂血症診断のガイドラインを添付します。

定義 名称
LDLコレステロール 140㎎/dl以上 高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール 40㎎/dl以下 低HDLコレステロール血症
トリグリセライド 150㎎/dl以上 高トリグリセライド血症

LDLコレステロールは、いわゆる『悪玉コレステロール』と呼ばれるものであり、HDLコレステロールは『善玉コレステロール』と呼ばれます。いずれのタイプも動脈硬化を促進しますが、より問題なのは悪玉のLDLコレステロールが高い場合です。ただ、実際はLDLコレステロールとトリグリセライド(中性脂肪)の両方とも高い患者さんが多く、その場合はさらに動脈硬化が早く進みます。

高脂血症の原因

高脂血症の原因は大きく2つに分けられます。

1)原発性高脂血症

遺伝(体質)によって発症する高脂血症のことを指し、生活習慣とはほぼ無関係です。
代表的なものとして「家族性高コレステロール血症」があります。

※家族性高コレステロール血症

①高LDL-C血症(未治療時のLDL-C180mg/dL以上)

②腱黄色腫(手背、肘、膝などの腱黄色腫あるいはアキレス腱肥厚)あるいは皮膚結節性黄色腫

③FHあるいは早発性冠動脈疾患の家族歴(2親等以内の血族)

①~③のうち2項目以上当てはまる場合を家族性高コレステロール血症と呼びます。

家族性高コレステロール血症は遺伝疾患であるため、家族歴が重要になります。
若年での動脈硬化性心血管疾患発症のリスクが非常に高いため、早期の治療介入が必要となります。

2)続発性高コレステロール血症(2次性高コレステロール血症)

高カロリー高脂肪食接種による食事性や、その他様々な疾患により高コレステロール血症を生じる状態です。

医師の間では原因の『4D』として知られています。

Diet 食事:高カロリー、高脂肪食摂取によるもの

Drug 薬:特定の薬剤内服により、高脂血症を生じたもの

Disease 疾患:特定の疾患への罹患により、高脂血症が合併します。
代表的なものとして、・胆道閉塞による黄疸、・ネフローゼ症候群(腎臓の病気) etc などがあります。

Disorders and altered states of metabolism 代謝障害:甲状腺機能低下症や肥満、妊娠 etcに伴う高脂血症です。

高脂血症の治療

治療の目的は心筋梗塞や脳梗塞といった動脈硬化性心血管疾患を予防することです。そのため心血管リスクが高い患者さんと低い患者さんで治療開始基準や治療目標が異なります。

具体的には患者さんそれぞれのリスクに応じてカテゴリーⅠ~Ⅲに分類され、また一度動脈硬化性心血管疾患を発症している場合は二次予防としてさらに厳密な高脂血症のコントロールが必要となります。

1)生活習慣の改善

健康診断などで指摘された初発の高脂血症の患者さんの場合、まずは原則として3~6か月の生活習慣の改善を目指します。具体的には魚類、大豆製品、野菜、海藻類などの摂取を増やし、肉の脂身、乳製品、卵黄、食塩を多く含む食品の摂取を抑えます。また毎日30分以上の有酸素運動、禁煙、標準体重の維持、アルコールの過剰摂取を控えることが推奨されます。

上記に記したカテゴリーⅢに入るような高リスク患者さんや、既に動脈硬化性心血管疾患に罹患している二次予防の患者さんはこれらに加え、早期からの薬物治療が必要となります。

2)薬物治療

生活習慣の改善を始めてから3~6か月経過しても高脂血症が持続している場合には、薬物治療の適応となります。

高脂血症の治療薬の第一選択はHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン製剤:リピトールやクレストールなど)と呼ばれる薬剤です。

スタチン治療を開始した後は、薬剤の効果をチェックするとともに、副作用の検査を行う必要があります。肝臓や腎臓の機能異常や、CK(筋肉に関係する酵素)の上昇が副作用として挙げられます。最初の3か月は毎月採血のチェックを行い、その後も3~6か月毎の採血が必須です。

それでも目標値まで下がらない場合には、非スタチン系薬剤(ゼチーア:小腸でのコレステロール吸収を抑制)が有用であることが近年発表されました。

各カテゴリーごとのLDLコレステロール治療目標を添付します。
各患者さんがどのカテゴリーに入るかは、診察時に判断致します。

管理区分 LDLコレステロール
カテゴリーⅠ <160
カテゴリーⅡ <140
カテゴリーⅢ <120
二次予防 <100

 

※高トリグリセライド血症の治療

高トリグリセライド血症においては、高LDLコレステロール血症の治療ほど明確なデータがないのが現状です。高LDL血症を合併することが多いため、まずは高LDL血症の治療を行います。

ただし、トリグリセライドが1000㎎/dl以上に上昇している場合には急性膵炎の発症率が高い事が知られています。その場合には食事指導と共に、フィブラート系薬剤(ベザトールなど)の投与が推奨されています。

 

高脂血症は症状が出ないため、また改善に患者さん自身の努力が必要なため、健診で指摘されても病院に受診しない、または受診しても定期受診をあきらめてしまう方が非常に多い疾患です。

当院では患者さんの生活環境などに併せて、それぞれに合った治療を提供致します。

高脂血症を指摘された患者さんは是非一度医療機関を受診して下さい。

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